令和2年度の注目の助成金一覧 ─いま申請できる雇用関連の助成金とは─ | akeruto_ はたらく未来のカギになる

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令和2年度の注目の助成金を紹介しています。

 

4月に入り、令和2年度の雇用・労働分野の助成金が公表されました。

今年度も昨年度に続き、働き方改革関連の助成金が注目され、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進、同一労働同一賃金などに取り組む企業を支援する助成金の新設や拡充が行われています。

また、新型コロナウイルスが企業活動に甚大な影響を与える中、厚生労働省は、3月28日に、本年4月1日から6月30日を緊急対応期間とし、期間中は雇用調整助成金の特例措置のさらなる拡大を行うことを公表しました。詳細については改めて公表するとしており、今後の動向が注目されます。

 

本記事では、令和2年度の注目の助成金として、働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)、業務改善助成金、両立支援等助成金(出生時両立支援コース)、雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置)の概要を紹介します。

【令和2年度の注目助成金①】働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の概要・改正のポイント

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組むことを目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入などを実施し、改善の成果を上げた中小企業事業主に対して、その経費の一部が支給される助成金です。

 

令和元年度までの「時間外労働等改善助成金」が「働き方改革推進支援助成金」に改称され、「労働時間短縮・年休促進支援コース」が新設されました。

「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、令和元年度の時間外労働等改善助成金の時間外労働上限設定コース(1企業あたりの助成上限額200万円)と職場意識改善コース(1企業あたりの助成上限額100万円)を統合・組み換えした内容となっており、複数の成果目標を達成することにより、最大250万円(5%以上の賃金加算を実施した場合、最大490万円)を受給することが可能となっています。

 

正確な労働時間の把握に欠かせない勤怠管理システムの導入や、生産性の向上につながる設備の導入、あるいは「何から手を付ければ・・・」という場合のコンサルティングの依頼など、働き方改革に取り組む中小企業を幅広く支援する内容となっており、1つの取り組みだけでなく、複数の取り組みを組み合わせて実施することも可能です。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の主な支給要件

所定の成果目標達成のためにかかった経費の一部が助成されます。成果目標と支給対象となる取り組みは、次のとおりです。

 

【成果目標】※いずれか1つ以上を実施

①36協定の月の時間外労働時間数の縮減
月60時間を超える特別条項付き36協定を締結する事業場が、令和2年度(または令和3年度)に有効な36協定で、時間外労働で月60時間以下の上限設定を行い、労働基準監督署に届け出ること。

②所定休日の増加
週休2日制の導入に向けて、所定休日を増加すること(そのために就業規則の規定を整備する必要があります)。

③特別休暇の整備
「労働時間等設定改善指針」に規定されている、特に配慮を必要とする労働者に対する病気休暇等の規定を整備すること。

④時間単位の年休の整備
労働基準法第39条第4項で規定する、時間単位の年次有給休暇の規定を整備すること。

 

【支給対象となる取り組み】

①就業規則の作成・変更

②研修(業務研修を含む)

③外部専門家によるコンサルティング

④労務管理用機器などの導入・更新(ICタイムレコーダーの導入、クラウド式勤怠管理システムの導入など)

⑤労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

⑥人材確保など労働時間短縮や生産性向上に向けた取り組み

 

交付要綱や支給要領、申請書類などについては、例年、5月の大型連休ごろに公表され、同時期に申請受付が開始されています。

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の助成額

支給対象となる取り組みにかかった経費の3/4(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器などの経費が30万円を超える場合は4/5)が助成されます。
助成上限額は、次のとおりです。

 

【助成上限額】

①36協定の月の時間外労働時間数の縮減
・時間外労働で月60時間以下に設定
上限100万円
・時間外労働で月60時間を超え月80時間以下に設定
上限50万円
・月60時間超80時間以下の旧協定で月60時間以下に設定
上限50万円

②所定休日の増加
・休日が3日以上増
上限50万円
・休日が1~2日増
上限25万円

③特別休暇の整備
上限50万円

④時間単位の年休の整備
上限50万円

 

※上記に加えて5%以上の賃金加算を実施した場合、労働者数に応じて上限額に下記の金額を加算。
・1~3人
24万円
・4~6人
48万円
・7~10人
80万円
・11人~30人
1人あたり8万円(上限240万円)

(3%以上、5%未満の引き上げの場合は最大150万円)

【令和2年度の注目助成金②】業務改善助成金

引き上げのイメージです。

業務改善助成金の概要・改正のポイント

業務改善助成金は、事業場内で最も低い労働者の賃金(以下、事業場内最低賃金といいます)を引き上げ、生産性向上につながる設備投資などを行う中小企業事業主に対して、その経費の一部が支給される助成金です。

 

業務改善助成金は、賃金の引き上げ幅ごとに「〇円コース」という名前が付けられています。令和元年度当初は「30円コース(800円未満)」と「30円コース」の2コースのみでしたが、年度途中に3コースへの改正がありました。令和2年度は4コース編成となっており、それに伴い、助成上限額は最大450万円へと増額されています。

 

上記の拡充により、ここ毎年、引き上げが続いている地域別の最低賃金対策はもちろん、人材確保や同一労働同一賃金などへの対策にも幅広い活用が期待できます。

業務改善助成金の主な支給要件

対象事業場において生産性の向上につながる設備投資などを行い、雇入れ後3か月を経過した労働者でその事業場内で最も低い時間当たりの賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資などにかかった経費の一部が助成されます。対象となる事業場と、生産性の向上につながる設備投資などの一例は、次のとおりです。

 

【対象となる事業場】※以下のいずれにも該当
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
・事業場規模100人以下

 

【生産性の向上につながる設備投資などの一例】
・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
・顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
・専門家による業務フロー見直しを通じた顧客回転率の向上
(人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費も対象に含まれます)

 

厚生労働省ホームページによると、令和2年度の申請受付開始は、4月中を予定しているとのことです。交付要綱や交付要領、申請書類などについても、間もなくの更新が予想されますので、注目しておきましょう。

業務改善助成金の助成額

設備投資などにかかった経費の3/4~9/10が助成されます。助成率や助成上限額は、賃金の引き上げ幅ごとに区分されたコースなどにより異なり、次のとおりとなっています。

 

【助成率・助成上限額】※カッコ内の助成率は生産性要件(助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性がその3年度前に比べて6%以上伸びていることなど)を満たした場合

 

(1)25円コース(事業場内最低賃金が850円未満の事業場のみ対象)

①助成率 4/5

②助成上限額
・賃金引き上げ労働者数1人
25万円
・2~3人
40万円
・4~6人
60万円
・7人以上
80万円

 

(2)30円コース

①助成率 3/4(4/5)または4/5(9/10)
※4/5(9/10)は、事業場内最低賃金が850円未満の事業場のみ対象

②助成上限額
・賃金引き上げ労働者数1人
30万円
・2~3人
50万円
・4~6人
70万円
・7人以上
100万円

 

(3)60円コース

①助成率 3/4(4/5)または4/5(9/10)
※4/5(9/10)は、事業場内最低賃金が850円未満の事業場のみ対象

②助成上限額
・賃金引き上げ労働者数1人
60万円
・2~3人
90万円
・4~6人
150万円
・7人以上
230万円

 

(4)90円コース

①助成率 3/4(4/5)または4/5(9/10)
※4/5(9/10)は、事業場内最低賃金が850円未満の事業場のみ対象

②助成上限額
・賃金引き上げ労働者数1人
90万円
・2~3人
150万円
・4~6人
270万円
・7人以上
450万円

【令和2年度の注目助成金③】両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

肩車のイメージです。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の概要・改正のポイント

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、男性労働者の育児休業や育児目的休暇の利用があった事業主に対して定額で支給される助成金です。

 

平成30年度雇用均等基本調査によると、育児休業取得率は、女性が82.2%であるのに対し、男性は6.16%となっています。政府は、男性の育児休業取得率を令和2年度までに13%とする目標を掲げており、最終年度となる今年度は、助成金のさらなる拡充が行われました。

 

具体的には、昨年度までの1人目の育休取得や2人目以降の育休取得への定額の助成に加え、対象労働者の育休取得前に個別面談等、育休取得を後押しする取り組み(以下、個別支援といいます)を実施した場合の加算が新設されています。

 

出生時両立支援コースは令和2年度までの時限措置が予定されていますので、対象となる男性労働者がいる場合は、今年度中の積極的な活用を検討すると良いでしょう。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の主な支給要件

出生時両立支援コースは、育児休業または育児目的休暇への取り組みが支給対象となりますが、以下では育児休業への取り組みに関する主な支給要件を紹介します。

 

このコースでは、男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取り組みを行い、対象労働者に育児休業を取得させた場合に、定額の助成が受けられます。また、所定の個別支援を行った場合には、助成額が加算されます。育児休業を取得しやすい職場風土作りの取り組みの内容や、育児休業の日数・時期などの要件、個別支援の内容は、次のとおりです。

 

【育児休業を取得しやすい職場風土作りの取り組みの内容】※いずれか1つ以上を実施

①男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者向けの研修の実施

②男性労働者を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料の配布など

③男性労働者の育児休業取得促進について企業トップなどからの社内への呼びかけと、厚生労働省のイクメンプロジェクトサイト内の「イクボス宣言」や「イクメン企業宣言」による外部への発信

④育児休業を取得した男性労働者の事例の収集と社内周知

 

【育児休業の日数・時期などの要件】

①連続した14日以上(中小企業事業主は連続した5日以上)の育児休業であること。

②子の出生後8週間以内(子の出生日当日を含む57日間)に開始していること。ただし、育児休業開始予定日に育児休業申出に係る子が出生していないが育児休業を開始した場合は、その育児休業期間に子の出生後8週間以内(子の出生日を含む)の期間が含まれていなくても対象とする。

③育児休業取得の直前と職場復帰時において在宅勤務している場合については、個別の労働者との取り決めではなく、在宅勤務規定を整備し、業務日報等により勤務実態(勤務日・始業終業時刻・業務内容)が確認できること。

 

【個別支援の内容】※以下のすべてを実施

①対象男性労働者に対して、職場風土作りの取り組みとは別に、育児休業関連制度に関する事項(休業中や休業後の待遇や労働条件、関連する休暇その他両立支援制度に関する事項)を、書面やメールなどにより個別に知らせること。

②対象男性労働者に対し、育児休業取得を促すための個別面談を行うこと。

③対象男性労働者の上司に対し、対象男性労働者に育児休業取得を促している旨の説明を行うこと。

④上司に対し、対象男性労働者に明示した①の書面などを明示すること。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の助成額

中小企業での1人目の育休取得であれば、57~84万円が助成されます。助成額は、大企業・中小企業の区分などにより異なり、次のとおりとなっています。

 

【助成額】※カッコ内の助成額は生産性要件(助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性がその3年度前に比べて6%以上伸びていることなど)を満たした場合

 

(1)1人目の育休取得

①中小企業 57万円(72万円)

②大企業 28.5万円(36万円)

 

(2)2人目以降の育休取得(1年度につき(1)との合計で10人まで)

①中小企業
・5日以上14日未満 14.25万円(18万円)
・14日以上1か月未満 23.75万円(30万円)
・1か月以上 33.25万円(42万円)

②大企業
・14日以上1か月未満 14.25万円(18万円)
・1か月以上2か月未満 23.75万円(30万円)
・2か月以上 33.25万円(42万円)

 

※所定の個別支援を行った場合、以下の金額を加算。
・1人目
中小企業10万円(12万円) / 大企業5万円(6万円)
・2人目以降
中小企業5万円(6万円) / 2.5万円(3万円)

【令和2年度の注目助成金④】雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置)

コロナウイルスによる休業のイメージです。

 

雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、休業、教育訓練、または出向によって、その雇用する労働者の雇用の維持を図る事業主に対して支給される助成金です。

雇用調整助成金については、以前より新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置を行うとされていましたが、厚生労働省は、3月28日、本年4月1日から6月30日を緊急対応期間とし、期間中は特例措置のさらなる拡大を行うことを公表しました。公表は概要部分のみですが、その内容について現行の特例措置と比較して紹介します。

 

【緊急対応期間】

2020年(令和2年)4月1日(水)~6月30日(火)
※現行の特例措置は、休業等の初日が令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用。

 

【生産指標要件】

1か月5%以上低下
※現行の特例措置は、1か月10%以上低下

 

【対象労働者】

雇用保険被保険者でない労働者も含む
※現行の特例措置は、雇用保険被保険者(6か月未満も可)が対象

 

【助成率】

中小企業 4/5(解雇などを行わない場合は9/10)
大企業 2/3(解雇などを行わない場合は3/4)
※現行の特例措置は、中小企業2/3、大企業1/2(据え置き)

 

【計画届の提出】

2020年(令和2年)1月24日~6月30日まで事後提出を認める
※現行の特例措置は、2020年(令和2年)1月24日~5月31日まで事後提出を認める

 

【支給限度日数】

1年100日、3年150日に4月1日から6月30日までの期間を加える
※現行の特例措置は、1年100日、3年150日(据え置き)

 

厚生労働省ホームページによると、3月28日の公表は企業の安心のために政府の方針を先行して表明したもので、詳細は後日、発表するとしています。先行きの不透明感が増す中、速やかな情報提供が待たれます。

助成金を活用し、円滑な事業運営を

本記事では、令和2年度の注目の助成金として、4つの助成金の概要を紹介してきました。

今回、紹介した助成金は、雇用・労働分野の助成金のほんの一部であり、他にも企業の雇用関連の課題を解決する多くの助成金が用意されています。

 

雇用・労働分野の助成金は、雇用保険料の事業主負担分や労災保険料を財源としており、雇用保険や労災保険の適用事業所においては、要件に沿った取り組みをすれば原則受給できるものですので、円滑な事業運営のために、ぜひ活用していきましょう。

(執筆: 特定社会保険労務士 水間 聡子)

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