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就業規則とは?作成・変更のポイントや記載事項、届出の流れを解説

2019.12.25

常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出が義務付けられている就業規則。「会社のルールブック」とも呼ばれ、10人未満の会社であっても作成するメリットは大きいと言われています。

では、就業規則を作成するメリットには、どのような点が挙げられるのでしょうか。

本記事では、就業規則の作成の検討をしている経営者や人事労務担当者にぜひ押さえてもらいたい、就業規則を作成するメリットや作成上のポイント、届出時の注意点を紹介します。

就業規則とは

就業規則の作成や変更のポイントをご紹介します。
就業規則とは、従業員の労働時間・賃金等の労働条件や、社内の規律などについて、会社が定める規則のことです。

就業規則は、労働基準法にその作成と届出の義務が定められており、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならないとされています。労働基準監督署への届出は、就業規則を変更したときも同様に必要となります。

就業規則の内容や従業員への周知の手続きについては、「就業規則の作成のポイント」の章で、就業規則の作成・届出の流れについては、「就業規則の届出時の注意点」の章で詳しく紹介します。

就業規則を作成するメリット

就業規則を作成するメリットには、主に以下のような点が挙げられます。

・会社のルールが明確になり、従業員に安心感を与え、やる気を引き出すことができる。また、会社と従業員とのトラブルを防ぐことができる
就業規則がない場合でも、使用者には労働契約締結時の労働条件の明示義務がありますので、労働条件通知書や雇用契約書により基本的な労働条件は明確になっています。ただ、実務上は、同書類だけでは対処できないことも多くあります。

事例ごとにその都度、判断していると、例えば、病欠が続いた従業員が複数名いたとして、最初の者には医師の診断書を求めなかったが、次の者には求めるというように、結果として従業員の間で不公平感が出てきてしまうことがあります。

就業規則に「傷病のため継続して〇日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない」という一文があれば、その都度、判断する負担もなく、従業員の理解も得られやすくなります。

また、就業規則は、人事労務担当者がマニュアルとして活用することもできます。上記の例では、就業規則を参照し、欠勤〇日以上の従業員に医師の診断書の提出を依頼する、賃金の欠勤控除の計算式を確認する、といった具合です。

・問題のある従業員に対する処分の根拠となる
問題のある従業員がいて懲戒処分を考えたとしても、就業規則に根拠となる規定がなければできません。就業規則に懲戒規定を設ける前に従業員が行った行為に対して、さかのぼって懲戒処分をすること(遡及適用)や、就業規則に定めのない事由による懲戒処分はできないため、懲戒規定はよく検討し、早い段階で就業規則に記載することをお勧めします。
就業規則は、会社のルールブックであると同時に、会社を守る根拠にもなります。

・助成金への取り組みに有効なツールとなる
雇用・労働分野の助成金を申請するにあたって、就業規則の添付が必要となる場合があります。所定の雇用関係の措置等を導入したということを就業規則の条文によって確認するためです。
就業規則は、助成金を活用した戦略的な事業運営にも欠かせないものと言えます。

就業規則の作成・変更のポイント

就業規則を作成・変更するにあたっては、法律で求められる必要記載事項を網羅した上で、社会情勢や企業の実態を踏まえて任意で記載する事項を追加していくことが重要となります。

就業規則には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、当該事業場でルールを定める場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。この他に、職務専念義務や職場秩序維持義務、ハラスメントの禁止など、会社が任意で記載する事項(任意的記載事項)もあります。

近年では、任意的記載事項の重要性が増しており、「個人所有の端末(電子機器など)や外部サービスの業務での無断使用の禁止」や、「勤務時間中の不必要なSNSへのアクセスの禁止」、「あらゆるハラスメントの禁止」など、服務規律の条文が多様化しています。

就業規則の絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項は、下記のとおりです。

・絶対的必要記載事項
① 始業および終業の時刻、休憩時間、休日、休暇ならびに交替制の場合には就業時転換に関する事項
② 賃金の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期ならびに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

・相対的必要記載事項
① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰、制裁に関する事項
⑧ その他全労働者に適用される事項

なお、就業規則の効力については、下記のような関係が成り立ちます。

法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

就業規則は、法令または労働協約(労働組合と使用者との間の労働条件等に関する書面による取り決め)に反してはなりません。また、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効となります(無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます)

また、就業規則を有効なものとするためには、合理的な労働条件を定めていることはもちろんですが、従業員に周知することも重要な要件となります。周知については、10人以上か10人未満かにかかわらず、下記の中から自社に合った方法を選択し、必ず行うようにしましょう。

・常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける
・書面で労働者に交付する
・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する

就業規則の作成・変更の方法としては、社会保険労務士に依頼する、「モデル就業規則」などを参考にする、「就業規則作成支援ツール」などを活用する等が考えられます。それぞれの方法のメリットや注意点については、こちらの記事で紹介していますので参考にしてください。

就業規則の届出時の注意点

就業規則の作成・届出にあたっては、「“常時10人以上”の労働者を使用する“事業場”」の解釈について確認しておきましょう。

まず、“常時10人以上”についてですが、パートタイマーやアルバイトも人数に含まれ、時に10人未満になることはあっても、常態として10人以上であれば該当するとされています。

次に、“事業場”についてですが、就業規則は、企業単位ではなく事業場単位で作成し、届け出なければならないとされています。
例えば、企業Aに本社X(従業員数15名)、営業所Y(従業員数10名)、営業所Z(従業員数5名)がある場合、本社Xと営業所Yには就業規則の作成・届出義務がありますが、営業所Zには同義務はないということになります。
なお、本社Xと営業所Yの就業規則が同一の内容である場合は、本社Xの所轄労働基準監督署を経由して一括で届け出ることができます。
営業所Zについても、就業規則の作成・届出義務はないものの、任意で作成し、届け出ることは(届出はせずに作成だけすることも)可能です。

就業規則の作成・変更にあたっては、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合(過半数労働組合)、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)の意見を聴かなければならないとされています。

手続きとして意見を聴くことが義務付けられているのであって、聴いた意見を踏まえて所要の変更をすることまでは求められていませんが、トラブルを防ぐためにも内容をよく説明し、意見をもらうようにしましょう。意見は「意見書」に記入してもらい(特に意見がない場合でも、「特になし」などと記入してもらいます)、労働基準監督署への届出の際に添付します。

就業規則の届出にあたっては、作成・変更した就業規則に、「就業規則(変更)届」と前出の「意見書」を添付し、労働基準監督署に持参または郵送します。分量が多いために、就業規則とは別冊にした規程(例えば、賃金規程や育児・介護休業規程など)も就業規則の一部ですので、一緒に提出します。

就業規則の変更の場合は、就業規則全体ではなく、変更箇所の新旧対照表などの提出でも良いとされています。就業規則(変更)届と意見書は、任意の様式で構いませんが、各都道府県労働局のホームページなどから様式がダウンロードできますので、適宜、活用してください。

なお、各書類は2部提出し、1部は押印・返却してもらい、会社控えとすると良いでしょう。郵送の場合は、返信用封筒を同封するようにします。

目的を明確にし、就業規則の作成を

本記事では、就業規則の作成の検討をしている経営者や人事労務担当者にぜひ押さえてもらいたい、就業規則を作成するメリットや作成上のポイント、届出時の注意点について解説してきました。

「就業規則を作成するメリット」の章で紹介したように、就業規則のメリットは多くあり、リスク回避や理念追求など、企業によってその作成の目的も異なります。就業規則には、その目的別に参考となる図書が多く出版されていますので、自社の実態を踏まえて作成の目的を明確にし、就業規則の作成を始められてはいかがでしょうか。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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