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オフィスの原状回復とは?工事の流れや注意点、費用感までを解説

2020.07.17

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、オフィス移転を検討する企業が増えていますが、退去の際に必ず必要になる原状回復の工事は、その範囲や費用の見積もりなどでトラブルが発生することも少なくありません。

業者の選定や原状回復の考え方、費用の相場などを事前に把握しておくことで、スムーズな原状回復工事が実施できます。

 

今回は、オフィス移転を考えている企業の経営者や総務・管理部門の担当者向けに、原状回復工事の大まかなスケジュールや注意点を中心に解説します。

オフィスの原状回復とは?

オフィスの原状回復について、工事の流れや注意点、費用感までを解説しています。

原状回復の概要

賃貸オフィスの「原状回復」とは、「借りたときと同じ状態に戻す」ことです。オフィスの退去の際に、入居したときの状態に回復して貸主に引き渡すことまでが「原状回復」に含まれます。

「原状回復」とは、退去の際に必ず行うよう法律で定められた義務でもあります。原状回復に関するトラブルが多発していることから、2020年4月に新たに施行された民法改正では以下のような点が明記されました。

 

■改正民法第621条
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

ここでのポイントは、「オフィス入居後にできた損傷については賃借人に原状回復の義務があること」「通常の使用で劣化した部分に対しては賃借人に原状回復義務はない」の2点です。

オフィスの原状回復の範囲

原状回復のためにはどんな措置が必要なのでしょうか。以下が具体的に挙げられる原状回復の例です。

 

・オフィスに持ち込んだ家具、備品、照明器具などの撤去
・オフィスを仕切るために設置したパーテーションの撤去
・入居後に整備した電気や電話配線の撤去
・造作物の撤去
・看板を取り付けている場合は撤去
・カーペットを取り付けている場合は撤去
・オフィスの壁、床に加えた装飾や加工を元に戻す
・壁や天井、床の汚れを除去するクリーニング

 

契約内容によってはこの他にも原状回復が必要なケースがあります。

オフィスの原状回復にかかる費用は原則的に全て借主の負担です。

オフィス原状回復工事の6段階の流れ

①:賃貸借契約書を確認

賃貸契約書を参照し、オフィスの原状回復義務の範囲がどこまでかを確認します。

 

住居とオフィスを兼ねた物件の場合、通常のオフィスとは原状回復義務の範囲が異なり、賃貸住宅の範囲が適用されることもあるため注意が必要です。

自社オフィスに必要な原状回復の範囲に基づいて、工事の見通しを立てましょう。

②:施工業者に原状回復工事について問い合わせ

賃貸借契約書にオーナーや管理会社指定の施工業者が記載されている場合は、その施工業者に問い合わせが必要です。

賃貸借契約書で特定の施工業者の指定がない場合は、自社で依頼可能な施工業者をピックアップして問い合わせます。

 

その際は、スムーズな確認ができるように契約内容や物件の住所、間取りや広さなど現在のオフィスの基本情報を事前にまとめておきましょう。

③:施工業者の現地調査の実施と工事内容のすり合わせ

現地調査のため施工業者にオフィスに来てもらい、自社担当者も立ち合いのもと、施工業者とオフィスの状態を確認しながら、原状回復の範囲がどこからどこまでかのすり合わせを行います。

工事の内容や費用面の行き違いをなくすため、現地調査は必ず実施する必要があると考えておきましょう。

④:原状回復工事の見積もりとスケジュールの確認

現地での調査をもとに、工事の見積もりを施工業者に作成してもらいます。

オフィスのどの部分にどのような工事を行うか、見積もりの内訳に不明点がないよう明確にしておきます。

見積もりの確認が済むまで数回のやり取りが発生することもありますので、そのための期間も念頭におきましょう。

 

工事の内容や見積もりの内訳について合意ができたら、工事の開始時期、完了予定日などのスケジュールについても、この段階で可能な限り明確にしておきます。

⑤:原状回復工事の発注と着工

施工業者と本契約を結び、打ち合わせをしながら原状回復工事をスケジュールに沿って進めていきます。

工事内容について定期的な報告を施工業者に依頼し、自社の要望が反映されているか、合意した内容通りに工事が進んでいるか、などを把握できるようにしましょう。

 

また、施工業者には施工内容が適切に行われているかどうかを確かめる中間検査も実施してもらいます。

施工完了時には隠れて見えなくなってしまう箇所の確認も、この時点で行うようにしましょう。

⑤:原状回復工事の施工完了と引き渡し

工事内容が予定通り完了していると確認できた段階で、オフィスの引き渡しを行います。

追加工事の発生にも対応できるよう、工事完了の直前の段階で契約内容に沿った工事が行われているか確認できる場を設けておくと良いでしょう。

 

オーナーや管理会社にも、引き渡し時に意見の相違がないようこの時点で確認を取っておきます。

オフィスの原状回復に必要な期間

オフィスの規模や物件の傷み具合によって、原状回復にかかる期間は変動します。

 

目安として100坪未満のオフィスなら、着工から完了まで2週間~1か月程度かかると見積もっておきましょう。

オフィスの作りこみが複雑だったり損傷が激しい場合、1か月以上工事期間が必要になりますが、簡単な工事の場合は数日で原状回復を完了できることもあります。

 

施工後に想定外の工事が発生する可能性もあるため、施工業者には着工予定時期の数か月前から問い合わせをしておきましょう。

原状回復を行う際の6つの注意点

施工後のトラブルを防ぐため、原状回復を行う際に注意しておきたいポイントを6つ紹介します。

①:原状回復の範囲を明らかにしておく

借主には退去時の原状回復義務があり、賃貸契約書には借主の原状回復義務の範囲が記載されていますので、まず記載内容の確認をします。

原状回復の範囲については、「経年劣化」と「通常消耗」、そして「特別消耗」に分けられます。オフィスの原状回復として義務付けられているのは主に「特別消耗」の部分です。

 

「経年劣化」とは、壁や床の色あせや日光が当たり続けたことによる日焼けなど、自然に設備が劣化または損傷することです。

 

「通常消耗」とは、故意に損傷したわけではなく日常的に使用していて付いてしまう傷や汚れのことを言います。

該当するのはコピー機を設置したことで付いた床やカーペットの凹みや設置跡などです。

人の出入りが多い箇所の床の消耗も、ある程度予測できる範囲のため、通常消耗と考えて良いでしょう。

 

「特別消耗」とは、借主の使い方によって発生する傷や汚れのことを言います。

具体的には窓の結露によって発生したカビやシミ、喫煙で生じた壁や天井の変色などです。

 

故意や過失がなく通常の使用で生じた経年劣化と通常消耗による損傷は、一般的には借主の原状回復義務に含まれず、貸主の負担の範囲です。

 

どこまでを原状回復の範囲とするかは契約書の取り決めによって異なるので、不明点があれば施工前にオーナーや管理会社と確認をしておきましょう。

②:指定業者以外に原状回復工事を依頼できるか確認する

原状回復工事を行う業者は、オーナーや管理会社と交わした賃貸契約書の中であらかじめ指定されているケースがほとんどですが、指定の施工業者との間でスケジュールや見積もりの面で合意が取れない場合も考えられます。

その際はオーナーや管理会社と交渉をし、別の業者に依頼が可能か確認しましょう。

③:原状回復工事を行うタイミングを確認する

賃貸契約書に記載されている原状回復工事を行うタイミングを確認します。

 

通常、原状回復工事は退去後か契約期間内のどちらかのタイミングで行います。

オフィスや店舗の場合は契約期間内に実施することがほとんどですが、一度契約書に目を通して確認をしておきましょう。

 

オフィス移転の場合は、新オフィスへの移転後に原状回復工事を開始します。

契約期間内に工事が完了するよう、余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。

④:解約予告を含めたスケジュールを設定する

入居中のオフィスの退去を通知する「解約予告」は、一般的に解約予定日の6か月前までに行います。

 

新オフィスへの移転と原状回復の工事まで、解約予告から6か月以内に完了させられるよう、スケジュールを設定しておかなくてはなりません。

解約日までに引き渡しが完了しなかった場合は、追加で賃料が発生する場合があります。期日を明確にしたスケジュールを設定し、トラブル防止に努めましょう。

⑤:オフィス移転の時期にも注目する

オフィス移転が集中する時期に工事を依頼すると、希望する期間内で原状回復が完了できない可能性があります。

 

オフィス移転が多い時期は、一般的には1~3月、または9~12月です。3月は企業側が決算期になることが多く、決算後に翌年の3月を目処に移動する会社が増えます。10月も同様の理由で企業の移転が増加します。

この他にも、5月は新入社員の配属や新体制への移行が落ち着き長期休暇のゴールデンウィークがあることからオフィスの移転が増える傾向にあります。

 

施工業者に依頼が集中する時期を避け、工事完了までのスケジュールを立てましょう。

業者への依頼が混雑する可能性があります。

⑥:原状回復工事ができる時間や曜日を確認する

原状回復の工事をする箇所やオフィスの場所によっては、工事が可能な時間帯や曜日が限定されるケースもありますので、事前に状況を確認をしておきます。

 

例えば、音や振動が発生する工事の場合、オフィスの立地によって休日に限定した工事が必要です。

休日もオープンしているビルの場合はさらに調整と工期の確保が必要となるため、管理会社やビルオーナー、施工業者と工事が可能な日時帯を確認をしておきましょう。

原状回復工事の費用は?

オフィスの原状回復工事の費用は、以下を目安にしておきましょう。

 

・小規模~中規模オフィスの場合:坪単価で2~5万円
・大規模オフィスの場合:坪単価で5~10万円

 

この場合、オフィスの規模は以下のような基準で考えておきます。

 

・大規模オフィス:100坪以上
・中規模オフィス:100坪未満
・小規模オフィス:30坪以下

 

あくまで目安ですが、50坪の中規模オフィスなら10万~250万円前後、100坪の大規模オフィスなら最低でも500万円以上の費用がかかる計算です。

原状回復の費用は、建物の築年数や地域によって相場が変動します。

目安の費用と見比べながら見積もりの金額を確認しましょう。

原状回復のスケジュール計画は綿密に

オフィスの原状回復は「入居前の状態に戻す」が前提ですが、自然な劣化や故意ではない損傷は回復が必要な範囲に含まれないのが一般的です。

原状回復が必要な範囲、施工業者の指定、工事のタイミングはほとんどの場合賃貸契約書に記載があります。工事の前に確認をしておきましょう。

 

原状回復工事は、オフィスの状況、工事可能な期間や時期を考慮して実施期間を設定する必要があります。工期に影響しそうな不明点や懸念点を一つひとつ明らかにした上で、実施可能なスケジュールを立てていきましょう。

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