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労働基準監督署の調査基準が変更!働き方改革で変わる3つのポイント

2019.10.07

未払いの残業代や過労など、働き方に関する問題がマスコミに多く取り上げられ、企業としては従業員の働き方に対し、おざなりな考え方ではいられない時代になってきました。
そんな中、2019年4月から「働き方改革関連法」が施行され、企業に対する労働基準監督署の調査基準にも変化が出ています。企業側としては内容を正しく把握しておかなければなりません。

本記事では、「働き方改革関連法」により、労働基準監督署から働き方についてどのような内容について調査が入るのか、ポイント毎にまとめて解説していきます。

働き方改革ポイント①「時間外労働の上限規制の導入」

働き方改革で変わる3つのポイント
「働き方改革関連法」でまず確認したいのが、時間外労働の上限規制の導入です。
時間外労働、つまり残業時間の上限が、例外を除き月45時間・年間360時間と制定されます。
臨時的な特別な事情がある場合(年6か月を限度)でも、休日労働含み月100時間未満・2~6か月平均80時間以内、かつ年間720時間が上限となります。
これまでは、時間外労働が月45時間・年間360時間が一応の上限とされてはいましたが、「これを常に破るような常習的な企業には行政指導が入る可能性がある」、程度の縛りでした。

しかし、本法律施行後より、法律で時間外労働の上限時間を定め、それ以上の時間働いてもらうことができなくなりました。
本制度は、2019年4月1日からまずは大企業が、2020年4月1日からは中小企業にも適用されます。

働き方改革ポイント②「年次有給休暇の確実な取得」

次のポイントとして取り上げたいのが、年次有給休暇の確実な取得です。
これはその名の通り、企業は全ての労働者(※1)に対し、毎年5日、時季を指定して有給を取得させなければいけない制度になります。
(※1: 10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者)

これまでは、労働者側が自ら企業に対し申し出なければ、有給休暇を使うことができませんでした。
企業や所属する部署によって、有給休暇を申し出るのが難しい風土の場合や、いわゆる空気を読んで有給休暇を申請しない人が多く存在し、厚生労働省が発表した平成28年度の有給取得率は49.4%と、半数を下回っていました。
事実、年次有給休暇は「理由なく労働者が好きなタイミングで取得可能な休日」であるにも関わらず、有給取得ができていないという声は多く聞きます。

しかし、本法律施行後からは、企業側が労働者の希望を聞き、その希望を踏まえて時季を指定し、年間5日は取得してもらうことがルールになります。労働者が自ら取得した有給や計画年休の日数は、この5日から控除できることも、合わせて押さえておきましょう。

これまでは労働者側からアクションをしなければなりませんでしたが、今後は企業側が労働者に有給を取ってもらうためにアクションをしなければならなくなります。
また、大企業・中小企業関係なく2019年4月1日より導入となっているため、企業側は注意が必要です。

働き方改革ポイント③「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」

働き方改革の中で、ポイント①と②で取り上げた「長時間労働対策」と並び重要なテーマとなっている、「雇用形態間における格差への対策」について解説していきます。
本制度は、「同一労働・同一賃金」制度とも呼ばれ、施行後は、同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(※2)の間で、不合理な待遇差が禁止されることになりました。
(※2: パートタイム労働者[アルバイト]、有期雇用労働者、派遣労働者)

大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行される本制度ですが、ポイント①②と比較し、内容についてパッと聞いただけではあまりよくわからないかもしれません。
しかし、ライフスタイルに合わせて非正規雇用を選ぶ人が多くなってきている現在、しっかりと内容を理解し対策しなければいけません。

「均等待遇」と「均衡待遇」

本法律施行後は、「均等待遇」と「均衡待遇」を確保することが求められますが、そもそもこれら2つの言葉の違いについてご存知でしょうか。
まず「均等待遇」ですが、これは「同じ働き方をしている場合は待遇を同じにする」ことを意味します。
例えば、正社員とアルバイトが同じ仕事をし、同じ責任を任されている場合、待遇に差をつけてはいけない、ということになります。

次に「均衡待遇」ですが、これは「働き方が異なる場合はその違いに応じた待遇を決定する」ことを意味します。
例えば、正社員とアルバイトが同じ仕事をしているが、正社員のノルマがアルバイトの倍だった場合は、正社員はアルバイトの倍の賃金をもらう、といった具合です。

「公正な待遇」に含まれる内容は?

上で解説した均等待遇・均衡待遇を前提に、同一企業内で働く労働者に対し、公正な待遇を企業は設定しなければなりませんが、この「公正な待遇」には、下記の内容が含まれます。

・基本給
・賞与
・役職手当
・その他手当(食事手当・時間外手当割増率・地域手当・出張旅費など)
・福利厚生
・教育訓練

上記全ての待遇に対し、均等・均衡待遇を考え公正になるよう求められています。

基本給や賞与、役職手当については、待遇に差異があれば、それが業務の内容や責任の程度などによるものであると説明できる必要があります。また、食事を取る休憩時間がある場合の食事手当や出張旅費などは、正規雇用に付与するのであれば非正規雇用にも付与しなければなりません。

また、食堂利用や更衣室利用などの福利厚生施設の利用権利、慶弔休暇や健康診断休暇、病気休職などについても差をつけてはいけません。
教育訓練に関しても、仕事に必要なものについては、同一の仕事を求める場合には、同一の訓練を実施しなければなりません。

働き方改革関連法で導入されるその他制度

ポイント①②③以外にも、働き方改革では、「勤務間インターバル制度の導入促進」「労働時間状況の客観的な把握」「フレックスタイム制の拡充」「高度プロフェッショナル制度の導入」「月60時間超残業に対する割増賃金率の引き上げ」などが施行されます。

労働基準監督署の調査対策だけでなく、従業員が長く働ける働き方を

政府は、「働き方改革」により、長時間労働と雇用形態間格差をなくそうとしています。
これは大企業に限らず、中小企業にも適用されますが、多くの中小企業は対策を実施していないかもしれません。もちろん労基署の調査が入った場合、対策未実施の企業は処罰の対象になります。
しかし、政府が提唱する「働き方改革」が実現される企業になれば、従業員に長く働いてもらえる企業になれる可能性が高まります。
労基署の調査をかわすためではなく、全従業員、ひいては企業自体のために、働き方制度を見直していきましょう。

(監修: 社会保険労務士 水間 聡子)

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