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【2020年版】中小企業における副業解禁のメリット・デメリット

2020.12.07

働き方改革で企業の副業解禁が進み、さらにコロナ禍における雇用環境の変化から従業員の副業ニーズが高まっています。

今回は、中小企業の経営者や人事担当者向けに、ウィズコロナ時代に副業を解禁するメリットやデメリット、副業先進企業の事例、副業解禁にあたっての法的な注意点などを紹介します。

副業解禁の背景

中小企業における副業解禁のメリット・デメリットを解説しています。
従業員の副業(複業)を容認する企業や、自社の副業解禁をアピールする企業が増えている背景について解説します。

働き方改革の一環として副業が推奨される

副業解禁の流れが生まれた大きな理由の1つが、柔軟な働き方による労働生産性の向上を掲げた政府の「働き方改革」の方針にあります。

政府が発表した「働き方改革実行計画」では、「新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効」であるとして、副業や兼業が推奨されています。

 

(出典:首相官邸|働き方改革実行計画

 

そして、この働き方改革に伴い、厚生労働省は2018年に従来のモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業に関する規定を新たに設けました。

これにより、企業は副業・兼業を禁止する場合は合理的な理由やルールを明記することが必要となりました。

 

中小企業では副業解禁は進んでいない

副業解禁に舵を切っているのは多くが大企業です。

ソニーやパナソニック、キヤノン、森永乳業、カゴメといった大企業が副業を容認している一方で、中小企業は従業員の労働時間管理や自社業務への影響などを理由に副業解禁が進んでいません。

コロナ禍での副業への意識

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による働き方や経済状況の変化から、従業員の副業への関心が高まっていることが、2020年の調査によって明らかになっています。

ここでは、従業員の副業へのニーズや管理職側の意識について解説します。

副業を希望する人が増加

パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が、2020年9月に会社員400名を対象に行った「複業(副業)に関する意識・実態調査」では、コロナ禍以降、「複業(副業)をしたいと思った人」は半年で8%増加していたことが分かりました。

副業を希望する理由の1位は「本業以外の収入を得たい(78.4%)」で、次点は「自分のキャリアの可能性を広げたい(26.8%)」でした。

コロナ禍における収入減や雇用の不安定化などの環境の変化から、本業以外でも収入を得たいという志向が高まっていることが窺えます。

 

(出典:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社|「複業(副業)に関する意識・実態調査」

部下の副業 に関する管理職の意見

「複業(副業)に関する意識・実態調査」では、コロナ禍以降、「部下に対して複業(副業)をして欲しい」と考える上司の割合も約6%増加しています。

部下に副業を望む理由としては「自分のキャリアの可能性を広げてほしい(55.6%)」「自分のスキルを本業以外でも活かしてほしい(38.9%)」などが挙がっています。

 

(出典:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社|「複業(副業)に関する意識・実態調査」

地域に貢献する「ふるさと副業」のニーズの高まり

コロナ禍で副業への関心が高まるなか、都市部に住みながら副業で地方の企業の仕事に携わる「ふるさと副業」への注目も集まっています。

「ふるさと副業」は株式会社リクルートキャリアのサービスで、同社が運営する副業・兼業を希望する人と地方企業とのマッチングサービス「サンカク」の利用者は増加傾向にあり、自身の技術を地域への貢献に役立てたいというニーズも高まっていると言います。

 

 

また、地方創生の一環として、政府が2020年度から地方での副業・兼業を希望する人に交通費や宿泊費の半額支給(年間上限50万円)を開始しており、地方での副業に挑戦しやすい環境作りも進んでいます。

副業を解禁・容認するベンチャー・中小企業事例

ここでは、実際に副業を解禁しているベンチャー・中小企業の事例を紹介します。

メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは、政府による副業推進が始まる前の創業時から副業を容認しています。

従業員のキャリアアップやスキルの蓄積を目的としており、許可制や届け出制、週何時間まで、などの副業ルールも一切設けていません。

エンファクトリー

オンラインショッピング事業を中心とする株式会社エンファクトリーは、副業を自ら稼ぐ力を身に付けるための「パラレルワーク」と称し、社員制度の一環として推奨しています。

副業を通じて自信を付けることが「自社を変革する力になる」と位置付け、従業員がプロ意識やマネジメント能力を高めことを期待しています。

サイボウズ

クラウドサービスの提供を行うサイボウズ株式会社は、2012年から副業を解禁した「副業先進企業」とも言える存在です。

副業をする際の申請は必要なく、サイボウズ社の肩書や社内の施設、備品を使用する場合は「自社の副業申請アプリで申請をする」といった制度を設けています。

副業を解禁し、社外の知識を取り込むことでイノベーションが生まれ、働き方の多様化を促進できた、と言い、副業解禁前に比べ、離職率も7分の1に低下しています。

 

中小企業で副業を解禁するメリットとデメリット

ここからは、中小企業で副業を解禁・容認する際のメリット、デメリットを解説します。

副業を解禁するメリット

企業が副業を解禁するメリットとして、以下が挙げられます。

 

・従業員が自社では得られない知識・スキルを獲得することができる

・新たな知識・情報や人脈を得ることで、事業機会の拡大につながる。

・従業員にビジネスマンとしての自律性・自主性を促すことができる

・副業ニーズに応えることで従業員のモチベーションが上がり、優秀な人材の獲得・流出の防止につながり、競争力も向上する

副業を解禁するデメリット

一方、副業解禁によるデメリットは以下のようになります。

 

・労働時間の増加による従業員の疲弊や健康悪化

・副業や兼業先に人材が引き抜かれたり、転職意向が高まるなどの人材流出リスク

・自社の技術や機密情報の流出リスク

副業解禁の注意点

ここでは、中小企業で副業を解禁する際に講じておくべき対策をを解説します。

就業規則の副業禁止規定の変更

就業規則に副業禁止規定が定められている場合は、就業規則の変更を行い、副業の容認を明記する必要があります。

就業規則の変更を行う場合は、変更箇所の条文を作り、就業規則変更届を作成したうえで、従業員代表者の意見書を添えて労働基準監督署に届け出ます。

条文作成の際に、副業を許可制にするか、届け出制にするか、あるいは一律で副業を許可するかといった自社の副業ルールを明記しておくと良いでしょう。

労働時間の管理

労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、 労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定されており、通算した結果、時間外労働(残業)に該当する場合は、割増賃金を支払う必要があります。

従業員の労働時間の把握については、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に「労働者からの自己申告により副業・兼業先での労働時間を把握することが考えられる」と記載がありますが、自己申告制の場合、「義務ではない」と判断して従業員が正確な労働時間を伝えず、結果として健康を損なうほどの長時間労働をしてしまう恐れもあります。

企業は、労働時間や健康状態を管理することも副業・兼業を行う上での義務であることを従業員に周知し、定期的に注意を促していきましょう。

 

 

副業解禁時の労務管理については、詳しくはこちらの記事をご参照ください。

副業ニーズを把握し、注意点を押さえたうえで副業解禁に取り組む

働き方改革による政府の副業推進とコロナ禍における従業員の副業ニーズの高まりから、理由なく副業を禁止することは「反働き方改革」のような印象を与え、自社の企業イメージを損なう可能性があります。

まず、業務内容や雇用形態、労働時間など“自社の副業解禁の基準”を設定し、就業規則の変更や労働時間管理などの注意点を押さえながら、自社に適した運用を行っていきましょう。

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