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コロナ後のオフィスレイアウトを考える─感染対策につながる空間とは(8/11追記)

2020.08.11

(8/11 Update)
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の全国的な増加傾向を受け、厚生労働省が、職場内クラスターの要因分析などを踏まえた「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」の改訂版を8月7日付で公開しました。

本記事の内容と併せて、オフィスでの感染対策にご活用ください。

 

 


(6/19 Update)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緊急的な対策として、企業はいわゆる「3密(密閉・密集・密接)」を避けるためにテレワークの導入や時差通勤の実施を迫られました。

5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、オフィスへの通勤が可能となってからは、専門家会議が提言した「新しい生活様式」に対応した働き方が各企業に求められています。

なかでも総務や管理部門の担当者にとって喫緊の課題となるのが、感染リスクが高い従来型のオフィス空間のレイアウト変更です。

 

こちらの記事では、政府や日本産業衛生学会などのガイドラインを参考に、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に必要なオフィスレイアウトの具体例について詳しく解説します。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代の働き方はどうなる?

アフターコロナ時代のオフィスレイアウトを解説しています。

専門家会議が示した「新しい生活様式」

5月4日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症専門家会議の提言に基づいて、今後の新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」を発表しました。

「新しい生活様式」では、企業や個人はこれまで以上に飛沫感染、接触感染、近距離での会話への対策を取り入れることを求められています。

以下では、職場において具体的にはどのような対策が必要なのかを解説します。

「働き方の新しいスタイル」の具体例

「新しい生活様式」では、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に感染症を防ぐため企業に求められる「働き方の新しいスタイル」が示されています。具体的な例は以下の6つです。

 

・テレワークやローテーション勤務
・時差通勤でゆっくりと
・オフィスは広々と
・会議はオンライン
・名刺交換はオンライン
・対面での打ち合わせは換気とマスク

(出典:新しい生活様式|厚生労働省)

 

オフィス環境を考える上で特に重要なのは「オフィスは広々と」の例です。従来型のような、社員がオフィス空間内に密集する働き方を避け、デスクの間隔を空けるといった対策が必要となります。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代に求められるオフィス空間

感染症対策が喫緊の課題となった現在、これまでの常識とは全く異なった長期的な対策が企業や個人に求められています。

特に人が密集し会話の多いオフィス空間では、「3密を避ける」「身体的距離を確保する」などの従業員の行動から、オフィスのレイアウト変更に至るまで多方面の変革が求められています。

 

ここでは、どのような点を考慮する必要があるのかを、政府の提言を中心に解説します。

オフィスで回避すべき「3密」とは?

新型コロナウイルスの集団発生を防止するために避けなければならないとされているのが「3密」と呼ばれる以下の状況です。

 

1.換気の悪い密閉空間
2.多数が集まる密集場所
3.間近で会話や発声をする密接場面

(出典:3つの密を避けましょう|厚生労働省)

 

日本渡航医学会と日本産業衛生学会が共同で公開している「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では、職場環境で発生しやすい「3密」の状況について以下の対策を推奨しています。

 

・職域において「3つの密」にならないような対策(環境整備・行動制限)を実施する。
・喫煙室は「3密」の条件がそろい易いので、喫煙室の使用を中止すること。
・職場外においても「3密」の条件がそろう場所には近づかないこと。

 

「喫煙室の中止」は実施しやすい対策ですが、3密にならないような環境整備・行動制限とはどのようなものでしょうか。

同ガイドラインでは「換気を徹底する」「大声で会話をしない」「人と人との距離をとる」「混み合った場所や換気が不十分な場所では、不織布製マスクを着用する」などの措置を紹介しています。

ウィズコロナ・アフターコロナでは、フリーアドレスは基本禁止に

「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では、フリーアドレスの原則禁止を提言しています。

個人専用のデスクではなく、自由に座席を選んで仕事をするフリーアドレスは平常時であればコミュニケーション活性化などを目的に多くの企業で推奨されています。しかし、感染症対策の面から見るとフリーアドレスは不特定多数との接触機会を増やし、感染者が発生した際には接触者の把握が困難になるというリスクがあります。

 

ウィズコロナ・アフターコロナ時代のオフィスでは、従業員同士の接触機会を減らすためにデスクを固定化し、その上で執務をする階やエリアを限定するオフィス環境への切り替えが有効とされています。

オフィス空間で必要となる「身体的な距離の確保」

「新しい生活様式」では感染防止の3つの基本として「身体的距離の確保」「マスクの着用」「手洗い」が挙げられています。

 

感染症を防ぐのに必要なオフィス環境作りの面から特に重要と言えるのが「身体的距離の確保」です。オフィスで可能な「身体的距離の確保」で参考となるのは「新しい生活様式」で触れられている以下の2点です。

 

・人との間隔はできるだけ2メートル空ける(最低1メートル)
・会話するときは可能な限り真正面を避ける

(出典:新しい生活様式|厚生労働省)

 

「新しい生活様式」に合わせてオフィスのレイアウト変更を検討する際は、この2点をクリアできるかどうかが重要な要件となります。

 

デスクとの間に2メートルの間隔を設け、対面でのデスク配置を避けるとなると、執務室にこれまでと同じ人数を収容するのは難しくなるかもしれません。そういった場合にも対応できるよう、執務用のエリアを複数選定することも視野に入れ、レイアウト案を考える必要があるでしょう。

オフィス内の定期的な換気と消毒は必須に

オフィスの感染症対策では身体的距離を確保する他に、3密を避けるための定期的な換気と、手洗いや不特定多数が接触する箇所のアルコール消毒が有効とされています。

 

ドアノブや会議室のデスクなど、不特定多数が接触する部分は一日のうち何度か消毒を行います。この他、出勤時や外回りから従業員が戻った際には「手洗いもしくはアルコール消毒液(アルコール濃度70%~80%)による手指衛生を徹底させる」、「来客にはオフィス入場時に両手のアルコール消毒を要請する」、などの具体的なルールを職場ごとに設ける必要があります。

 

オフィスでの換気は、ただエアコンを起動させているだけでは不十分とされています。効果的に換気を行うコツとして、日本産業衛生学会は以下の方法を紹介しています。

 

・換気装置が「ON」になっていることを確認し、できるだけ「強」に設定
・空気の入り口を確保(換気扇と反対側の窓やドアを開けるなど)
・家庭用などのエアコンや扇風機等は、空気を循環させるだけで「換気装置」には非該当
・窓を開ける場合、2方向を開けると効果的(部屋の対角線上、高い位置と低い位置など)
・省エネルギー面では好ましくない場合があるが、喫緊の措置として換気を優先

(出典:新型コロナウイルス感染症(COVID19)対策用換気シミュレーター|公益社団法人日本産業衛生学会)

 

自社オフィスが3密の1つである「換気の悪い密閉空間」を作りやすい環境かどうか調べる方法もあります。日本産業衛生学会作成の「換気シミュレーター」を利用すれば換気の良し悪しを見積もり、感染症対策の改善に役立てることが可能です。

「ソーシャルディスタンス」を保つ具体的なオフィスレイアウト

この項では、「新しい生活様式」における具体的なオフィスのデスク配置に欠かせない「ソーシャルディスタンス」の考え方と、現在のオフィスからでも変更可能なレイアウトの具体例について解説します。

ソーシャルディスタンス(ソーシャルディスタンシング)とは

新型コロナウイルスの感染を防ぎ、オフィスのレイアウトを決める際に考慮する必要があるのが「ソーシャルディスタンス(ソーシャルディスタンシング)」という考え方です。

日本語では「社会的距離」の意味で、感染リスクを避けるために人と人との物理的な距離を保つことを指します。ソーシャルディスタンスを守るためには、具体的には人混みを避け他人との距離を約2メートル程度にすることが求められています。

 

「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」では、職場でソーシャルディスタンスを確保するための対策として以下の例が挙げられています。

 

・人が集まる休憩室や食堂等の利用を制限する
・対面での業務(会議含む)を制限し、テレビ会議等を利用する
・執務中は人と人の間隔を2メートル以上に保つ
・社内研修・セミナー等はテレビ会議等を利用、もしくは延期・中止する
・懇親会等の開催は中止する

(出典:職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド|一般社団法人 日本渡航医学会 公益社団法人 日本産業衛生学会)

 

ウィズコロナ・アフターコロナ時代のオフィスでは、ソーシャルディスタンスの確保を社内の共通理解とした上で、具体的なレイアウト案を考える必要があります。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代の対向式(島型)レイアウト案

1つのデスクの島に社員を集めて向かい合って座るレイアウトのことを対向式(島型)のレイアウトと呼びます。オフィスレイアウトの中では最も一般的ですが、人が密集しやすく感染リスクが高い配置です。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代においては、デスクの配置をソーシャルディスタンスを確保する形へ大幅に改変する必要があります。

ソーシャルディスタンスを考慮した具体的な改善策としては、以下の例が考えられます。

 

・デスクの左右を1席分空けて座る
・向かいの席は空席になるようにずらして座る
・上座に位置する場所は席として使用しない

 

デスクの幅によっては、1席開けただけでは2メートル確保は難しい場合もありますが、飛沫感染を防ぐため対面のデスク配置は極力避けるようレイアウトを設計しましょう。

同向型(並列式)へ変更するレイアウト案

同じ方向へデスクを配置するレイアウトを同向型(並列式)のレイアウトと呼びます。学校の教室のような配置であることからスクール式レイアウトとも呼ばれる形式です。

前の席の人との間隔を2メートル確保した同向型(並列式)レイアウトにすることで、ソーシャルディスタンスの確保と飛沫感染防止の対策が実施できます。

 

このレイアウト変更を行う場合は、同オフィス内での執務者数を半分程度まで減らす必要があり、残り半分の従業員の執務スペースを確保するために別の執務可能エリアを準備するか、テレワークやローテーション勤務者の割合を増やすなど、企業の状況にあった対応が必要です。

デスクの間にパーテーションを設置するレイアウト案

別エリアの確保が難しく、執務室で働く人数を減らせないという企業の場合は、左右や対面にパーテーションを設置するというレイアウト案を採用する選択肢もあります。

 

十分にソーシャルディスタンスが確保できないオフィスでも左右のパーテーションや、対面を遮るデスク上パネル、スーパーのレジで利用されるビニールスクリーンなどを利用することで飛沫飛散による感染を防ぐ対策が実施できます。

ただし、従来の対向式(島型)レイアウトをある程度保ちつつ、パーテーションを設置する場合は、レイアウト変更のみを行う場合より費用と設置の時間がかさむ可能性があるため注意が必要です。

 

【仕切りによるオフィスの飛沫対策】については、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

用途を限定しない柔軟なオフィス空間の活用

新型コロナウイルス感染症との闘いは長期戦が予想されます。

ウィズコロナ・アフターコロナ時代のオフィス空間も、一時的な変更ではなく、先を見据えた柔軟な活用を視野に入れてレイアウトを考える必要があるでしょう。

具体的な活用のポイントを2つ紹介します。

セミナー室や会議室を執務室として活用する

執務室をソーシャルディスタンスが確保できるようレイアウト変更した場合、執務室に入りきらない従業員はセミナー室や会議室で仕事をする必要が生じます。

接触機会を減らすためのセミナー延期や、Web会議、Web商談が推奨されるウィズコロナ・アフターコロナ時代は、セミナー室や会議室を第2の執務室として利用する余地があります。

 

第2執務室として利用できる条件は、3密にならないスペースがあること、換気が十分に行える環境かの2点です。第2執務室として利用する場合は、ウイルス感染者が発生した場合を考えて固定席利用のルールを作った方がよいでしょう。

執務室の中央をコミュニケーションスペースにする

執務室を同向型(並列式)や対向式(島型)レイアウトにせずコミュニケーション用のスペースに利用するといった案も考えられます。

 

中央の島や執務室全体ではなく、空間の四隅にデスクを配置し、中央を打ち合わせ用のコミュニケーションスペースに変更するレイアウトです。

感染症対策だけではなく、イノベーションを起こしやすい「攻めのオフィス作り」の一環としてオフィス改革を行うのも有意義ではないでしょうか。

コロナ収束後も有効活用できるオフィスレイアウトの実現へ

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、企業はテレワークの実施やソーシャルディスタンスを確保したオフィス改革を迫られています。

感染症の完全な収束がいつになるかの見通しはつきませんが、ソーシャルディスタンスの考え方、3密を避けた企業活動などは長期的に続くと考えられます。

レイアウト変更も一時の感染症対策と考えず、「新しい生活様式」が浸透した後の社会を見据えた視点を持って実施することが重要です。

アフターコロナ時代でも、コミュニケーションの活性化や生産性向上が見込めるオフィス環境の実現を今から目指していきましょう。

 

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