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労働条件通知書とは?雇用契約書との違いや記載事項を解説

2019.11.07

労働条件通知書と雇用契約書は、どちらも入社時に会社から社員に渡される書類です。ただ、会社によって、どちらか一方のみ作成する、両方作成するなど、対応が異なる場合があります。

人事労務担当者にとっては、入社手続きに追われる中、労働条件通知書と雇用契約書の違いや、どちらも作成する必要はあるのかなどは、気になる部分ではないでしょうか?

今回は、労働条件通知書と雇用契約書の違いを紹介し、記載事項や交付方法など、それぞれを作成する際の注意点についてまとめます。

(社員の入社手続きについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください)

労働条件通知書とは

労働条件通知書と雇用契約書の違いや記載事項を解説します。
労働基準法では、労働契約締結時の労働条件の明示を使用者に義務付けています。また、労働基準法施行規則では、労働条件の明示が必要な事項を具体的に挙げて、そのうちの特に重要な事項については、原則、書面の交付によることを定めています。

労働条件通知書は、これらの労働基準法令上の義務を果たすための書類ということになります。その様式について、厚生労働省では、モデル労働条件通知書(https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/)を作成していますが、労働条件の明示が必要な事項が網羅されていれば、任意の様式で構いません。

労働条件通知書に明示が必要な事項

それでは、労働条件通知書の内容となる労働条件の明示が必要な事項には、どのような項目があるのでしょうか。以下、具体的に見ていきましょう。

 

a. 労働契約の期間
b. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
c. 就業の場所・従事すべき業務
d. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制に関する事項
e. 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期
f. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
g. 昇給に関する事項
h. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、支払の時期
i. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等、最低賃金額
j. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
k. 安全衛生、職業訓練、災害補償・業務外の傷病扶助、表彰・制裁、休職に関する事項

 

a~fは原則、書面の交付による明示が必要で、g~kは口頭による明示も可とされています。
また、h~kは制度として定めている場合に明示が必要となります。上記にかかわらず、パートタイム労働者は、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」は書面等で明示する必要があります。

雇用契約書とは

ここまで、労働条件通知書は、労働基準法令上の労働条件の明示義務を果たすもので、様式は任意ながら、必要記載事項は詳細に定められていると紹介しました。
それでは、一方の雇用契約書は、どのような書類なのでしょうか。労働条件通知書と比較しながら解説していきます。

 

雇用契約書は、文字通り、雇用する側とされる側が取り交わす契約書です。雇用契約は、契約の締結当事者双方の合意のみにより成立する契約(諾成契約)ですので、契約書の作成は義務ではなく、任意ということになります。この点は、労働基準法令上の義務による労働条件通知書とは異なります。

ただし、だからと言って雇用契約書は必要ないのかというと、そういうわけではありません。雇用契約書には、契約の締結当事者双方の署名捺印がなされるため、通常、使用者の捺印のみである労働条件通知書に比べて、言った言わないの争いが起きにくいからです。

 

実務上、どちらか一方のみを作成する場合は、雇用契約書なら、労働条件の明示が必要な事項を漏れなく盛り込んで作成するようにします。雇用契約書と労働条件通知書を兼ねるということです。労働条件通知書なら、最後に「上記労働条件に同意します。」等の一文を追加し、その下に本人の署名捺印をもらいます。雇用契約書だけでなく、労働条件通知書も、2部作成し、1部は本人控え、1部は会社控えとすると良いでしょう。

雇用契約書の作成上の注意点

その他、労働条件通知書と雇用契約書の作成上の注意点について、紹介していきます。

まずは、労働条件通知書の交付方法についてですが、これまで書面の交付に限られていた方法が、平成31年4月1日施行の改正労働基準法施行規則により、FAX・Eメール・SNSメッセージ機能等により行うことも可能となりました。原則が書面の交付であることは変わりませんが、今後、労働者が希望した場合は、SNS等での明示が認められます。

 

Eメール・SNSメッセージ機能等による場合は、その記録を出力することにより書面を作成することができるものに限るとされており、厚生労働省のリーフレットでは、印刷や保存がしやすいよう、添付ファイルで送ることが推奨されています。SNS本文に直接記載し、労働条件を細切れに明示するのは、印刷する際に途切れてしまうため、望ましくないそうです。また、言った言わないを防ぐためには、労働者がSNS等による明示を希望したこと、本当に到達したかなど、確認・記録することも重要です。

 

次に、労働条件通知書と雇用契約書の交付時期についてですが、実務上は、入社日に渡している会社も多いものです。ただ、入社する社員は、事前に聞いていた条件と実際の条件が違っていないか気にしている場合も多いため、採用内定から入社までの間に送付して確認してもらい、入社日に署名捺印したものを持参してもらうと良いでしょう。

労働条件通知書と雇用契約書は、記載事項に注意し、入社時のトラブル回避を

今回は、労働条件通知書と雇用契約書の違いや、記載事項や交付方法など、それぞれを作成する際の注意点について紹介しました。
労働条件通知書と雇用契約書のどちらを作成する場合も、労働条件の明示が必要な事項を漏れなく盛り込み、本人が承諾したことを客観的に分かるようにしておくことが肝要となります。

労働条件の明示が必要な事項は、労働条件の中でも重要なもので、入社する社員も気にしていることが多いものです。入社時の無用なトラブルを避けるため、労働条件通知書や雇用契約書はしっかりと作成していきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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