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従業員の育休取得や職場復帰の際に、会社が行うべき手続きや支援とは

2019.12.06

従業員が育休を取得するにあたり、会社では、様々な社内手続きや公的支援制度の申請が必要となります。

人事労務担当者が一連の流れを把握しておくのはもちろんですが、育休制度対象者にも、適宜案内することで、休業への不安が軽減されたり、職場復帰後の具体的なイメージが持てたりと、取得率・復帰率の向上も期待できます。

 

本記事では、スムーズな育休の取得と職場復帰を支援するために、人事労務担当者が把握しておきたい育休に関する手続きや対応についてご紹介します。

(産休に関する手続きや対応についてはこちらの記事をご覧ください)

育休(=育児休業)とは

従業員の育休取得や職場復帰の際に会社が行うべき手続きや支援をご説明します。
まずは、育休(=育児休業)について、おさらいしておきましょう。

育児・介護休業法における育児休業は、労働者が原則としてその1歳未満の子を養育するために取得する休業のことをいいます。ただし、1歳以後、保育園に入れないなどの場合には1歳6か月まで、1歳6か月以後、同様の理由があれば2歳まで、それぞれ延長および再延長が可能となっています。

 

また、パパ・ママ育休プラスの制度を使えば、パパ・ママ(産後休業を含む)それぞれが最長1年間、子が1歳2か月まで育休を取得することができます。

育休の回数は、子1人につき原則として1回とされていますが、パパ休暇といって、出生後8週間以内に取得した場合は、特別な事情がなくても再取得が可能です。

 

育休の対象労働者は、無期雇用労働者については、制限がありませんが、有期契約労働者については、申出時点において、

①同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
②子が1歳6か月(2歳までの休業の場合は2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

この2つの要件を満たすことが必要となります。

 

また、無期・有期を問わず、労使協定を締結し、

①雇用された期間が1年未満の労働者
②1年(1歳以降の休業の場合は、6か月)以内に雇用関係が終了する労働者
③週の所定労働日数が2日以下の労働者

これらの労働者を対象から徐外することは可能です。

育休取得前に会社や従業員に必要となる手続き

・育児休業申出書〔従業員→会社〕(休業1か月前までに)
・育児休業取扱通知書〔会社→従業員〕(申出書受付後、速やかに)

 

育休の取得を希望する従業員は、原則として休業の1か月前まで(1歳以降の育休の申出は2週間前まで)に、書面等により会社に育休の申出を行う必要があります。それを受けて会社は、速やかに、書面等により従業員に育休の開始予定日や終了予定日などを通知しなければなりません。

 

女性従業員の場合、出産後、8週の産後休業を経て、そのまま育休に入る場合も多いため、産休前にあらかじめ育休の取得の希望を確認しておき、出産後、落ち着いたら正式に育休の申出をするよう伝えておきます。

申出と通知の方法は、相手方が認める場合は、ファックスまたは電子メール等によることが認められていますので、適宜、こういった方法を活用しながら、滞りなく社内手続きを行います。

 

育児休業申出書と育児休業取扱通知書の様式は、育児・介護休業法のあらまし(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103504.html)のP118、119にモデル様式が掲載されていますので、様式が未整備の場合は参考にしてください。

育休取得中に会社や従業員に必要となる手続き

・社会保険料の免除の申出
・初回の育児休業給付金の支給申請
・2回目以降の育児休業給付金の支給申請

 

育休期間中には、健康保険・厚生年金保険料が本人・会社負担分ともに免除となりますので、社会保険料の免除の申出を行います。

「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)」を作成し、育休を開始してから速やかに、年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。免除期間は最長3歳までで、免除期間中も被保険者資格に変更はなく、保険給付には育休取得直前の標準報酬月額が用いられます。

 

また、育休期間中には、雇用保険の被保険者で、育休開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あれば、本人に育児休業給付金が支給されます。
支給額は、休業開始時賃金日額の67%(育休の開始から6か月経過後は50%)です。申請は、2か月ごとにまとめて前2か月分について行います。

 

初回の育児休業給付金の支給申請については、育休開始日から2か月を経過する日の翌日から、育休開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までに行います(例えば、育休開始日が7月10日の場合、9月10日~11月30日)。

「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を作成し、ハローワークに提出します。
賃金台帳、出勤簿、母子手帳など育児を行っている事実が確認できる書類の写しを添付します。

 

2回目以降の育児休業給付金の支給申請については、前回申請時に、次回の支給申請期間が通知されていますので、その期間内に行います。
「育児休業給付金支給申請書」を作成し、賃金台帳、出勤簿を添付の上、ハローワークに提出します。

職場復帰後に会社で必要となる手続き

・育休終了時の報酬月額変更の届出
・養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の申出

 

復帰後、短時間勤務等により賃金が低下した場合、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を変更することができます。
通常の月額変更の手続きとは異なり、固定的賃金に変動がなく、標準報酬月額の差が1等級でも届出が可能です。

「健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届」に、育休終了日の翌日が属する月以後3か月間の報酬月額を記入し、速やかに年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。

例えば、7月10日復帰の場合は、7月・8月・9月の報酬をもとに10月からの標準報酬月額を算定し、報酬支払基礎日数が17日未満の月があれば、その月は除いて算出します。

 

また、短時間勤務等により賃金が低下した場合でも、将来、従前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができます。
「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を作成し、速やかに年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。みなし期間は最長3歳までです。

スムーズな育休取得と職場復帰に向け、会社で支援をしていこう

その他、育休前だけではなく、復帰前や復帰後にも面談の機会を設け、育児をしながら働くうえで配慮してほしいことや今後の働き方について話し合い、フォローアップしていくことも、復帰後の就業継続につながる重要な取り組みです。

また、育休は1年程度の長期にわたる場合も多いため、育休中には適宜、職場や業務に関する情報提供をすると、復帰への不安が軽減され、復帰後も早い段階で仕事の勘を取り戻すことができるでしょう。

 

近年は、女性だけではなく、男性の育休を推進する企業も増えてきています(男性の育休取得率は平成25年度2.03%→平成30年度6.16%、厚生労働省「雇用均等基本調査」による)。

配偶者にとっては、出産後間もない時期や復職時など、たとえ短い期間であってもパートナーが育休を取ってくれることは、有り難いものです。企業にとっても、男性が育休を取得できる環境を整えることは、仕事と育児の両立だけではなく、介護や治療との両立ができる体制にもつながっていきます。

 

育休に関する手続きや対応は多岐にわたりますが、スムーズな育休の取得と職場復帰を支援し、親になる従業員に今後も会社に貢献してもらえる環境整備を進めていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

 

育休の取得条件や給付金の支給額などについては、こちらの記事をご参照ください。

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