WELL認証とは 〜働く人の健康や快適性からオフィスを評価する〜 | akeruto_ はたらく未来のカギになる

Akeruto はたらく未来のカギになる

MANAGEMENT

WELL認証とは 〜働く人の健康や快適性からオフィスを評価する〜

2020.02.27

アメリカの公益企業IWBI(International WELL Building Institute)が2014年に公開したオフィス空間の新しい評価基準「WELL認証(WELL Building Standard®)」が注目を集めています。

 

これまで建築物に対する評価基準としてはGBCI(Green Building Certification Inc.)が運用する「LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)がありましたが、LEEDが環境と資源に配慮するなど“環境の持続性”に重きを置いたのに対し、WELL認証は建物内で働く人たちの“ウェルビーイング”(Well-being=身体面・精神面・社会面、すべてにおける健康)に重点を置いているのが特徴です。

本記事では、WELL認証が普及してきた背景やメリット、審査基準などをご紹介します。

WELL認証とは

WELL認証について説明しています。
WELL認証とは、空間のデザイン・構築・運用に「人々の健康」という評価を加え、健康で幸せな暮らし(ウェルビーイング)に影響する様々な機能を測定・評価し、一定以上の基準を満たした空間に対して認証をする評価システムのことです。

従来の空間評価システムと比べ、空間内で過ごす人が心身ともにより快適かつ健康でいられることを重視しているため、設計・建設・運用の成功事例はもとより、実績に基づいた医学的かつ科学的な研究を組み合わせた評価システムとなっています。

WELL認証の現状

一般社団法人グリーンビルディングジャパンによれば、世界のWELL認証登録件数は、アメリカ(1,438件)、イギリス(1,326件)、中国(417件)の順で、認証済み件数はアメリカが91件、中国が52件、そしてフランスとオーストラリアが15件ずつとなっています。(一般社団法人グリーンビルディングジャパン発表の2019年11月4日現在のデータ)

日本は認証登録件数が31件、そのうち認証済みの施設は3件で、登録・認証済みの件数は年々増加しています。

WELL認証普及の背景

WELL認証普及の背景には、慢性的な人材不足や働き方の多様化があります。特に日本では、若年人口の減少に対して求人ニーズは高まるという反比例が起こっており、高額な報酬を提示するだけでは優秀な人材が集まりにくくなっているのが現状です。

そこで、他社との差別化を図る「ウェルビーイングを重視した取り組み」が注目されるようになりました。また、価値観の多様化によって従来の自己犠牲的な働き方は敬遠され、ワークライフバランスが叫ばれるようになってきたこともウェルビーイングを重視する傾向を後押ししています。

人間の持続可能性への配慮

WELL認証以前の建築物評価基準としてはLEEDがありましたが、こちらは土地の場所、建築物の完成、そして解体に至るまでのすべての過程で「環境の持続性」を目指し、より環境に優しい建物を作ろうとしたものでした。

一方、環境の持続性ではなく、生物としての「人間の持続性」に着目しているのがWELL認証になります。近年ESGやSDGsが関心を集めているように、環境問題だけでなく、社会問題として人間の健康への対策を企業に求める機運が世界中で高まっていることも、WELL認証誕生の背景といえるでしょう。

投資家へのインパクト

ESG投資の存在感が高まっている影響もあり、企業のWELL認証への取り組みは投資家へのインパクトが少なくないと考えられます。例えば、日本で最初にWELL認証を受けた株式会社大林組の技術研究所は、その実績からESG債(環境問題など社会課題の解決に資金を限定した社債)の起債を実現しています。

WELL認証を取得する企業側のメリットとは

WELL認証を取得することで、従業員は快適さや健康維持といったメリットを受けられます。一方、企業側は医学的及び科学的な実績に基づいた空間構築・運用を行うことで、従業員の疾病リスクを減らし、業務のパフォーマンスと生産性の向上が期待できます。また、従業員自身の健康意識や会社への帰属意識が高まることもあるでしょう。

 

さらに、対外的なアピールとしてワークライフバランス、健康経営、働き方改革などに対する企業の意識を示すことができます。少子高齢化が進み労働人口が減少していく中、「人を優先する企業」として認識が高まれば、優秀な人材の獲得や離職率の低下が期待できます。

WELL認証は世界基準であることから企業のブランディングにつながり、収益や不動産価値の上昇にも貢献する可能性があります。

 

では、WELL認証では実際にどのような審査が行われるのでしょうか。ここからはWELL認証の審査基準をご紹介します。

WELL認証の審査基準

WELL認証には「v1」と「v2」の2つの認証システムがあります。
以下、それぞれの審査基準を説明します。

WELL認証 v1の審査基準

v1はオフィスを主対象とし、「新築および既存の建物」「新築および既存のインテリア」「コア&シェル(テナントビル)」の3つのタイプ別に、ウェルビーイングに関わる7つの評価コンセプト「空気・水・食物・光・フィットネス・快適性・こころ」で採点します。

認証は3年間有効で、認証を継続するには再認証が必要となります。

WELL認証 v2の審査基準

v2は、v1を多くの点で改良したパイロット版として2018年5月に開始されました。

より良い空間でウェルビーイングを向上させるため、v1とは異なる「空気、水、食物、光、運動、温熱環境、音、材料、こころ、コミュニティー」の10の評価コンセプトで構成されています。

現在はv1とv2とで並行して運用されていますが、いずれはv1の登録が終わり、v2のみの運用となる予定です。

(v1とv2の評価コンセプトごとの詳しい項目は、一般社団法人グリーンビルディングジャパンのWebサイト https://www.gbj.or.jp/ 内にある「WELL v1 評価項目」と「WELL v2 評価項目」をご参照ください)

WELL認証の取得は、投資家へのインパクトや優秀な人材確保につながる

LEEDが環境を重視した評価基準であるのに対し、WELL認証は人間の健康や快適性を重視した評価システムです。

働き方や価値観が多様化し、SDGsやESG投資の機運が高まるいま、WELL認証を取得して医学的かつ科学的な実績に基づいた空間を用意することは、従業員のウェルビーイングに配慮した「人を優先する企業」という評価を生み、投資家からの関心を得られる可能性も高まります。

生物としての人間の持続性に配慮したWELL認証を取得する企業は、今後も増加していくでしょう。これを機に、ぜひWELL認証の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考インタビュー】
“カギ”は活動の時間割合とモビリティ──イトーキが進めるABWを採り入れた働き方変革とは

“最後は感性を大切にする”──青山フラワーマーケットの姉妹ブランド 「parkERs」が進めるオフィス空間デザインとは

関連記事