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労働安全衛生法が改正!「労働時間の状況の把握」ってどうやるの?

2019.10.02

2019年4月から労働安全衛生法が改正され、「労働時間の状況の把握」が企業の「義務」となりました。

【今回の改正ポイント】

①「労働時間の状況の把握」の「義務化」は管理職も対象とすること

②客観的その他適切な方法で「労働時間の状況の把握」を行うこと

これまでも、労働時間を把握することについては、「使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。」としたガイドラインはありましたが、「使用者の義務」として明文化はされていませんでした。
2019年4月の法改正より、労働者の健康確保措置を適切に実施できるよう、管理職も含めた「労働時間の状況の把握」を企業に義務付けました。
社員の労働時間をきちんと把握するということは、給与の計算や、働き方改革という点からも、重要なポイントであるといえますが、一方で、適切に労働時間を把握することは難しいと感じている人事総務担当の方も多くいらっしゃると思います。

そこで今回は、改正された労働安全衛生法とはどういったものであるのか、そして、労働時間の適切な把握の方法について考えていきたいと思います。

労働安全衛生法とは?

労働安全衛生法は「労働者の安全と衛生についての基準」を定めた日本の法律です。
「職場における労働者の安全と健康を確保する」とともに、「快適な職場環境を形成する」という目的で制定されました。

労働安全衛生法の改正と着目すべき2つのポイント

労働安全衛生法の改正内容や労働時間の適切な把握の方法を解説
2018年6月、現政権の重要政策である「働き方改革関連法案」が参院本議会で可決され、2019年4月から施行されることになりました。この働き方改革関連法の施行に合わせて改正されたのが、「労働安全衛生法」となります。

労働安全衛生法の改正における主なポイントは以下2点になります。

①「労働時間の状況の把握」の「義務化」は管理職も対象とすること

労働時間を適正に把握する責務を示したガイドラインに対し、今回の改正では、「労働時間の状況の把握」を「義務」として企業に求めることになりました。
これは、働き方改革関連法が、企業が適切な労働時間管理をしていることを前提としているためです。

そして、この労働時間の状況の把握については、一般従業員のみならず、管理職として働く社員においても義務付けられています。
その理由としては、現代の管理職として働く社員は、一般従業員と同程度の労働を行っている人も多く、そのような過重労働を抑えるために、管理職の社員についても労働時間を把握することを義務付けています。

②客観的その他適切な方法で「労働時間の状況の把握」を行うこと

今回の労働安全衛生法の改正によって義務化された、労働時間の状況の把握については、客観的な方法その他の適切な方法で行うことを企業に義務付けています。
客観的な方法は、タイムカード、パソコン等の使用時間の記録、事業者の現認等が例示されており、原則としてこれらの方法により、出退勤時刻や入退室時刻を把握する必要があります。その他の適切な方法は、労働者の自己申告によることが考えられますが、客観的な方法によることが難しい場合に限られ、適切に把握できるような措置も必要となります。

客観的に労働時間を把握するための3つの方法

それでは、具体的にどのような方法で労働時間の把握を行うと良いのか、3つの方法を客観的であるかという視点と、人事総務担当者の負担の面から検証します。

①コストのかからない手書きによる方法

以前より行われてきた労働時間の把握方法として、「手書き」が挙げられます。
手書きで出勤・退勤時間を管理するメリットは、出勤・退勤表などを用意する必要はあるものの、専用の機械や装置などの購入費用は発生しないため、費用を抑えることができるという点です。

しかし、デメリットとしては、毎日出勤・退勤時間を記入するのは面倒で手間がかかるという点が挙げられます。
また、社員が各々に記載していくため、出勤・退勤表の記載忘れなどが発生する可能性もあり、後々まとめて記載をするとなると、正確性に欠けてしまい、客観的な労働時間の把握とは言えません。

そして、人事総務担当者は毎月、社員全ての出勤・退勤時間を集計・入力した上で給与計算をすることになるため、手間がかかり、効率的ではありません。
加えて、パートやアルバイトなどの雇用形態が異なる社員が増えることや、より多くの社員の労働時間の把握をすることになった場合の負担は、さらに大変なものとなります。

②操作が簡単なタイムレコーダーによる方法

手書きよりも、もっと簡単に労働時間を把握する方法として挙げられるのが「タイムレコーダー」です。
紙を使用するタイプのタイムレコーダーで労働時間の把握をするメリットは、比較的安価であり、機能がシンプルで操作も簡単で分かりやすいものであるという点です。
しかしその操作は、社員が出勤・退勤するときに打刻するというアナログな方法であるため、他の社員に代理で打刻をしてもらうということも可能になってしまいます。
そのようなことが起きた場合、勤務時間の改ざんも簡単にできてしまうため、正確性に欠けてしまい、客観的な労働時間の把握と言い難い場面も出てきてしまうかもしれません。

また、手書きによる方法同様に、人事総務担当者は、勤務時間の集計に時間がかかってしまう他、給与の計算をする際にも、勤務時間を手打ちして管理することになります。
このように、紙ベースのタイムレコーダーも、効率性に欠けてしまいます。

③効率的かつ生産性が上がる入退室管理システムによる方法

手書きによる方法、紙ベースのタイムレコーダーを使用する方法のメリット・デメリットを述べてきましたが、どちらも効率性と客観性に欠けてしまう点が最大のデメリットであると言えます。

効率性と客観性を兼ね備え、さらに生産性も上がる方法として挙げられるのが、「入退室管理システム」を使用した労働時間の把握です。
入退室管理システムとは、「いつ」「誰が」「どこに」入退室したかを把握できるシステムです。
管理をしたいオフィスの扉にシステムを設置して、パソコンで運用・管理をしていくものであり、前記した「いつ」「誰が」「どこに」入退室したのかという点が自動でログに残るため、特定の部屋への人の出入りを厳密に把握することができるシステムです。

入退室管理システムを使用すれば、効率的かつ客観的に社員の労働時間の把握ができます。
この方法は、人事総務担当者の手間や負担が減るのみでなく、社員自らが1日の労働時間を瞬時に把握できるため、生産性を高めて仕事に集中することができるというメリットもあります。
手書きや、紙ベースのタイムレコーダーを設置する方法より、費用はかかってしまいますが、現在は多種多様な入退室管理システムがあり、比較的安価なものも存在します。

適切な労働時間の把握により、働き方改革を実現しよう

労働安全衛生法の改正と主な改正内容、改正後にどういったことを行わなければならないのか、その方法論について記載させて頂きました。

労働安全衛生法の文言にある通り、社員の労働時間を客観的・適切に把握し、会社全体で生産性を高めて日々仕事に取り組める環境作りを推進できるようにしましょう。

(監修: 社会保険労務士 水間 聡子)

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