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給与計算時の社会保険料の計算方法②(健康保険・厚生年金編)

2019.10.30

給与計算時の重要なポイントである社会保険料の計算方法について、2回にわたって解説しています。第1回の雇用保険料に続き、第2回の今回は、健康保険料・厚生年金保険料について取り上げます。
健康保険料・厚生年金保険料と、雇用保険料では、保険料計算の基礎となる金額や、控除・納付の時期が異なるのは、前回もお伝えしました。また、保険料が免除となる従業員も異なるため、押さえておきたいところです。それでは、具体的に見ていきましょう。

健康保険料・厚生年金保険料を控除する従業員

給与計算時の健康保険料・厚生年金保険料の計算方法をご紹介します。
まずは、健康保険料・厚生年金保険料を控除する従業員ですが、週の所定労働時間および月の所定労働日数が自社の一般社員の4分の3以上であるとして、被保険者の資格を取得した従業員です。例えば、正社員が週40時間・月20日勤務する会社で、週30時間・月15日勤務するパート社員を採用したときは、資格取得届の提出が必要となり、給与から健康保険料・厚生年金保険料を控除することになります。

健康保険料・厚生年金保険料には、産前産後休業中や育児休業中の保険料の免除の制度があります(介護休業は対象とならないため、注意が必要です)。「産前産後休業取得者申出書」や「育児休業取得者申出書」の提出により、休業開始日の属する月から休業終了日の翌日の属する月の前月までの保険料が従業員・会社負担ともに免除となります。40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者であれば、介護保険料も免除されます。また、免除対象期間に支払われた賞与等に係る保険料も免除となります。

健康保険料・厚生年金保険料の計算方法

次に、健康保険料・厚生年金保険料の計算方法を解説します。保険料の計算方法は、以下の計算式によります。

標準報酬月額×各保険料率÷2

雇用保険料では、給与支払いの都度、そのときの総支給額を用いて計算しましたが、健康保険料・厚生年金保険料では、あらかじめ所定の方法により決定された「標準報酬月額」を用いることがポイントです。「÷2」は、会社と従業員が折半して負担するということですね。

各保険料率は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、都道府県ごとに保険料率が異なり、厚生年金保険料率も併せて協会けんぽのホームページ(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150)に掲載されていますのでご確認ください。40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者は、健康保険料率に介護保険料率が加わります。厚生年金保険料率は、現在、18.3%で固定されていますが、健康保険料率と介護保険料率は、毎年、3月分より改定されます。

保険料の端数処理については、雇用保険料と同様で、会社が給与から従業員負担分を控除する場合、両者間で特約がなければ、従業員負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。考え方は、前回、紹介した雇用保険料と同様です。

標準報酬月額とは

では、給与計算時の健康保険料・厚生年金保険料の計算に用いる「標準報酬月額」は、どのように決定されるのでしょうか。健康保険・厚生年金保険の保険料額表は、被保険者の報酬月額に応じて等級分けされており、その等級に対応する金額が標準報酬月額ということになります。標準報酬月額は、主に資格取得時の決定、定時決定、随時改定により決定・改定されます。それぞれの手続きについて見ていきましょう。

資格取得時の決定

従業員の入社時には、「被保険者資格取得届」により報酬月額を届け出て、標準報酬月額が決定されます。報酬月額とは、1か月の総支給額で、基本給、通勤手当等の各種手当、残業代などが含まれますが、まだ入社したばかりですので残業代は見込みで届け出ることになります。臨時に支払われるものや3か月を超える期間ごとに受ける賞与などは除かれます。
資格取得時の決定による標準報酬月額は、資格を取得した月からその年の8月まで使用します。ただし、6月1日から12月31日までに資格を取得した従業員については、翌年の8月までとなります。

定時決定

その後は、毎年1回、「被保険者報酬月額算定基礎届」により4~6月に支払った報酬月額を届け出て、その平均をもって標準報酬月額が決定されます。
定時決定による標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月まで使用します。

随時改定

昇給や降給により、支払われる報酬月額が大幅に変動した場合には、「被保険者報酬月額変更届」により変動以後、3か月間の報酬月額を届け出て、その平均をもって標準報酬月額が改定されます。固定的賃金(基本給や通勤手当等の各種手当など)に変動があり、従前の標準報酬月額と2等級以上の差が生じた場合に、必要となる手続きです。
随時改定による標準報酬月額は、固定的賃金の変動以後、4か月目からその年の8月まで使用します。ただし、その年の7月以降に改定された場合は、翌年の8月までとなります。

健康保険料・厚生年金保険料の控除・納付時期

雇用保険料は、給与支払いの都度、控除し、原則として年1回納付するというのは、前回、お伝えしました。
一方、健康保険料・厚生年金保険料は、控除も納付も毎月で、月々の給与から前月分保険料を控除し、その月の末日に納付するという流れになります。例えば、1月分保険料は、2月支給給与から控除し、2月末が納期限ということです。納付の方法は、毎月送付される納付書による金融機関窓口での納付の他、口座振替による納付、電子納付が可能です。

健康保険料・厚生年金保険料は、入社月や退職月の取扱いが混乱してしまいがちですが、何月分の保険料を控除しているかを意識すると整理ができます。以下、具体例を挙げて説明します。

健康保険料・厚生年金保険料は、資格を取得した月から喪失した月の前月(退職日の翌日の属する月の前月)まで発生します。例えば、給与が末日締め翌月10日払いの会社で、4月1日に入社し、その年の9月20日に退職した従業員の場合、保険料は4月分(5月支給給与より控除)から8月分(9月支給給与より控除)まで発生することになります。この例で退職日が9月30日だった場合は、保険料は9月分(10月支給給与より控除)まで発生します。なお、この例で退職日が4月20日だった場合(入社した月に退職してしまった場合)には、喪失月ではあるものの、原則、4月分(5月支給給与より控除)の保険料が発生します。

給与の締切日によっては、最後に控除する保険料が2か月分になることもあります。例えば、給与が末日締め当月20日払い(残業代のみ翌月払い)の会社で、4月1日に入社し、その年の9月30日に退職した従業員の場合、保険料は4月分(5月支給給与より控除)から9月分まで発生することになります。10月支給給与は残業代のみで控除しきれないことが予想されますので、9月支給給与から8、9月の2か月分を控除することになります。

それぞれの計算方法を理解し、正しい給与計算を

給与計算時の重要なポイントである社会保険料の計算方法について、2回にわたって解説してきました。
実際の計算は給与ソフトが行ってくれるといっても、最低限の確認作業は必要です。雇用保険料と健康保険料・厚生年金保険料、それぞれの計算方法を理解し、正しい給与計算を行っていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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