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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染対策として、非接触で入退室管理や検温が可能な顔認証システムの需要が急速に高まっています。
高性能なAIカメラを搭載した顔認証システムの場合、マスクを着用したままの認証や複数人を同時に顔認証・検温することも可能です。
感染症対策と業務効率化の両面で効果が期待できる顔認証は、ニューノーマルな働き方を実現するうえで重要な技術の1つと言えます。
今回は、中小企業の経営者や管理部門の担当者に向けて、顔認証システムが普及している背景やその特徴、そしておすすめの顔認証システムを紹介します。
顔認証システムとは
入退室管理や勤怠管理、自動検温など複数の用途で活用される顔認証システムについての基本的な情報を解説します。
顔認証システムの概要
顔認証とは、「カメラで撮影した顔を顔認識AIが認証して本人確認」をする技術のことです。
パスワード入力やICカードなどを使うことなく、顔をカメラに映すだけで数秒秒程度で本人確認ができるため、利用者の負担を減らす便利なシステムとして注目されています。
顔認証システムの仕組み
顔認証システムは、カメラが取得した個人の目、鼻、口、顔の大きさなどの情報を顔認識AIがデータベースに登録された個人の顔情報と照合し、認証するものです。
この顔情報の照合にはディープラーニング(深層学習)技術が用いられ、技術の進化により、最近では髪型の変化やマスクや帽子の着用時でも非常に高い確率で本人認証ができるようになっています。
(参考:NEC|NEC、マスク着用時でも高い精度を実現する顔認証製品を販売開始)
顔認証システムが普及している背景
携帯電話での認証など、顔認証技術は2000年代後半から身近なところでも活用が始まりましたが、、近年は企業での顔認証システムの導入も増えています。
ここでは、普及の背景を具体的に解説します。
勤怠管理の簡略化が可能
企業向けの勤怠管理システムでは顔認証技術の活用が進んでいます。
カメラの顔認証だけで出退勤の打刻が可能なため、日々の勤怠管理の簡略化につながります。
専用の打刻機やICカードなどの認証機の設置も不要で、従業員側・企業側双方の手間を削減可能です。
複雑な勤務形態でも柔軟に利用できる
短期契約の従業員が多い工場などの職場や、アルバイトやインターンなど不規則な勤務形態の人の出入りが多い企業でも、入口に顔認証用のカメラやカメラを搭載したタブレットを設置することで、簡単に入退室管理や勤怠打刻が行えます。
また、顔認証システムと連携したクラウド型の勤怠管理システムであれば、自宅やサテライトオフィスで働いている従業員や直帰・出張が多い営業職の従業員でも、その場で簡単に出退勤の打刻が可能です。
管理者側も、打刻時間の修正をはじめ従業員の勤怠申請を確認する手間が大幅に削減できます。
新型コロナウイルス感染症対策になる
顔認証システムは機器に触れずに入退室や打刻を行えるため、新型コロナウイルスの対策にも有効です。
WHOのレポートによれば、新型コロナウイルスはプラスチックの表面に付着した場合、最大72時間生存するとされています。
(参考:厚生老労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A -一般の方向け-)
接触型の打刻機を使用している場合、入退室の度に感染リスクが発生し、定期的なアルコール消毒の手間もかかります。
従業員数の多い工場や患者や入居者への感染リスクに最大限備える必要がある病院や介護施設などでは、非接触型の顔認証システムを導入する意義が大きいと言えるでしょう。
また、新型コロナウイルスによく見られる症状の1つに「発熱」があり、厚生労働省も「発熱などのかぜ症状がある場合は、感染拡大防止の観点から仕事や会社を休み、外出を控えることが望ましい」という見解を示しています。
そのため、熱を検知するサーモグラフィーと顔認証技術を組み合わせた「検温可能な顔認証システム」への関心も高まっています。
助成金を活用できるケースも
「IT導入補助金」は、中小企業がITツールを導入する際に活用できる補助金で、顔認証システムと連携した勤怠管理システムや入退室管理システムを導入する際にも活用できます。
・A型類:30~150万円未満のITツールの導入が対象
・B型類:150~450万円までのITツールの導入が対象
・C型類:新型コロナウイルス感染症が与えた影響に対応する企業が対象(期間限定)
の3種類が用意されており、非接触で検温や入退室、勤怠管理が可能な顔認証システムを導入する際は、A型、B型、C型の補助金を活用できる場合があります。
※上記はは2020年度のIT導入補助金に関する情報です。来年度の補助金の申し込みを希望する際は、最新のIT導入補助金のWebサイトでご確認ください。
中小企業におすすめの顔認証システム5選
ここでは、中小企業におすすめできる顔認証システムを5つ紹介します。機能面や費用感の比較に活用ください。
クラウド上で多拠点の入退室記録を一元管理 ・セーフィー「Safie Entrance」
Safie Entranceは、顔認証で利用者の入退室管理を行うサービスです。
利用者情報がクラウドで集約管理されるため、利用者は手ぶらで複数拠点に入退室できます。
また管理画面で、扉単位、利用者単位で入退室制限をすることができ、利用者の入退室履歴をCSVで勤怠管理システムに取り込むことも可能です。
なお、利用料金は問い合わせが必要です。
テレワークにも対応:ガルフネット「Gulf CSM 勤怠管理」
Gulf CSM 勤怠管理は、顔認証による勤怠管理に特化したサービスです。PC内臓のカメラやカメラ付きタブレットで顔認証を行います。
場所を選ばず打刻が可能なため、テレワークなどのオフィス外での働き方にも対応でき、マスク着用時でも顔認証を行うことが可能です。
なお、具体的な利用プランと料金は問い合わせが必要です。
マーケティングにも使える:エクスウェア「カオミル」
カオミルは、完全日本製で要望に合わせてカスタマイズもできる顔認証システムです。
企業向けには、自動的に作業時間を集計する「カオミルリモートワーク」、出退勤打刻ができる「カオミルタイムカード」、顔の属性から利用者の年齢、性別を推測し、顔の特徴点の変化から利用者の感情を把握する「カオミルマーケティング」があります。
料金は「カオミルリモートワーク」が初期費用10万円で、1人あたり300円/月、「カオミルタイムカード」が1か月100人の顔認証5,000回で7,000円/月〜(初期費用、データ管理機能費用別途)、そして「カオミルマーケティング」が1か月1万回の顔認証で5,000 円/月〜(初期費用、データ管理機能費用別途)となっています。
1人あたり月額100円で利用できる・アイシーソフト「Taskal Time-Card」
Taskal Time-Card(タスカルタイムカード)は、顔認証勤怠管理システムです。
顔認証打刻は1人月額100円で利用でき、顔認証打刻+勤怠管理機能も1人月額250円で利用可能で、初期費用もかからず、インターネット環境があるiPadやiPhoneがあれば導入可能となっています。
利用者情報や打刻情報はクラウドで集約管理され、離れた拠点の出退勤情報もリアルタイムに確認できます。
高熱の従業員を検知・トリプルアイズ「AIZE Biz+」
AIZE Biz+(アイズビズプラス)は、顔認証と外付けの検温装置によって出退勤記録と検温を行うシステムです。
オフィスなどの入口に設置したカメラで打刻と検温を同時に行い、設定した体温以上の従業員を検知すると管理画面にアラートが出て、管理者に通知メールが配信されます。
テレワーク時も従業員がノートPCやスマートフォンで撮影した画像をAIが本人認証をして出退勤を記録します。
出退勤時の顔画像を残すことで、不正の抑止につながります。
費用は検温機1台につき1,800円/月のほか、利用者が100人までは1万円/月、101人以上の場合は1人当たり100円が加算されます。
また検温機1台につき18,000円の初期費用がかかります。
顔認証システムはニューノーマルな働き方に最適なツール
感染症対策という喫緊の課題から顔認証技術に関心を持つ企業が増えていますが、業務効率化にも有益な点が顔認証システムの魅力です。
マスクをしたままでの本人確認や出退勤打刻、入退室管理、あるいは非接触での検温など、顔認証システムはニューノーマルな働き方に不可欠なツールになりつつあります。
「タイムカードからの切り替え」「テレワーク可能な環境づくり」「多拠点を含む勤怠管理」など、中小企業の課題を解決できる機能を比較し、補助金の活用も視野に入れながら導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。