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(8/11 Update)
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の全国的な増加傾向を受け、厚生労働省が、職場内クラスターの要因分析などを踏まえた「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」の改訂版を8月7日付で公開しました。
本記事の内容と併せて、オフィスでの感染対策にご活用ください。
(7/15 Update)
緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が職場内で集団感染する「職場クラスター(職場内クラスター)」の発生が問題となっています。
企業はクラスター発生を防ぐ対策を迫られることになりましたが、「どこまで企業努力でクラスター対策が可能なのか」と悩む企業も多いと思います。
その鍵となるのが感染症対策にも対応したIoTの活用です。
今回は、飛沫感染や接触感染の防止をはじめとする感染症対策に有効なIoTサービスや最新の活用例を解説します。
職場クラスター発生を防ぐ鍵はIoTの導入
新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言解除後の今年6月以降、職場クラスターの発生が危惧されています。
オフィスでの感染が発生すれば、感染者が出たことの周知や濃厚接触者の特定、接触が疑われる従業員の自宅待機、職場の消毒作業など、事業・営業活動に支障が生じます。
そこで注目されるのがIoT活用による感染症対策です。
働き方改革や職場環境の改善を目的にIoTを有効活用した「スマートオフィス」を進める企業も増えていますが、感染症対策へ応用できるIoTサービスや機器にも注目が集まっています。
ここからは、基本的な感染リスクを減らすサービスから、感染の危険がある従業員の早期発見が期待できるサービスなど、具体例を紹介します。
IoTの活用①:3密を検知・警告する
民間のITベンダーが開発したことで注目されているのが、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを高めると言われている「3密」(密閉、密集、密接)を防ぐIoTシステムです。
株式会社ウフル(東京・港区)はIoTサービス「enebular(エネブラー)」を活用して「3密」状態を可視化するノウハウを自社サイトで無料公開しています。
具体的には、enebularの活用で3密のうち「密閉度」と「密接度」の可視化が可能です。
「密閉度」はオフィスや店舗内のCO2濃度を計測し、その変化を確認します。飛沫感染のリスクに関わる「密接度」は、会話をする際の音の大きさを指標として可視化を行います。
Locarise株式会社(東京・渋谷)は主に店舗向けを想定した来店客数や混雑状況を測定するシステムlocarise TRAFIFC「Signal」を発表しました。
施設の出入り口に設置した高精度3Dセンサーカメラでリアルタイムの入店者数、混雑状況を把握する仕組みで、混雑状況は信号機のような緑・黄・赤色で区別し、ディスプレイ上で表示します。
「3密」の防止をはじめ、接客を主な業務とする従業員の感染リスク回避、オフィスや店舗への入場制限の対応などの場面で効果が期待されます。
IoTの活用②:自動で非接触検温を実施
IoT開発を手掛ける株式会社Momo(兵庫・神戸)は2020年6月から非接触検温IoTシステム「検温がかり」「IoTガードマン」を販売しました。
簡単に検温できる非接触検温デバイスとIoTシステムを連動させ、発熱の疑いのある従業員を検出します。
感染が疑われる従業員が滞在していた場所と接触した相手を自動的に記録できるので、社内で感染者が出た際には迅速に濃厚接触者リストを作成することも可能です。
6月中旬から神戸市の危機管理室で実証実験が行われており、その具体的な効果が期待されています。
IoTの活用③:自動点灯照明で接触感染を防ぐ
従来からオフィスで活用されてきたIoT機器も感染症対策に活用できます。
人感センサー式の照明は不特定多数の人が直接触れることなくスイッチのオン・オフが可能です。
オフィス全体の照明を管理できるIoTシステムから、後付けで部分的に設置できる人感センサー式の照明もあります。
予算を考え、トイレや来客用の部屋など人の出入りが多い場所にだけセンサーを設置する、という方法を検討してみても良いでしょう。
IoTの活用④:オフィスの換気を促進
「3密」の1つ目に挙げられる“密閉”を防ぐためには、オフィスの換気状態を把握できるIoT技術の活用が有効です。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解では
「換気の悪い密閉空間にしないよう、換気設備の適切な運転・点検を実施する。定期的に外気を取り入れる換気を実施する」
よう推奨されています。
(出典:厚生労働省|新型コロナウイルス感染症対策の見解)
その換気について、グリッドリンク株式会社(東京・新宿)は、CO2センサーとIoTシステムを組み合わせた「室内換気状態モニタリングシステム」を販売しています。
オフィスの換気状態を可視化し、適切な空調制御を遠隔操作で行うことができます。
IoTの活用⑤:トイレの利用状況を可視化
会社内外の不特定多数が出入りし、感染リスクが高いトイレの状態をIoTで可視化する方法もあります。
従来からオフィスのトイレの混雑状況をPCやスマホで確認し、待ち時間を短縮できるIoTサービスが存在していました。
従業員個人だけでなく、施設管理者がトイレの利用状況や清掃状況を把握するためにも活用されてきた経緯があります。
このIoTシステムをコロナウイルス感染症対策に応用すると、
・トイレが「3密」になることを防ぐ
・清掃と消毒が済んでいるか確認できる
・管理側がトイレの利用状況をの把握できる
・清掃状況の改善につながる
といった効果が期待できます。
スマートオフィス化で職場クラスターの発生を防ぐ
新型コロナウイルス感染症対策においては、接触の機会を減らし、自動化を可能にするIoTの活用は極めて有効です。
新しくリリースされたサービスだけでなく、従来から利用されてきたIoTサービスや機器も職場クラスター発生を誘発する接触感染や飛沫感染のリスクを減らす効果があります。
感染症対策の面からも、IoTを導入したスマートオフィス化を推進する意義はますます高まっていると言ってよいでしょう。
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