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Facebookとボルボに見る─テレワークへの取り組みとオフィス・工場再開時の対策

2020.07.16

「世界のはたらく1」のメインビジュアルです。

 

5月25日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策としての緊急事態宣言が全国で解除されました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が完全に終わったわけではなく、世界ではいまだ感染者数は増加しています。

このような状況下で、“ニューノーマル”(New Normal)といわれる「3密」を避けた新しい生活様式、新しい働き方へ対応する必要が出てきました。

 

では、新型コロナウイルスが収束した後、私たちの働き方はどう変わるのでしょうか。

今回は、テレワークやオフィス環境のつくり方など、働き方に関して先進的な取り組みをしている欧米企業の最新事例をご紹介します。

日本企業に多いテレワークの運用課題

新型コロナウイルス感染症の影響により、日本でも多くの企業が緊急で在宅勤務もしくはテレワークの導入に踏み切りました。

 

しかし、日本経済新聞社が提供するシェアオフィスの利用権販売サービス「OFFICE PASS」の調査によると、「社員への在宅勤務やテレワークの要請・推奨」を行った企業のうち、大企業の9割、中小企業の7割がその運用に課題を感じていることが明らかになりました。

 

多くの企業が挙げている課題としては、「押印や資料閲覧など紙を前提としたワークフローへの対応」、「WiFi、オンラインセキュリティ、ITツールなど技術的インフラの構築」、「ITツールの使い方がわからない従業員への対応」、「従業員の生産性低下への懸念」などが挙げられます。

 

このような日本企業における課題はどのように解決できるのか。

ここからは、米Facebook(Facebook, Inc.)の取り組みや施策を例にとって紹介していきます。

テレワークの課題と対策 – 米・Facebookの事例 –

FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、2030年までに全従業員の50%を永続的にテレワークに移行する方針を発表しました。

これは、最先端の働き方を導入するアメリカのIT企業の中でも一番早い段階での決定でした。

 

では、Facebookは上記のような日本の企業がかかえる課題をどのように解決しているのでしょうか。

テレワーク時の対策①:紙を前提としたワークフローへの対応

まず、押印などの紙によるワークフローは日本特有の文化で、Facebookに限らず多くの欧米企業は電子署名システムを使用しています。

環境面への配慮もあり、紙の資料は極力保管せず、電子ファイルをクラウドで管理しています。

また、FAXを使用せずPDFファイルをメールで送るのが主流となっています。

 

日本でも今回の新型コロナウイルス感染症の影響拡大を受けて、押印などの商慣行の見直しについてさまざまな場所で議論されており、今後企業だけでなく政府でどのような取り組みが進んでいくか注目されます。

テレワーク時の対策②:技術面での施策

Facebookは自社で開発したツール「Workplace」やAlexa搭載のスマートディスプレイ「Portal」を使用し、早い段階からオンラインでのコミュニケーションに活用してきました。

これらの使用方法は、YouTubeにあるチュートリアル動画で誰でも学ぶことができるようになっています。

 

Facebookは新型コロナウイルス感染症がアメリカで流行をはじめた早い段階で全社員に在宅勤務を要請しましたが、3月17日の社内通知にて1人あたり1,000ドル(約10万7000円)の特別支援手当を支給し、在宅勤務に必要な備品の購入などをサポートしています。

テレワーク時の対策③:生産性を上げるための施策

テレワークに関する専門のWebサイトを従業員向けに作成し、テレワークをスムーズに始めるための情報や、快適かつ生産的に業務を行うためのコツを紹介しています。

 

例えば、

 

・1日のスケジュールを家族と共有する
・労働時間ではなく会社への「インパクト」が評価されることを周知する
・業務をするのに一番最適な時間を決め、それ以外はパソコンなど仕事に関わるものは一切見ないように徹底し、家族と時間を過ごす
・食事やエクササイズを家族と行う

 

など、家族との時間の作り方を紹介しています。

 

また、ストレス対策では、

 

・カレンダーに休憩時間を記しておき、休憩をしっかり取る
・会議時間を5分短くする
・バーチャルハッピーアワーを設ける

 

など、在宅勤務でもストレスや孤立感を溜め込まないように様々なコツが記載されています。

 

そして、部下をリモートで管理するマネージャーへは、

 

・毎週の1対1のミーティングやチームミーティングの設定
・期待しているパフォーマンスを明確にして部下に伝える
・土壇場になっての会議や業務のリクエストは避ける

 

など、こちらも細かくアドバイスが紹介されています。

 

このように、業務だけに限らず、個々の家庭事情なども配慮に入れた生活全体に関する内容が含まれています。

なお、Facebookは前述の特別支援手当以外にも、コロナ禍における従業員やその家族のストレスをケアするために特別休暇も設けています。

 

ザッカーバーグ氏は当初「テレワークにすると従業員の生産性が落ちるのではないか」という懸念を抱いていました。

しかし、様々な施策の結果、社内調査では従業員の生産性はむしろ上がったことが確認され、アフターコロナもテレワークの従業員を増やすという方針を決定しています。

オフィス・工場のニューノーマル – 北欧・ボルボの事例 –

アフターコロナでは、テレワークがますます定着する可能性がありますが、業務内容によってはオフィスに出社しなくてはならない従業員もいます。

そのような従業員の安全はどのように確保すれば良いのでしょうか。

 

“働き方先進国”北欧スウェーデンの自動車メーカー・ボルボ(Volvo Car Corporation)では、3月17日に全世界で生産工場の稼働を停止し、多くの従業員に在宅勤務を要請しました。

そして、4月後半から徐々に世界の工場とオフィスを再開するにあたって様々な施策を打ち出しています。

 

ここでは、ボルボが講じた施策も見ていきましょう。

オフィス・工場のニューノーマル①:マスクとフェイスシールドの着用

従業員に使い捨てマスクまたは布製マスクを配布し、着用することを要請しました。

また、フェイスシールドの着用も推奨しています。

オフィス・工場のニューノーマル②:体温検査の義務化

メインエントランスにて医療専門家による従業員の体温検査を実施し、従業員に対し、

 

①過去14日間において海外渡航歴があるか
②過去14日間に新型コロナウイルスの感染が疑われる人と接触したか
③風邪症状または体調不良がないか

 

の3つの質問への回答を要請しています。

オフィス・工場のニューノーマル③:シフト勤務とソーシャルディスタンス

休憩時間まで細かく分けたシフト勤務表の作成や、社員食堂の人数制限によって、従業員が休憩時間に密集しないよう対策を講じました。

オフィス、会議室、作業エリア、すべての施設でソーシャルディスタンスが保てるようレイアウトの見直しを行い、十分なソーシャルディスタンスが保てない場合は、作業プロセス自体の変更を行いました。

 

アフターコロナのオフィスレイアウトについては、こちらの記事をご参照ください。

オフィス・工場のニューノーマル④:接触感染対策ほか

“接触感染対策”として、自動ドアのボタンを肘で押すよう促すシールを貼り、社内の電子レンジ、ウォーターサーバー、コーヒーマシーン、冷蔵庫の使用を禁止しました。

ドアは全部開放にし換気を良くするとともに、オフィス家具をこまめに消毒し、随所にハンドアルコールジェルも設置しています。

その他、ショールームへの来客を完全予約制にし、オンラインでの対応も行っています。

 

オフィスでの接触感染対策については、こちらの記事をご参照ください。

テレワークかオフィス出社か?最新レポートからみる欧米企業の従業員の本音

実際に現在、在宅勤務やテレワークを行っている人は、アフターコロナの働き方についてどのように感じているのでしょうか。

 

米最大の建築設計事務所ゲンスラー社(M. Arthur Gensler Jr. & Associates, Inc.)が、4月16日から5月4日にかけて、アメリカのオフィスワーカー2,300人超を対象に行った調査によると、新型コロナウイルスが収束した後も完全な在宅勤務・テレワークを希望すると答えたのは全体の12%でした。

70%の人は週3〜5日という大半をオフィスへ出社することを希望しており、オンラインではない直接のコミュニケーションを望んでいます。

この傾向は、特にミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若い人たちの間に多く見られました。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大前とは異なるオフィスや働き方の形を希望している人が多くいることも分かりました。

 

これからのオフィスには、十分なソーシャルディスタンスや徹底した消毒と清掃、さらに厳しい健康管理、状況によるフレキシブルな働き方の選択が求められています。

 

アフターコロナでは、家庭や個人の事情や環境に適したよりフレキシブルな働き方が進んでいくと考えられます。

在宅勤務・テレワークのための環境を整えるとともに、安心してオフィスへ出社できるための施策を講じていくことが大切になるでしょう。

 

▼欧米企業に見るニューノーマルの働き方

①Facebookとボルボに見る─テレワークへの取り組みとオフィス・工場再開時の対策

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