企業でのストレスチェック義務化の内容や罰則、実施までのフローなど徹底解説 | akeruto_ はたらく未来のカギになる

Akeruto はたらく未来のカギになる

MANAGEMENT

企業でのストレスチェック義務化の内容や罰則、実施までのフローなど徹底解説

2021.04.12

企業でのストレスチェック義務化の内容や罰則、実施までのフローなど徹底解説

従業員のストレス状況を把握し、メンタル不調といったリスクの予防につなげるために調査を行うのがストレスチェックです。近年、精神障害の労災件数が増加傾向にあることを受け、2015年の労働安全衛生法の改正によって義務化されました。

今回は、ストレスチェック義務化の内容や対象企業、企業に科される罰則、高ストレス環境への対応をはじめ、企業に求められる措置について解説します。

ストレスチェックとは

ストレスチェックとは、従業員が自分のストレス状況を把握し、メンタル不調のリスクの低減や予防につなげる検査です。ストレスチェック制度の概要や健康診断との違いを解説します。

ストレスチェックの概要

ストレスチェック制度は従業員のメンタルヘルス不調を未然防ぐことを目的に、労働安全衛生法改正に伴い2015年から導入された制度です。企業はストレスチェックを通して従業員のメンタルヘルス状況を把握し、働きやすい職場づくりや改善の取り組みを実施する必要があります。

健康診断との違い

健康診断は、ストレスチェックと同じく労働安全衛生法に則って従業員の健康を促進する措置です。しかし、実施義務の内容に違いがあります。健康診断は労働安全衛生法第44条に基づき、事業者側が従業員に対し医師による健康診断を実施する義務があるとともに、従業員側も健康診断を受ける義務があります。一方でストレスチェックは従業員側に受検義務はありません。

ストレスチェックは実施義務がある企業の条件が定められているのに対し、健康診断は原則全ての企業に実施義務があります。健康診断を実施しなかった場合は50万円以下の罰金が科され、健康診断の内容を漏えいした場合は6ヶ月以下の懲役が科される場合があります。

2015年から企業のストレスチェックが義務化

労働安全衛生法の改正により、2015 年12 月から、毎年1回ストレスチェックを従業員に受けさせることが義務化されました。義務化に至る背景と、ストレスチェック実施に関する詳細情報を紹介します。

ストレスチェック義務化の目的と背景

ストレスチェックの目的はメンタルヘルス不調の一次予防にあります。またストレスの高い従業員を早期に発見し、医師による面接指導を行い回復に努めることも重視されています。

さらに背景の1つとして、職場の健康促進のための「メンタルヘルス指針」を2006年に政府が公布した後も、業務に起因する精神障害の労災認定が増加傾向にあったことが挙げられます。

(参照:厚生労働省『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』)

罰則が発生するケース

実施義務のある企業がストレスチェックを行わなかった場合、直接の罰則はありません。実施後労働基準監督署に報告を行わなかった場合は労働安全衛生法第100 条に基づく罰則の対象となります。

また、ストレスチェックを行わなかった企業にも同様に報告の義務があり、報告を怠ると罰則の対象になります。労働基準監督署から勧告を受けた後、勧告を意図的に無視してストレスチェックを実施しない場合は労働安全衛生法違反となり、罰則対象となる可能性があります。

(参照:厚生労働省『ストレスチェック制度関係 Q&A(目次)』)

対象事業者

ストレスチェックを実施しなければならないのは従業員50人以上勤務している事業所です。毎年1回、ストレスチェックを全ての従業員に対して実施することが義務付けられています。支社や支店など、50人以上が働いている事業所が複数ある場合、事業所ごとにストレスチェックを実施する必要があります。

実施時期

実施時期は企業に委ねられています。年内に複数回実施したり、部署ごとに実施時期を分けたりするといった対応も可能です。

従業員が50人に達したその日からストレスチェックの実施義務が課されるため、例えば2021年の5月1日に従業員が50人以上となった場合、一年後の2022年4月31日までに必ず1回はストレスチェックを実施しなければなりません。

ストレスチェックの対象者

ストレスチェックの対象者は以下の条件を満たす従業員です。

1.契約期間が1年以上
2.週の労働時間が、通常の従業員の4分の3以上
※例えば通常の従業員の勤務時間が週40時間の場合、週に30時間以上働くと対象者になる

月の出勤回数が少ないパートやアルバイトの従業員であっても、継続雇用している場合はストレスチェックの対象者となります。

ストレスチェック実施の流れ

ストレスチェックを実施するまでに必要な準備やストレスチェック実施後に必要な措置について解説します。

実施体制の整備

ストレスチェックの実施のために前もって社内周知や導入体制の整備を行う必要があります。まずは社内にストレスチェックを実施する旨を従業員に伝えます。その後、事業所の衛生委員会でストレスチェック

●協議内容

1. ストレスチェックは誰に実施させるのか
2. ストレスチェックはいつ実施するのか
3. どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか
4. どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか
5. 面接指導の申出は誰にすれば良いのか
6. 面接指導はどの医師に依頼して実施するのか
7. 集団分析はどんな方法で行うのか
8. ストレスチェックの結果は誰が、どこに保存するのか

(引用:厚生労働省『ストレスチェック制度 導入マニュアル』より)
協議で決まったことを社内規定とし明文化した後、全従業員に内容を伝えます。実施までには以下の役割分担を決めておき、実施体制を整備しておく必要があります。

●ストレスチェックの対応者
ストレスチェックは、ストレスチェックを受ける労働者(従業員)について昇進や降格、異動・解雇などに直接の権限を持つ者は実施者にはなれません。

制度全体の担当者 ストレスチェック制度の計画づくりや進捗状況を把握・管理する
ストレスチェックの実施者 医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士から選ぶ必要がある。専門業者への外部委託も可能
ストレスチェックの実施事務従事者 実施者の補助をする役割で、質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当する。専門業者への外部委託も可能
面接指導を担当する医師 産業医をはじめとする医師

実施フロー

ストレスチェックの実施体制が整備され、実施日が決定してからのフローは以下の通りです。質問票の配布や記入作業はITシステムを用いてオンライン上で行うことも可能です。
具体的には以下の措置が取れるように、担当者への指示を検討しましょう。

1. ストレスチェック実施の補助者が従業員に質問票を配布(オンラインでの実施も可)
2. 従業員の回答後、補助者が質問票を回収
3. ストレスチェック結果を実施者が評価、高ストレス者の判定を行う
4. 判定結果を実施者から直接本人に通知、高ストレス者に対しては「医師との面談」の案内を行う
5. 面接指導の申し出があった場合は面接指導を実施し、医師から意見を聴取する
6. 努力義務としてストレスチェック結果の集団分析を行う
7. 高ストレス者に対する対応措置の実施や、集団分析を基にした職場改善を行う

ストレスチェック実施後に必要な高ストレス者への対応

ストレスチェックは実施して終わりではありません。ストレス度が高い従業員に対してのフォローを実施する必要があります。

高ストレス者の選定・評価

回収した質問票を基に、実施者の医師などがストレスを評価し、医師の面接指導が必要な高ストレス者(※)がいるか判定します。高ストレス者と判断された従業員はメンタルヘルス悪化の予防のため面接指導の案内がストレスチェックの実施結果と共に通知されます。

(※)自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者

面接指導の実施

ストレスチェックの結果「医師による面接指導が必要」と判断された高ストレス者の従業員から「面接指導を受けたい」という申し出があった場合、企業は医師に依頼して面接指導を実施する必要があります。

面接指導を実施後、医師から従業員の就業上に必要な措置があるかどうかの意見を聴取した上で、長時間労働が問題となっている場合は労働時間の短縮あるいは休職などの措置を実施します。この面接指導の結果は事業所内で5年保存する必要があります。

集団分析と環境改善の実施(※努力義務)

「集団分析と環境改善の実施」はストレスチェック実施後に行わなかったとしても罰則はありませんが、努力義務として定められています。分析はストレスチェック実施者に依頼します。ストレスチェック実施者が質問票の項目ごとの平均値や比較を行い、結果を企業に提出します。

分析結果を踏まえて社内のそれぞれの組織や部署、事業所がどういうストレス環境(課題)を抱えているのか把握しましょう。そして、分析結果を踏まえ、ストレス不調の要因を減らすよう職場環境の改善を実施します。

まとめ

従業員の精神障害をはじめメンタルヘルス問題は、深刻化すると重大な労働災害や訴訟に発展するリスクがあります。未然にメンタルヘルス不調の予防が可能なストレスチェックを効果的に運用することで、リスク低減や自社の労働環境の改善が期待できます。

健康診断との違いや高ストレス者に取るべき措置、罰則の内容について正確に把握した上で、毎年のストレスチェック体制を確立させましょう。

TWITTERツイッター