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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、政府や自治体から出社3割といった要望があがるなど、企業にテレワークの積極的な導入が求められています。
テレワーク環境で従業員が社内サーバーや社内共有フォルダにアクセスする機会が増え、安全性確保のためVPNの導入を検討しているという企業も多いのではないでしょうか。
今回は、「自社のテレワーク環境を整備したい」という中小企業の経営者や管理部門の担当者向けに、VPNの基礎知識からVPNの種類に加え、費用や安全面からおすすめのVPNサービスを紹介します。
テレワーク導入になぜVPNが必要か?
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式(ニューノーマル)」では、これからの働き方のスタイルとして“テレワーク”や“ローテーション勤務”が推奨されています。
テレワークを導入して社員が社外から社内のネットワークにアクセスする際、安全性を高めるために不可欠なのがVPNです。
VPNとは?
仕組みや種類など、VPNの基礎知識について解説します。
VPNの基礎知識
VPNとは安全性の高い「仮想的な専用ネットワーク」を指し、VPNの構築はインターネット回線や通信事業者の閉域ネットワークを利用して行います。
接続形態としては、VPNを実装したルーター同士を接続する「拠点間VPN」と、VPNを実装したルーターとVPNソフトウェアをインストールした端末を接続する「リモートVPN」があり、これらを利用することで外出先や自宅のネットワークから社内ネットワークへの安全なアクセスが可能です。
一般的に企業で利用されるのは「インターネットVPN」と「IP-VPN」の2タイプになります。
VPN接続はセキュリティ対策のために必要
VPNでは2つの拠点に外部から遮断された通信路(トンネリング)を構築することで、インターネット回線と区別した通信を行うことができます。
また送受信するデータに鍵をかけることで内容を見られないようにし(暗号化)、送信者と受信者が正しい相手だと確認すること(認証)で、安全性を高めています。
インターネットVPN
インターネットVPNは、インターネット上に構築したVPNです。
IP-VPNのように通信事業者の閉域ネットワークを利用しないため導入がしやすく、シェアが広がっています。
インターネットVPNのメリット・デメリット
インターネットVPNの大きなメリットは低コストで導入できる点です。
同じ条件の利用でも、全体の費用はIP-VPNと比べて安く設定されています。
また、利用するプロバイダが限定されず、ネットワークの拡張を容易に行うこともできます。
しかし、インターネットVPNは外部からの不正アクセスを完全に防げず、セキュリティを万全に保つことができないという難点があります。
IP-VPN
IP-VPNは、通信事業者の閉域ネットワークを利用するVPNで、インターネット回線を使わないため高度なセキュリティを可能にしています。
IP-VPNの最大の特徴は、VPNの提供会社と契約をした企業のユーザーだけが利用でき、インターネットから直接影響を受けないので、高度なセキュリティを保つことができる点です。
ある程度の通信帯域が確保されているため、通信が安定する点も大きな特徴です。
IP-VPN導入のメリット・デメリット
IP-VPNのメリットは、セキュリティ面で優れている点です。
契約者しか利用できないネットワークを使うことで、セキュアな通信を可能とします。
通信の安定性も大きなメリットと言えます。
デメリットは費用が高額な点です。
最初に導入するVPNとしてはハードルが高いと言えるでしょう。
VPNサービスの選び方
VPNサービスを選ぶ際は、費用と通信品質のバランスを考慮しましょう。
安易にコストの低さを理由にサービスを導入するのはおすすめできません。
セキュリティと通信品質を両立させるのであれば、導入・維持にかかる費用は高くなると考えておきましょう。
法人利用は通常年単位での契約になるので、契約終了までのコストを見積もったうえで、導入可能なサービスを選択しましょう。
【費用・セキュリティ強度を比較】法人向けサービス4選
法人向けVPNサービスに利用できる人気のVPNサービスを費用とセキュリティ面を中心に解説します。
SmartVPN
SmartVPNは、ソフトバンク株式会社の提供するインターネットVPNサービスです。
PC、iPhone、iPadなどのデバイスから、インターネットを経由して安全な社内システムへのアクセスを可能にします。
初期費用は70,000円で、利用プランは「ギャランティタイプ」「スピードタイプ 」「バリュータイプ 」「ベストエフォートタイプ」「ギャランティボイスタイプ」「スピードボイスタイプ」「バリューボイスタイプ」の7種類があります。
月額料金はギャランティタイプの48,000円〜、スピードボイスタイプの225,000円〜までとなっています。
Zero-Con
株式会社テリロジーサービスウェアが提供する月額費用 3,500円〜のインターネットVPNサービスです。
最短5日で導入可能ですが、サービスは機器の提供のみなので、届いたルーターの回線接続や障害時の予備機への切り替え作業は自社のシステム担当者が行う必要があります。
利用プランは「エントリープラン SA-W2」「ミドルプラン SEIL/X1」「ハイエンドプラン SEIL/BPV4」の3種類です。
初期費用はいずれも10,000円で、月額費用は3,500円~8,500円です。
オプションとしてVPN機器の現地設置サポートが20,000円、平日時間外リモート確認が1回につき5,000円の設定となっています。
マネージドUTM ビジネスセキュリティ
マネージドUTM ビジネスセキュリティ は、株式会社 USEN ICT Solutionsが提供するインターネットVPNサービスで、ルーターをレンタルで企業に提供しVPNサービスの運用を行います。
悪意のあるユーザーからの攻撃を防御する「ファイアウォール」や「IDS&ADS」、Webアクセスやメール送受信時にウィルスを検知・削除する「ウィルスプロテクション」、適切な応答速度を保てるよう自動的に要求転送を行い、サーバーへの負荷を分散する「ロードバランサー」など、複数のセキュリティ機能とアンチリスク機能を統合したハイレベルなセキュリティ対策が可能な点が特徴です。
利用料金の詳細は問い合わせが必要です。
Smart Cyber Security
Smart Cyber Securityは、企業ネットワークのパイオニア的な存在である富士ゼロックス株式会社が提供するIP-VPNサービスです。
小規模であれば、NTTドコモのXi LTE網を利用してモバイル端末を閉域網Smart Cyber Securityに接続する「Smart Cyber Security Mobile SIM」の利用が便利です。
利用料金の詳細は問い合わせが必要です。
自社のセキュリティレベルに合ったVPNサービスを選択しよう
テレワーク環境を整えるためには、まずVPNの構築が必要になります。
自社に高度なセキュリティレベルが要求される場合は費用とセキュリティ面のバランスを考慮し、長期的に運用が可能なサービスを選択しましょう。