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欧米で主流の「ジョブ型雇用」とは─米・独の雇用形態や転職事情を紹介

2020.10.14

世界のはたらく5のメインビジュアルです。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が拡大してから、日本の働き方にも大きな変化が起こりました。

感染症対策でテレワーク制度を導入する企業が増える一方、テレワークの普及により直接勤務態度が見えない従業員の仕事ぶりを把握することが難しくなり、人事評価制度を「時間管理」から「成果主義」に移行する企業も現れています。

 

実際にコロナ禍以降、日立製作所、資生堂、富士通、KDDIといった日本を代表する企業が、日本特有の雇用システムである「新卒一括採用」(メンバーシップ型採用)から職種別に採用する「ジョブ型」雇用へ移行することを発表しました。

 

今回は、日本における“雇用のニューノーマル”として注目されるジョブ型雇用について、成果主義を主流とする欧米企業の雇用形態や最新の雇用事情を紹介します。

転職回数最多・アメリカの雇用形態

アメリカでは、年間を通し必要に応じて自由に採用活動を行う「通年採用」が一般的です。

日本のような「新卒一括採用」は行っておらず、求人を出している職種に対して即戦力が求められます。

 

このため、アメリカでは大学生のインターンシップ制度が100年以上前から浸透しており、インターン生は2、3か月という長期間をフルタイムで働き、実務経験を積みます。

インターンシップがきっかけで卒業後にその企業での就職が決まる人もいれば、インターンシップ先での経験や人脈によって将来の就職が決まることもあるため、学生にとって非常に重要な制度となっています。

 

また、アメリカは非常に厳しい成果主義・実力主義社会です。

賃金は労働の対価であるという考え方が強いため、たとえ努力をしていても良い結果が出せなければ解雇になることは珍しくありません。

一方で、成果を出せば、年齢に関係なく昇給・昇進が可能なため、従業員のモチベーションは高くなります。

 

さらに、アメリカは担う仕事に対して給与を支払う「職務給」であるため、日本のように勤務年数が長くなるにつれて給与が上がるということはありません。
そのため、キャリアップや年収アップを目指して転職することは一般的とです。

 

特に1980年〜1995年の間に生まれた「ミレニアル世代」や、1996年〜2015年の間に生まれ、子供の頃からインターネットの利用が可能であった「Z世代」と呼ばれるアメリカの若者は、2、3年で次の職場へ転職することも多く、良い機会があれば転職をして新たな道を進むことに抵抗がありません。

日本のように「総合職」がないアメリカにおいては、積極的に次のステージを求め、新たな経験とスキルを身に着けていくことが重要と考えられています。

 

このように転職に前向きな傾向があるため、企業側は優秀な人材を確保しようとフリーランチや社内イベントなどの福利厚生を充実させたり、職場環境や労働条件の改善に努めています。

しかし、一方で、その職種が会社にとって必要が無くなれば、部署ごとリストラを敢行するということもしばしば見られます。

職人の国・ドイツの雇用形態

ドイツもアメリカと同じくジョブ型雇用制度を採用していますが、アメリカに比べると転職は一般的ではありません。

これは、ドイツの教育制度に関係があり、ドイツでは日本の小学4年生にあたる時期に、“大学を目指すか”、“専門的な職業教育を受けるか”を決めるのが一般的です。

 

また、ドイツには「アプレンティスシップ」という実習制度があり、週に1、2日は学校で専門知識を学び、残りの週3、4日は企業で実際に仕事の経験を積みます。

これは「デュアル制度」と呼ばれるドイツ伝統の教育法で、学生は卒業する頃には専門知識やスキルを有し、即戦力として働けるようになっています。

このため、ジョブ型雇用制度が理に適っていると言えます。

 

なお、ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)の2012年発表のレポートによると、ドイツ人が1つの企業で勤務にあたる期間は平均約11年でした。

企業が従業員のスキルアップをサポートする体制があり、賃金も良いため、従業員は自分が働いている企業に対して高いロイヤルティを持っています。

一方で、早い時期から専門が決まるため、他業種・他職種への転職が難しいという実情もあります。

米・カリフォルニア州の最先端の雇用事情

シリコンバレーを抱え、多くの大企業を有する米カリフォルニア州は、アメリカの中でも先鋭的な働き方・採用方法を取り入れていることで有名ですが、2018年には面接時に企業が応募者に「前職の給与額」を尋ねることを法律で禁止しました。

 

これは、あくまで職務内容に応じて公平に採用・給与額の決定を行うことを目的としており、雇用側が過去の給与額をもとに採用の可否を決めることや、採用時の給与額の設定に性別や人種による格差が出ることなどの回避に役立つと言われています。

同様の法律は、マサチューセッツ州、フィラデルフィア市、ニューヨーク市でも採用されています。

 

また、シリコンバレーに本社を構えるFacebook(Facebook, Inc.)は、2030年までに従業員の50%を完全テレワークに移行する計画を発表しました。

これにより、オフィスの所在州に限らず全国から優秀な人材を採用する方針も示しています。

テレワークが浸透することで、居住地を問わず優秀な人材を獲得するというトレンドは今後ますます大きくなっていくと考えられます。

「ジョブ型雇用」は日本の“雇用のニューノーマル”になるか

コロナ後の働き方の変化に伴い、日本でも今後評価制度や雇用制度が大きく変わっていくことが予想されます。

新卒一括採用をやめて成果主義やジョブ型雇用に切り替える場合は、アメリカとドイツの例からも、学生が卒業前に十分な専門知識を学び、実務経験を積める機会を作ることが大切になります。

また、同じジョブ型雇用を取り入れているアメリカとドイツですが、転職に対する考え方やトレンドが大きく異なることは興味深く、それぞれの長所と短所を見ながら、日本に合う仕組みや取り組みを採用したいものです。

 

いずれにしても、成果主義・ジョブ型雇用を推進するのであれば、企業側は従業員が働きがいを感じられるようにメンバーシップ型の報酬制度や昇進制度を見直す必要があり、従業員側は自ら積極的にスキルや知識を習得し、専門性を高めていくことが重要になるでしょう。

 

特定社会保険労務士が解説する「ジョブ型雇用の人事制度設計のポイントや雇用管理上の注意点」については、こちらの記事をご参照ください。

 

▼欧米企業に見るニューノーマルの働き方

⑤欧米で主流の「ジョブ型雇用」とは─米・独の雇用形態や転職事情を紹介

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