リファラル採用の報酬設定時の注意点とは?制度設計のポイントを解説 | akeruto_ はたらく未来のカギになる

Akeruto はたらく未来のカギになる

MANAGEMENT

リファラル採用の報酬設定時の注意点とは?制度設計のポイントを解説

2020.01.31

リファラル採用」とは、自社の従業員から友人や知人を採用候補者として紹介してもらう採用方法で、自社と相性の良い人材を確保しやすい、採用コストが低いなどのメリットが期待できます。

リファラル採用を推進する場合、紹介する側の従業員へのインセンティブとして報酬の支払いを検討することが多いと思いますが、その際には職業安定法上の規制に留意する必要があります。

また、リファラル採用の導入にあたっては、従業員の参加を促し、採用面の課題を踏まえた制度設計も欠かせません。

 

本記事では、リファラル採用の報酬設定時の注意点と制度設計のポイントを解説します。

リファラル採用の法的な位置付け

リファラル採用の報酬設定時の注意点をご紹介します。
前述のように、リファラル採用において採用候補者を紹介した従業員に報酬を支払う場合には、職業安定法上の規制に留意することが必要となります。

職業安定法は、「労働者の募集」を「労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること」と定義しており、リファラル採用もこの「労働者の募集」にあたります。

同法は「労働者の募集」に対し、以下のような規制を設けています。

 

○労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。(第36条第1項)

○労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。(第36条第3項)

 

つまり、採用候補者の紹介を被用者(従業員)として行うのでなければ(=従業員の労働契約上の業務とは別に委託するのであれば)、許可または届出が必要となります。

 

裏を返せば、採用候補者の紹介を被用者として行うのであれば(=従業員の労働契約上の業務に含めるのであれば)、許可または届出は不要となります。ただ、この場合でも、報酬に関する同法の規制に留意しなければいけません。

 

○労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの(中略)に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合(中略)を除き、報酬を与えてはならない。(第40条)

 

つまり、採用候補者を紹介した従業員に与える報酬は、給与(手当や賞与など)とする必要があります。

 

このリファラル採用の法的な位置付けについては、実際の法令(職業安定法)の条文をもとに解説したので少し難しいかもしれません。

次からは実際にリファラル採用を運用をする場合のケースを提示して、制度設計についてわかりやすく紹介します。

【リファラル採用】報酬設定時の注意点

前述のリファラル採用の法的な位置付けを踏まえ、本記事では、

 

①許可や届出が不要となり、事務的な負担が軽減されること
②リファラル採用のための活動時間は労働時間となり、活動中の事故による負傷なども労災保険が適用されるため、参加してくれる従業員の保護が図れること
③報酬の支給により従業員の参加を促すことができること

 

などのメリットを考慮し、リファラル採用を「業務として」「報酬を与えて」行う場合の制度設計について検討していきます。

 

まずは、「業務として」という点についてですが、雇用契約書(労働条件通知書)の業務内容に「採用候補者の紹介」などと追加で盛り込むと、業務であることが明確となるでしょう。

業務として行うのですから、リファラル採用のための活動時間は労働時間となり、所定労働時間外にも採用候補者と会うなどの活動を認めるのであれば、残業代の支給が必要ということになります。

 

次に、「報酬を与えて」という点についてですが、就業規則(賃金規程)に「紹介手当」などの規定を設けて支給基準を明記すると、給与として報酬を与えていることが明確になると考えます。

報酬額については、基準が示されているわけではありませんが、前述の職業安定法第40条に抵触しないよう、自社のその他手当との間の均衡を考慮し、給与として認められないほどの高額な報酬にすることは避けるべきでしょう。

【リファラル採用】制度設計のポイント

一方で、リファラル採用の導入にあたっては、従業員の参加を促し、採用面の課題を踏まえた制度設計も欠かせません。

 

従業員の参加を促す仕組みとしては、報酬を支給することも一つの方法ですが、採用候補者に渡す会社案内や労働条件を記載した書類、採用候補者から個人情報を受け取る際に使用するフォーマットなど、関連する書類をしっかりと整備しておくと、従業員も大切な友人や知人に自社を勧めやすくなるのではないでしょうか。

労働条件を明示することや、個人情報を業務の目的の達成に必要な範囲内で収集することなどは、職業安定法において求人をする企業に求められている措置でもあります。

 

また、採用面の課題を踏まえ、まずは応募者を増やしたいということであれば、従業員へ報酬を支給するタイミングは紹介時とし、自社との相性を重視するのであれば、報酬を支給するタイミングは採用時とするなどの制度設計が考えられます。

リファラル採用で紹介したくなる魅力的な企業づくりを

本記事では、リファラル採用の報酬設定時の注意点と制度設計のポイントについて解説してきました。

リファラル採用には、紹介する側の従業員がリファラル採用の過程で自社への理解を深め、帰属意識が高まるといったメリットもあるといわれています。

紹介された採用候補者と紹介してくれた従業員、両者への配慮も含め、紹介したくなる魅力的な企業づくりを併せて進めていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

関連記事