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産休取得者をサポート!会社が押さえておきたい産休制度と手続きとは

2019.12.11

従業員からの妊娠報告。おめでたいことですので、担当者としては慌てずに対応できるよう、必要な措置や手続きについて把握しておきたいものです。

従業員に安心して出産を迎えてもらうためには、必要に応じて体調面への配慮を行うことはもちろんですが、産休前の引き継ぎや、産休に関する諸手続きを滞りなく行い、気持ちよく休業に入ってもらうことも大切です。

本記事では、産休取得者をサポートするために、人事労務担当者が把握しておきたい産休に関する手続きや対応について紹介します。

産休(=産前産後休業)とは

会社が押さえておきたい産休制度と手続きをご紹介します。
労働基準法には、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性で休業を請求した者と、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないと定められています。この産前から産後にかけての休業を産休といいます。

ここで注意したいのが、産前休業は出産予定の従業員の請求によるため、本人が請求しない場合、出産の直前まで働いてもらうことも可能ですが、産後は必ず休業させる必要があるという点です。
ただし、産後6週間を経過した女性で請求した者が、医師が支障がないと認めた業務に就くことは、差し支えないとされています。

また、少し迷うのが、出産(予定)日は、産前休業と産後休業のどちらに含まれるかという点ですが、正解は産前休業です。例えば、出産予定日が7月10日の場合、産前休業は5月30日から7月10日まで取得可能で、産後休業は7月11日から9月4日となります。

この例で5月30日から産前休業に入り、実際の出産日が少し遅れて7月13日となった場合、産前休業は5月30日から7月13日までと3日間延長となり、産後休業は7月14日から9月7日までと3日間繰り下がります。(その後、続けて育休を取得する場合は、9月8日から翌年7月12日までが原則の育休取得可能期間となります)
反対に実際の出産日が早まった場合は、産前休業がその分、短縮され、産後休業が繰り上がることになります。

産休の対象労働者には、育休とは異なり、制限はありません。育休は、有期契約労働者に対して一定の要件が設けられていますが、産休は、雇用期間や所定労働日数などにかかわらず、誰でも取得することが可能です。

産休取得前に会社や従業員に必要となる手続き

・産休の取得予定の確認

従業員から妊娠の報告を受けたら、出産予定日や産前休業の取得予定について、確認をしておきましょう。

産前産後休業申出書などの社内様式があれば、必要事項を記入の上、提出してもらいます。その他、育休の取得予定や体調面で周囲に配慮してほしいこと、業務の引き継ぎスケジュールなどについても、面談の機会を設け、話し合っておくと良いでしょう。

産休取得中に会社や従業員に必要となる手続き

・社会保険料の免除の申出
・出産手当金の支給申請

産休期間中には、健康保険・厚生年金保険料が本人・会社負担分ともに免除となりますので、社会保険料の免除の申出を行います。
「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」を作成し、産休を開始してから速やかに、年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。出産前・出産後どちらでも提出可能ですが、出産前に提出し、出産予定日と実際の出産日が異なった場合は、再度、変更届として同届書を提出するのが良いでしょう。

免除期間は、産休開始月から産休終了日の翌日の月の前月(終了日が月の末日の場合は終了月)までで、免除期間中も被保険者資格に変更はなく、将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。

また、産休期間中には、健康保険の被保険者には、本人に出産手当金が支給されます。支給額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30(日)で割った金額の2/3です。
申請は、産後56日経過後に1回で行う場合が多いですが、出産前と出産後に分けるなど複数回、請求することも可能です。

出産手当金の支給申請にあたっては、「健康保険 出産手当金支給申請書」を作成し、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県支部に郵送します。
会社が記入するページの他、本人や出産する医療機関が記入するページもあるため、産休前にあらかじめ申請書を渡しておき、出産後、用意ができ次第、返送してもらうと良いでしょう。

支給開始日以前の12か月以内で事業所に変更があった場合は、以前の各事業所の名称、所在地および各事業所に使用されていた期間が分かる書類を添付します。

健康保険からの給付は、出産手当金の他に、出産育児一時金もあります。
出産費用の負担軽減を図るために、1児につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は40.4万円)が支給されるもので、健康保険の被保険者だけでなく、被扶養者が出産した場合も対象となります。支給申請は、通常、本人が行いますが、協会けんぽ等に請求する方法だけではなく、直接支払制度といって、本人から出産する医療機関へ申出をし、一時金を上回る出産費用を窓口で清算(下回る場合は差額を協会けんぽ等に請求)する方法が利用できる場合も多いため、適宜、本人に情報提供できると良いでしょう。

産休取得後に会社で必要となる手続き

・産休終了時の報酬月額変更の届出
・養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の申出

産休後、続けて育休を取得する場合は、こちらの記事にあるように別途、育休関連の手続きが必要となりますが、本記事では、育休を取得せずに職場復帰をした場合に必要となる手続きについて紹介します。

復帰後、短時間勤務等により賃金が低下した場合、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を変更することができます。通常の月額変更の手続きとは異なり、固定的賃金に変動がなく、標準報酬月額の差が1等級でも届出が可能です。

「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業終了時報酬月額変更届」に、産休終了日の翌日が属する月以後3か月間の報酬月額を記入し、速やかに年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。
例えば、7月10日復帰の場合は、7月・8月・9月の報酬を基に10月からの標準報酬月額を算定し、報酬支払基礎日数が17日未満の月があれば、その月は除いて算出します。

また、短時間勤務等により賃金が低下した場合でも、将来、従前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができます。「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を作成し、速やかに年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。みなし期間は最長3歳までです。

従業員を不安を取り除き、安心して出産を迎えられる環境整備を

その他、妊産婦(妊娠中および産後1年を経過しない女性)への配慮義務として、保健指導または健康診査を受けるための時間の確保や、指導事項を守ることができるようにするための措置などが挙げられます。

指導事項を守ることができるようにするための措置については、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」の利用が有効です。

母健連絡カードとは、妊産婦が医師等から通勤緩和や休憩などの指導を受けた場合、その指導内容を事業主に的確に伝えられるように利用するもので、本人が主治医等に記入してもらい、会社に提出します。
母健連絡カードの提出を受けた会社は、カードの記載内容に従い、適切な措置を講じます。必要な時期に必要な措置がとれるよう、指導事項がある場合は、本人に提出してもらうと良いでしょう。

産休に関する手続きや対応は多くありますが、産休取得者をサポートし、従業員が安心して出産を迎えられる環境を整えていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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