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勤怠管理はなぜ必要なのか?意義や法改正内容、最適なツール選定まで

2021.03.17

勤怠管理はなぜ必要なのか?意義や法改正内容、最適なツール選定まで

勤怠管理とは従業員の出退勤情報を記録・管理することです。勤怠管理が行われる理由は、給与計算のためだけではありません。近年では、テレワークなど柔軟な働き方への対応や長時間労働の削減のために、勤怠管理の重要度が高まっています。

また、2019年から働き方改革関連法が順次施行になったことに伴い、勤怠管理に関わる法改正が実施され、企業はより正確な管理が必要となりました。

今回は、総務・労務担当者や経営者に向けて、勤怠管理が必要な理由や勤怠管理方法とメリット・デメリット、そして勤怠管理システム導入のポイントを解説します。

勤怠管理とは

勤怠とは、従業員の出勤や欠勤を意味する言葉です。つまり「勤怠管理」とは出退勤をはじめとした従業員の労働時間や休暇を適正に記録・管理することを指します。企業はタイムレコーダーや勤怠管理システムなどを用い、従業員一人ひとりの出勤状況や休暇取得実績から労働時間を算出し、給与計算を行う必要があります。

企業が勤怠管理を行う理由

厚生労働省による『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)』によると以下のように記載があります。

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けているこ とから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。

 

つまり、企業にとって勤怠管理は「責任と義務」であることがわかります。より理解するために、具体的に見ていきましょう。

労働基準法を遵守するため

従業員の労働時間と出社日数が法律で定められた上限を超えていないかチェックするのも勤怠管理の重要な役割の1つです。労働基準法では通常、法定労働時間である1日8時間、1週間に40時間を超えて労働者を働かせることや週1日の法定休日に働かせることは禁じられています。

法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせる、いわゆる残業や休日出勤をさせる場合、企業は36協定と呼ばれる労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

コンプライアンス遵守のため

労働基準法で定められた労働時間上限を超えて働かせていた場合、重大なコンプライアンス違反となります。勤怠管理を怠ったことで過労死や残業代訴訟が起こる可能性もあるでしょう。企業名が広く報道されれば罰則を科されるだけでなく「コンプライアンスを守らないブラック企業」という批判を受け信用低下につながります。

法律違反リスクを防ぎ、コンプライアンスを遵守するためには、経営陣から一般の従業員に至るまでの意識付けと、正確な勤怠管理が可能な仕組みの導入が必要です。

労働時間の把握が義務化(働き方改革関連法)

働き方改革関連法の施行によって、長時間労働の是正を求める法改正やワーク・ライフ・バランス、柔軟な働き方を促進する制度が新設されました。

これまでは、労働基準法にて、下記のように定められ、賃金台帳に労働時間数や時間外労働時間数などを記入しなければならないことから、労働時間の把握が必要と解されていましたが、その根拠は曖昧なものでした。
 

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない。(労働基準法 第109条)

 

※2020年4月に保存期間を3年間から5年間とする法改正が行われましたが、経過措置として当面の間は3年間で良いとされています。
2019年には働き方改革関連法の一環として、労働安全衛生法が改正されました。変更内容は、タイムカードやシステムによる打刻など、客観的な方法で労働時間の把握を行い、その記録を3年間保管しなければならないというものです。
 

事業者は、第66条の8第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。(労働安全衛生法 第66条の8の3)

 

労働安全衛生法の改正をはじめとする労働者の健康管理に関する法規制、職場のメンタルヘルス対策として正確な労働時間の把握が必須となります。また、勤務間インターバル制度やテレワークを導入する際にも、リアルタイムで出退勤が確認できるシステムなど柔軟な勤怠管理方法の活用が有効です。

自社の生産性アップに役立てるため

労働時間を把握する理由は、法的観点だけではありません。従業員の勤怠状況を正確に把握することで、残業が多い部署や業務を割り出し、生産性アップに役立てることも可能になります。なぜ残業が多いのか、理由を把握することで、適正な人材配置や業務プロセスの改善など無駄な残業を削減する対策にも役立てることができます。

勤怠管理に関する法改正と必要な対応

近年は勤怠管理に関する法改正が数多くなされ、企業は法律違反リスクを防ぐための対策が必要となりました。特に重要な法改正や制度改正について解説します。

時間外労働の上限規制への対応

大企業には2019年4月から、中小企業には2020年4月から適用される「時間外労働の上限規制」によって、各企業は残業時間を正確に把握し法律違反リスクに備えるための対策がより重要となりました。

時間外労働の上限規制では、残業について以下の規定が定められています。

・時間外労働の上限「月45時間・年間360時間」を超えると罰則が適用される
・特別条項付きの36協定を結んだ場合でも「年間720時間以内」、「月100時間未満かつ2~6ヶ月平均80時間以内(休日労働含む)」の上限を超えると罰則が適用される
・違反した場合の罰則は刑事罰で「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」

(参考:厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』)
 
※時間外労働について詳しく解説した記事『残業時間と時間外労働の違いとは?月45時間の上限規制や定義を解説』もあわせてご覧ください。

時間外労働の上限を超えた場合に罰則が設けられたのは初めてで、残業に関する規定が従来よりも厳格化したと言えます。恒常的に労働時間が多い企業では、上限超えを防ぐために残業を申請制にしたり、残業上限に達しそうな従業員を特定する仕組みを導入するなどの対策が必要です。

有給休暇取得の義務化への対応

2019年4月から該当する従業員に年5日の有給休暇を取得させることが義務化されました。従業員の多い企業では、誰がどのくらい有給を取得しているのか把握しきれず、有給取得管理が不十分な場合もあります。

しかし、従業員が決められた日数の有給休暇を取得しなかった場合、企業に罰則が科されます。

・年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合、30万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合、30万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

従業員一人ひとりの有給休暇取得率を把握したり、効率よく有給の申請と承認ができる仕組みを取り入れたりする必要があります。

(参考:厚生労働省『年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説』)
 
※有給休暇の取得義務化について詳しく解説した記事『違反には罰則も!有給休暇取得義務化への対応のポイントを解説』もあわせてご参照ください。

従業員の勤怠状況把握の義務化への対応

2017年に厚生労働省による労働時間把握のガイドラインが改正され、より客観的な勤怠管理方法が推奨されるようになりました。この改正によってタイムカード(タイムレコーダー)や勤怠管理システム、パソコンログの記録によって物理的に把握することが推奨されています。やむを得ず従業員の自己申告とする場合は、記録された労働時間と在社時間に明らかな乖離があった場合、企業は実態調査を行い、労働時間を補正するなどの措置を講じる必要があります。

本件に関しては特に罰則は定められていません。しかし過重労働が発覚した場合に罰則を科せられる可能性がありますので、正しく対応することが必要です。

(参考:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』)

勤怠管理の方法とメリット・デメリット

従業員の勤怠管理を行う方法は複数あります。それぞれの勤怠管理方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。

Excel管理

Excelシート上に従業員が出退勤の時間を入力する勤怠管理方法です。メリットはタイムカードと同じく特別な知識やシステムを導入しなくても活用でき、関数を使えば月の労働時間の集計が容易な点などです。デメリットは厚生労働省の労働時間把握のガイドラインでは推奨されていない方法である点です。自己申告による勤怠管理の場合、従業員が実際より多く労働時間を申告したり、あるいは従業員が企業により実際より少ない時間を申告してサービス残業を強いられたりするケースがあるためです。

メリット ・手軽かつ低価格
・特別な知識やシステムの導入が不要
・関数を使えれば自動計算が容易
デメリット ・厚生労働省のガイドラインで推奨されていない
・自己申告制のため正しい時間を把握できない
・サービス残業などを把握しづらい

ガイドラインでは、Excel管理のような自己申告による勤怠管理を行う場合、労働時間と入退場記録やパソコンの使用時間の記録の乖離があった場合に行う調査措置や管理者への十分な説明が必須と定められています。

(参考:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』)

タイムカードでの打刻管理

出退勤時間を打刻できる専用のタイムレコーダー(打刻機)とタイムカードを使う勤怠管理方法です。従来使われてきた方法であり、従業員の人数がさほど多くない職場では一般的な勤怠管理の方法として浸透しています。

メリット ・手軽かつ低価格
・特別な知識やシステムを導入しなくても活用できる
デメリット ・自動集計や給与ソフトへのデータ取り込みができない場合もある
・テレワークには不向き
・改ざんできる可能性がある
・紙による保管でスペースが必要

 

勤怠管理システムの活用

インターネット上や自社システム上で打刻や労働時間集計を行う勤怠管理システムで勤怠管理を行う方法です。インターネット環境があれば利用できるクラウド型の勤怠システムや、自社の働き方にカスタマイズしやすいオンプレミス型の勤怠システムがあります。

メリット ・自動集計ができ、効率化をはかれる
・給与計算システムとの連携が可能、休暇申請も容易
・リアルタイムで出退勤管理ができる
・クラウドであればテレワーク環境下でも使用可能
・ID・パスワードでの管理により、セキュリティが担保される
デメリット ・導入コストがかかる
・システム自体のセキュリティ対策も必要
・浸透や活用までに時間がかかる

 

一度に勤怠管理システムを大人数が利用する大企業では、システムの安全性や拠点をまたいだ活用ができるかといった点も重要な視点となります。

入退室管理システムとの連動

自社オフィスや自社ビルの入退室時にICカードや生体認証機能を使って打刻を行う勤怠管理方法です。

メリット ・出退勤時の打刻申請が不要(入室/退室時に自動打刻)
・打刻忘れがなくなる
・PCログ記録を紐づけておけば労働時間の正しい把握ができる
・ID・パスワードでの管理により、セキュリティが担保される
デメリット ・外付けの鍵やICカードの読み取り機の設置に別途費用が発生
・テレワーク時の対応の検討

 

入退室管理がなぜ必要なのか、どういうツールを活用すればいいのかについて解説している記事『入退室管理をしなければならない理由:導入ポイントや種類などを解説』もぜひご覧ください。

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勤怠管理システム導入のポイント

効率化と客観的な管理が可能な勤怠管理システムを導入する場合のポイントを解説します。

タイムカードやExcelは厳密な勤怠管理に不向き

勤怠管理システムは客観的かつ厳密な勤怠管理が可能です。タイムカードでは従業員ごとの残業時間や有給取得率を把握できず、Excelシート上の勤怠管理ではガイドラインの基準を満たさず正確な勤怠記録を残せません。法律違反リスクを回避するためには、勤怠管理システムへの切り替えが現実的な手段となります。

テレワーク導入には勤怠管理システムが有効

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でテレワークの実施と共に、勤怠管理システムを導入する企業も増加しました。クラウド型勤怠管理システムであれば在宅でもリアルタイムで出退勤打刻が行え、出社せずとも各種申請や月締めも実施可能です。

また、テレワーク時にも厚生労働省の労働時間把握のガイドラインで定められた労働時間の客観的な把握は必要です。テレワーク時のサービス残業による働きすぎや労務トラブルを未然に防ぐためにも勤怠管理システムの導入は有効と言えます。

(参考:厚生労働省『テレワークにおける 適切な労務管理のための ガイドライン』)

今後の法改正を見据えた勤怠管理方法が必要

勤怠管理に関わる法改正は毎年のように実施され、企業はその都度、法律違反にならないよう対策を進めなくてはなりません。2021年1月からは子の看護休暇・介護休暇の時間数単位の取得が義務化されました。企業は従業員が時間単位で取得できる仕組みや勤怠管理のルールを定める必要があります。法律では業務時間中の中抜けの取得を認めることまでは求められていませんが、従業員のニーズによっては検討していく必要もあるでしょう。

タイムカードをはじめとする手作業の勤怠管理方法では法改正の度に実務にあたる従業員の負担が大きいのが難点です。その点、バーションアップによって法改正の対応が可能な勤怠管理システムの導入は有効でしょう。

(参考:厚生労働省『育児・介護休業法について』)

適切な勤怠管理方法の導入で経営リスク削減と生産性アップを実現

長時間労働是正による過重労働防止の法改正や働き方改革推進のための施策が求められる今、勤怠管理が担う役割も増加しています。

不十分な労働時間管理は法律違反だけではなく、過労死問題などの経営リスクに直結するため、企業規模問わず未然の対策が必要です。また、適切な勤怠管理方法の導入は、残業時間の多い不採算事業の見直しや業務改善のきっかけにもなります。
経営リスクや業務上の改善点を正確に把握し、全社的な生産性アップを実現するためにも、自社に適した勤怠管理のあり方やシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(監修: 社会保険労務士 水間 聡子)

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