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(8/11 Update)
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の全国的な増加傾向を受け、厚生労働省が、職場内クラスターの要因分析などを踏まえた「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」の改訂版を8月7日付で公開しました。
本記事の内容と併せて、オフィスでの感染対策にご活用ください。
(6/29 Update)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続く中、オフィス空間での感染リスクを防ぐため、ウイルスが付着した物を触ることによる「接触感染」の対策が極めて重要になっています。
ウイルスを蔓延させないためには、手洗いの徹底やオフィス設備の消毒が必要となります。具体的にはどの場所をどの程度消毒し、特に感染リスクが高いとされるトイレの利用や清掃はどのように行えば良いのでしょうか。
今回は、専門家会議や経団連作成のガイドラインに基づき、すぐに取り組めるオフィスでの具体的な接触感染対策について解説します。
オフィスで接触感染対策が必要な背景
新型コロナウイルスは季節性インフルエンザと同じ程度に感染力が強く、物に付着した後も最大72時間も生存すると言われています。
従業員に感染者がいなくても、衣服や手などに付着したウイルスが起点となってオフィス空間内での接触感染が広がる可能性があります。
接触感染のリスクとオフィスで生じやすい接触感染の例について解説します。
接触感染の危険とは?
新型コロナウイルス感染症は「飛沫感染」または「接触感染」によって感染します。
「飛沫感染」とは感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つばなど)に含まれるウイルスを口や鼻などから吸い込むことによる感染、「接触感染」はウイルスが付着した物を触ることによる感染です。
新型コロナウイルスは、物に付着した後も24時間~72時間ほど感染力が持続すると言われ、感染者と直接接触していなくとも接触感染が生じるリスクがあります。
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後に、その手で周囲の物に触れると、ウイルスが付着します。ウイルスが付着した物に他の人が触れ、その手で口や鼻、目を触ることにより粘膜から感染が起こります。
WHOの報告によると、ウイルスはプラスチックの表面で最大72時間、ボール紙では最大24時間生存すると考えられています。
(参考:厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A 【一般の方向け】)
オフィスで発生する接触感染の例
厚生労働省の発表した「新しい生活様式」の実践例や専門家会議の提言では、職場で生じる接触感染のリスクを解説しています。
具体的に接触感染が発生しやすいのは、共用PCやドアノブなどに触れたときやトイレ利用の場面です。また、接触感染防止の観点から、名刺交換もシステムを使ってオンライン上で行うことが推奨されています。
(参考:厚生労働省|「新しい生活様式」の実践例)
(参考:厚生労働省|新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」 2020年5月4日)
オフィスで徹底すべき接触感染防止対策
オフィスで接触感染を防ぐために企業はどんな対策を取るべきなのか、すぐに実施できるポイントをいくつか紹介します。
定期的な手洗い、手の消毒の徹底
接触感染のリスクを減らすため、まず徹底する必要があるのが手洗いと消毒です。具体的に企業が準備し、従業員に要請する必要があるのは以下の点です。
・始業時、休憩後を含め、定期的な手洗いを徹底する
・このために必要となる水道設備や石けんなどを配置する
・水道が使用できない環境下では、手指消毒液を配置する
ただ手を洗うだけではウイルスを完全に取り除くことはできません。
洗い残しが多いとされる、爪、指先、手首、指の間、親指と人差し指の間は、特に注意して手洗いを行うよう従業員に周知しておきましょう。
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
(参考:厚生労働省|手洗いについて)
休憩スペースの消毒
人が密集しやすい休憩スペースも感染リスクが高い場所と考え、定期的な消毒を行います。消毒や換気は効果的ですが、従業員が同時に休憩スペースに入らないよう休憩時間をずらすなどの工夫を行うことも重要です。
リスク減のため場合によっては休憩スペース自体を一時的に閉鎖することも視野に入れておきましょう。
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
設備、器具の消毒
感染リスクを減らすため、日常的に触れるオフィスの設備や器具の消毒は欠かせません。
経団連のガイドラインが示しているオフィス空間で定期的な消毒が必要な箇所は以下の点です。
・ドアノブ
・電気のスイッチ
・手すり
・エレベーターのボタン
・ゴミ箱、電話、
・共有のテーブル・椅子
オフィスから出るごみについてもガイドラインで推奨されている以下のような取り扱い方を周知しておく必要があります。
・ごみはこまめに回収し、鼻水や唾液などがついたごみがある場合はビニール袋で密閉する
・ごみの回収や清掃作業を行う従業員は、マスクや手袋を着用し作業後には手洗いを徹底する
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
外部関係者向けにも感染防止対策への協力を依頼
取引先をはじめとする外部の関係者の立ち入りについても、協力を仰いだ上で接触感染リスクを減らす対策を実施する必要があります。
来訪者にはオフィスに入る前の手洗いと消毒、マスクの着用などに協力してもらえるよう理解を求めましょう。
来訪前に案内メールを送る、オフィスの入り口に来客用の感染症対策一覧を掲示しておく、来訪時に自社スタッフが口頭で協力を依頼するなど、具体的に説明し理解を促すことが重要です。
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
ウイルス蔓延を防ぐトイレの利用の考え方
特にウイルスが蔓延しやすいと考えられるのが、多くの従業員や外部関係者が出入りする自社のトイレ空間です。
どうすれば接触感染症のリスクが減らせるのか、どんな点に注意して対策を取ればいいのか、具体的に解説します。
トイレ空間を消毒清掃する
NPO法人日本トイレ研究所が発表した「再開時のトイレ対応、5つのポイント」によると、トイレ空間で消毒液を使用した清掃が推奨されるのが以下の8箇所です。
・洗浄レバー・ボタン
・便座
・蓋
・トイレットペーパーのホルダー
・蛇口
・ドアの取手
・手すり
・便座スイッチ
トイレ清掃を清掃業者に委託している場合も、接触感染リスクを減らす観点から洗面スペースは従業員が定期的に消毒することをおすすめします。
個室トイレは蓋を閉めて流すよう周知
個室トイレは蓋を閉めてから流すよう、個室内に注意書きの紙を貼って周知しておくと良いでしょう。
蓋を閉じることで、排泄物から空気中に逃げる粒子の80%を防ぐことができると言われています。
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
ハンドドライヤー、共通タオルは使用しない
接触感染と飛沫感染を防ぐ観点から、ウイルスが広範囲に飛ぶハンドドライヤーと不特定多数が触れる共通タオルは使用を中止します。
代用としてペーパータオルを設置するか、従業員に個人用タオルを持参してもらうよう呼びかけましょう。
この他に、トイレを換気の悪い密閉空間にしないため、こまめな換気を実施することが重要です。
(参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン)
接触感染対策の周知を徹底し、ルーティン化させよう
オフィスでの接触感染を防ぐためには、従業員一人一人の協力が必要となります。
口頭や社内イントラネット、メールなどで呼びかけるだけでなく、トイレ内やオフィスの見える場所に接触感染対策の注意点をプリントアウトして掲示しておくとより効果的です。
ウィズコロナ・アフターコロナ時代は、手洗いや消毒の徹底などの感染リスクを減らすための対策が常態化すると考えられます。
今回紹介した接触感染対策が、一時的な実施で終わらず、感染を防ぐルーティンの作業となるよう実践と周知を徹底していきましょう。
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