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休業手当の計算方法 ―休業要請による雇用調整助成金申請の基礎知識―(6/29 追記)

2020.06.29

企業側の責任により従業員を休業させた場合に支払いが必要となる「休業手当」。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業要請などにより雇用調整助成金を検討する際にも、頻繁に登場するワードです。

雇用調整助成金を受給するためには、休業期間中の休業手当の額が、労働基準法の休業手当の規定(平均賃金の6割以上)を満たしている必要があり、申請にあたっては休業手当に関する基礎知識が必要となってきます。

 

本記事では、休業手当の概要や支給金額の計算方法、雇用調整助成金のさらなる拡充に関する最新情報などについて紹介します。

 

(6/29 Update)
第二次補正予算の成立に伴う「雇用調整助成金の特例のさらなる拡充」の内容を記載しました。
詳しくは、下記「雇用調整助成金のさらなる拡充」の項をご参照ください。

休業手当とは

休業手当の計算方法について説明しています。
休業手当とは、企業側の責任により従業員を休業させた場合に支払いが必要となる手当のことをいいます。
休業手当は、労働基準法において以下のように定められています。

 

(休業手当)
第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

「使用者の責に帰すべき事由」というのは、企業側に休業の責任がある場合で、具体的には以下のようなケースなどが考えられます。

 

・企業側の故意または過失による休業
・販売不振や資金調達ができないなど経営上の理由による休業
・資材などの不足による休業
・設備などのトラブルによる休業
・親会社の経営不振による休業

 

「使用者の責に帰すべき事由」は、判例上、民法の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、企業側の故意・過失だけでなく、経営・管理上の障害による休業についても、休業手当を支払わなければならないと解されています。

 

一方、不可抗力による休業は、「使用者の責に帰すべき事由」には当たらないため、企業側に休業手当の支払義務はありません。
不可抗力による休業は、次のいずれも満たす必要があるとされています。

 

・その原因が事業の外部より発生した事故であること
・事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること

 

新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業要請による休業については、上記の1つ目に該当すると考えられます。

ただ、この場合も、2つ目の休業を回避するために従業員の在宅勤務や他の業務への従事などを十分検討したかどうかが問われるため、注意が必要です。

 

なお、雇用調整助成金は、労働基準法上の休業手当の支払義務の有無にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた企業に対して、企業が支払った休業手当の額に応じて支払われるものです。

厚生労働省では、休業要請などを受けて労働者を休業させる場合であっても、企業に一律に休業手当の支払義務がなくなるものではなく、雇用調整助成金を活用して雇用維持に努めてもらいたいと呼びかけています。

休業手当と休業補償

休業手当と類似する制度に休業補償がありますが、混同されやすいため、おさらいしておきましょう。
補償額が平均賃金の6割という点は休業手当と同様ですが、支払いが必要となる事由が異なります。

 

休業補償は、従業員が業務上の負傷または疾病による療養のため、労働することができず賃金を受けない場合に支払いが必要となるものです。

実務上は、待期期間の3日を経過すれば、4日目以降は労災保険から休業補償給付が支給されますので、企業は待期期間の3日間について平均賃金の6割以上の休業補償を行うことになります。

また、休業手当が給与所得として課税対象となるのに対し、休業補償は非課税所得である点も押さえておきましょう。

休業手当の計算方法

それでは、休業手当の計算方法について確認していきましょう。

休業手当は「平均賃金の6割以上」ですが、この「平均賃金」は以下のように計算します。

 

休業以前3か月間にその従業員に支払われた賃金総額÷その期間の総日数(暦日数)

 

「休業以前3か月間」は、賃金の締切日がある場合は、直前の賃金締切日からさかのぼった3か月間で計算します。
「賃金総額」は、通勤手当や時間外手当など諸手当を含み、社会保険料や所得税などを控除する前の賃金の総額です。

 

なお、上記は原則の計算式で、日給者や時給者など、以下の計算式によって計算した場合の方が金額が高ければ、その額を適用することになります(最低保障額)。

 

休業以前3か月間にその従業員に支払われた賃金総額÷その期間の労働日数×6/10

 

例えば、賃金締切日が末日の企業で、賃金月額(総支給額)が28万円の従業員を、4月25、27、28、30日の4日間休業させた場合(26、29日は所定休日)、1~3月分の賃金とその期間の暦日数を用いて計算します。

 

(28万円+28万円+28万円)÷(31日+29日+31日)=9230.7692…円
→平均賃金9,230円76銭(銭未満切捨て)

 

休業手当は平均賃金の6割以上で、休業は4日間ですので、

 

9230.76円×6/10×4日=22153.824円
→休業手当22,154円(円未満四捨五入)

 

以上により、22,154円以上の休業手当の支払いが必要となります。

雇用調整助成金のさらなる拡充

厚生労働省は、6月12日、第二次補正予算の成立を受け、雇用調整助成金の特例のさらなる拡充として、上限額の引き上げなどの措置に関する詳細を公表しました。

拡充された内容は以下の3点です。

 

①緊急対応期間の延長

令和2年4月1日~令和2年6月30日

令和2年4月1日~令和2年9月30日

 

②緊急対応期間中の労働者1人1日あたりの上限額の引き上げ

1人1日8,330円を上限

1人1日15,000円を上限

 

③緊急対応期間中の助成率が10/10となる要件の緩和

休業要請などに協力している中小企業が、解雇などを行わず雇用を維持している場合であって、100%の休業手当を支払っているなどの要件を満たす場合、助成率を10/10とする。

中小企業が解雇などを行わず雇用を維持している場合、助成率を10/10とする。

 

②・③については、すでに支給決定を受けており、差額が見込まれる場合でも追加の手続きは不要です。

都道府県労働局やハローワークにて算定し直し、追加支給分が後日、支給されます(支給申請は済んでいるもののまだ支給決定を受けていない場合は、追加支給分も含めて支給されます)。

 

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置)については、こちらの記事をご参照ください。

 

本記事では、休業手当の概要や支給金額の計算方法、雇用調整助成金のさらなる拡充に関する最新情報などについて紹介してきました。

 

雇用調整助成金については、5月19日、計画届の提出を不要とする措置、従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主が利用できる簡易的な支給申請の様式が公表されています。

これにより支給申請における事務負担は相当程度軽減され、前述の助成率10/10の措置もあって、小規模な企業でもかなり利用しやすい制度となっています。

 

5月25日には全国で緊急事態宣言が解除となり、新型コロナウイルスの感染者数の推移にも落ち着きが見られますが、経済活動については従来と異なる状況が続いていくことも想定されます。

雇用調整助成金の活用により雇用を維持しつつ、状況の変化への対応を進めていきましょう。

(執筆: 特定社会保険労務士 水間 聡子)

 

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