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離職率の改善のためには?退職理由別の会社で取れる対策を紹介

2019.12.02

企業においては人手不足の問題が言われて久しく、優秀な人材の確保・定着は経営上の重要な課題となっています。

コストをかけて採用したからには長期間、企業に貢献してもらいたいものの、実際は入社後、数年で退職してしまい、離職率が高いのが悩みという企業も多いのではないでしょうか。

離職率の改善には、その企業の退職者の退職理由の傾向をつかみ、それに対する施策を講じる方法が考えられます。

退職理由にはホンネとタテマエがあり、会社には家庭の都合と伝えたが本当は人間関係が理由など、ホンネの退職理由を会社に伝えた人は約半数にとどまるといった調査結果(エン・ジャパン株式会社、2016年1月)もありますが、そういった点も総合的に考慮した上で、対策を講じていくことは有効であると考えられます。

本記事では、主要な退職理由別に人材の定着策を検討し、活用できる助成金やHRテクノロジーを紹介します。

離職率の改善に向けて:退職理由への対策

離職率改善のための、退職理由別の対策を紹介しています。
エン・ジャパン株式会社が2018年2~3月に行った「退職のきっかけ」についてのアンケート調査によると、退職を考え始めたきっかけ(複数回答可)の第1位は「給与が低かった」(39%)となり、第2位「やりがい・達成感を感じない」(36%)、第3位「企業の将来性に疑問を感じた」(35%)が続きます。

以下、これらの主要な退職理由別の人材の定着策を検討していくこととします。

退職理由への対策①「給与の低さ」への対応策

「給与が低い」と言われると、まず給与を上げることを検討しますが、それ以外にも様々なアプローチが考えられます。

例えば、中小企業では、給与については就業規則に「基本給は、本人の職務内容、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人別に決定する」などの定めがあるだけで、昇給や賞与についても社長の一存で決まるといった運用も多いのではないでしょうか。

現在の給与の額が同じでも、どうすれば昇給や賞与が増えるのかが分かっているのといないのとでは、印象が異なります。人事評価制度と連動した賃金制度を導入していない場合は、自社で運用可能なシンプルなものからでもその導入を検討することは、一考の価値がありそうです。

また、福利厚生制度を充実させることも、間接的に社員の家計の助けとなります。

例えば、週に1度はまかないを用意するなどの食事の補助や、研修や通信教育などの受講費用の助成、オフィスにカフェスペースを設けるなど、家計の助けとなるだけではなく、社内のコミュニケーションを促進するなど、他の役割も担ってくれることが分かります。

他にも独自のユニークな福利厚生制度を設けている企業が多くありますので、参考にされてはいかがでしょうか。福利厚生制度のアイデアを社員から募集したり、プロジェクトチームを組んで考案してもらうのも、社員の会社やその制度への思い入れを強くし、活用され、機能する福利厚生制度づくりには有効です。

所定の人事評価制度や賃金制度、福利厚生制度の導入による離職率の改善の取り組みには、人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の活用が可能です。

この助成金の取り組みの流れについては、まずは、計画開始日の6か月前から1か月前の日の前日までに、都道府県労働局に雇用管理制度整備計画書を提出します。雇用管理制度整備計画には、計画期間を3か月以上1年以内とし、所定の要件を満たす雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度)を導入・実施することを定めます。

その後、認定を受けた雇用管理制度整備計画のとおりに雇用管理制度の導入・実施を行います。計画時離職率(雇用管理制度整備計画書の提出前12か月間の離職率)と評価時離職率(雇用管理制度整備計画期間後12か月間の離職率)を比較し、雇用保険被保険者の人数に応じて定められている目標値以上、低下させた場合、目標達成助成として57万円が支給されます(ただし、評価時離職率は30 %以下である必要があります)。目標達成助成の支給申請は、評価時離職率の算定期間の終了後、2か月以内に行います。

退職理由への対策②「やりがい・達成感のなさ」「企業の将来性」への対応策

これらの退職理由に対しては、目標管理制度を導入していない場合、その導入が効果を発揮する場合があります。

目標管理制度は、通常、「企業の経営目標 → 部門別の目標 → 個人別の目標」と落とし込んでいき、個人目標の達成状況に応じて評価・処遇を行います。自分の能力・行動・成果を見える化し、「やりがい」や「達成感」へ働きかけるのはもちろんですが、企業のビジョンや経営目標の浸透にもつながり、「企業の将来性」を示すことにも一役買います。
評価者となる直属の上司等とは、定期的に面談が設けられることになるため、業務以外にも本人の悩みや将来設計などについて聞ける貴重な機会になることも期待できます。

また、これらの退職理由に対しては、社員のエンゲージメントの向上も有効であると考えます。
人事労務分野におけるエンゲージメントとは、仕事や組織に対する「愛着心」や「思い入れ」のことを指しますが、近年では、より踏み込んで「組織や職務との関係性に基づく自主的貢献意識」などと定義されています(新居佳英、松林博文著「組織の未来はエンゲージメントで決まる」2018年)。
エンゲージメントを向上させることにより、離職率の低下だけでなく、生産性の向上にもつながることが言われています。

エンゲージメントの向上については、HRテクノロジーの活用も有効な手段となります。

株式会社アトラエが運営する「wevox」は、組織の現状を可視化し、従業員のエンゲージメントの向上をサポートする機能が充実しています。wevoxでは、従業員のエンゲージメントを職務、自己成長、健康、支援、人間関係、承認、理念戦略、組織風土、環境の9つの要素別に数値化してくれます。

「組織状態を測定する → 組織状態を知る → 施策を検討・実施する」の3ステップで従業員の負担なくエンゲージメントを測定し、組織改善のサイクルを生み出します。
日本のワークエンゲージメント研究における第一人者である慶應義塾大学の島津明人教授が監修されており、従業員へのサーベイは毎月の回答時間は3分程度でも学術的な裏付けのある設問が用意されています。
また、追加費用なく、他社の改善事例を閲覧することも可能で、月額300円/人と少人数からでも利用しやすい料金体系となっています。

離職率の改善に向けて:ミスマッチを減らす取り組み

前出のエン・ジャパン株式会社の調査では、25歳以下では他の年代と比較し、「やりたい仕事ではなかった」(25歳以下26%、26~34歳18%、35歳以上13%)や「他にやりたい仕事が出来た」(25歳以下21%、26~34歳16%、35歳以上11%)を退職のきっかけとして挙げる人が多い結果となりました。長年、新規大卒者の3年以内離職率が3割という状況が続いていますが、その原因は仕事のミスマッチという場合も多いようです。

これらの退職理由に対しては、採用段階でのミスマッチを減らす取り組みも必要となりますが、採用後においては、後輩社員(メンティ)の指導・相談役となる先輩社員(メンター)をつけるメンター制度の導入が考えられます。

メンターには、指示・命令や評価などをされる関係にある直属の上司や先輩ではなく、異なる部門の先輩社員がなるのが一般的で、役員・管理職から数年先輩までその目的に適したメンターを設定します。数年先輩をメンターに設定すれば、新入社員も相談がしやすいですし、先輩社員の成長にもつながるということが言われています。

なお、所定のメンター制度の導入による離職率の改善の取り組みには、前出の人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の活用が可能です。

離職率改善への取り組みは、企業の魅力にもつながる

本記事では、主要な退職理由別に人材の定着策を検討し、活用できる助成金やHRテクノロジーを紹介してきました。

離職率改善の必要性に迫られて始めた取り組みであっても、その目的を達成してもなお、企業の魅力となって続いていく素晴らしい制度等が生まれることもあります。

まずは社員の声に耳を傾けながら、自社なりの最良の方法について検討されてはいかがでしょうか。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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