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【社労士への依頼からツールの活用まで】就業規則の作成方法とは

2019.12.27

常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出が義務付けられている就業規則。従業員の労働時間・賃金等の労働条件や、社内の規律などについて会社が定める規則で、10人未満の会社であっても作成を検討されている企業も多いのではないでしょうか。

でも、いざ作成するとなると、通常業務も忙しい中、自社で作成するか、費用をかけて専門家である社会保険労務士(社労士)に依頼するか、悩まれる企業も少なくないと思います。

本記事では、就業規則の主要な作成の方法と、それぞれのメリットやデメリットを紹介します。

(就業規則を作成するメリットや作成上のポイント、届出時の注意点については、こちらの記事をご参照ください)

就業規則の作成方法

就業規則の作成方法をご紹介します。
就業規則の主な作成方法としては、社労士に依頼する、「モデル就業規則」などを参考にする、「就業規則作成支援ツール」などを活用する等が考えられます。

以下、それぞれの方法の詳細と、メリットやデメリットについて紹介していきます。

就業規則の作成方法①:社労士に依頼する

社労士とは、社会保険労務士法に基づく国家資格者で、労働・社会保険に関する法令やその手続きに精通した専門家です。人事労務に関するコンサルティングや労働・社会保険手続きの代行などの業務を行っているため、法令と実務の両面からその企業に合った就業規則を作成できます。

就業規則を社労士に依頼する場合、顧問社労士がいるのであれば、会社の実情をよく分かっている顧問社労士に依頼するのが一番ですが、いないのであれば、関係先等からの紹介やインターネットなどでの情報収集により依頼先を検討することになります。

依頼先の検討にあたっては、やはり報酬額が気になるところですが、報酬額は事務所や依頼内容によって異なるものの、相場としては10万円~数十万円ほどとなっています。一般的に、現状のヒアリング→原案の提案→修正案の提案…と複数回の打合せを通じて作成していきますので、複数社に見積りを依頼する場合は、工程数も併せて確認すると、事務所ごとの金額の差異も納得できる場合が多いです。

就業規則を社労士に依頼するメリットとしては、最新の法改正に対応し、自社に合ったオーダーメイドの就業規則が作成できるといった点が挙げられます。

先に述べたように、社労士は労働・社会保険に関する法令に精通し、様々な企業の人事労務の実務に携わっています。
就業規則を自社で作成する場合、参考となる雛形等があったとしても、意図せず法令に違反する内容にカスタマイズしてしまったり、逆に法令に違反しないようにと雛形をそのまま利用し、企業の裁量を必要以上に制限してしまったりという心配もあります。その点、法令と実務の両面に明るい社労士であれば、法令を遵守しつつ、自社で円滑に運用できるバランスのとれた就業規則を提案できます。

また、就業規則を有効なものとするためには、合理的な労働条件を定めていることはもちろんですが、従業員に周知することも重要な要件となります。就業規則を社労士に依頼する場合は、オプションとなる場合もありますが、従業員説明会など適切な周知の手続きについてもサポートが受けられます。

反対にデメリットとしては、やはり相応の費用がかかってしまう点が挙げられます。
それでも自社で作成する場合に比べ、質が担保され、時間が節約できることになりますので、費用対効果を考え、信頼・納得できる依頼先を探すことが一番だと考えます。

就業規則の作成方法②:「モデル就業規則」などを参考にする

「モデル就業規則」とは、厚生労働省が作成し、ホームページで公開している就業規則のモデル規程です(以下、「厚労省モデル規則」)。

労働関係法令の改正等に合わせて改定され、常時、最新の法改正に対応した内容を確認できます。就業規則の規程例とその解説で構成されており、各条文の内容を確認しながら、必要記載事項を漏れなく盛り込むことができます。
また、就業規則には、弁護士や社労士などが執筆した参考書籍も多く出版されていますので、そういった書籍を参考にするのも有力な選択肢のひとつとなります。

厚労省モデル規則などを参考に就業規則を作成するメリットとしては、費用が安価に抑えられる点が挙げられます。厚労省モデル規則であれば無料で手に入りますし、就業規則に関する書籍も2,000~3,000円から高いものでも1万円ほどで購入できます。

反対にデメリットとしては、相応の時間と手間がかかってしまう点が挙げられます。

また、社労士に依頼するメリットのところで述べましたが、就業規則を自社で作成する場合、意図せず法令を下回る・上回る内容の就業規則となってしまう心配もあります。

例えば、厚労省モデル規則では、「昇給に関する事項は 、就業規則の絶対的必要記載事項に当たりますので、昇給期間等昇給の条件を定める必要があります」として昇給についてのみ条文を設けていますが、近年は賃金体系が多様化しており、降給についても明記すべきではないかという考え方もあります。

法令等に関する知識に不安がある場合は、複数の書籍の条文を比較したり、完成した就業規則のチェックだけでも専門家に依頼したりすると、より質の高い就業規則となるでしょう。

就業規則の作成方法③:「就業規則作成支援ツール」などを活用する

「就業規則作成支援ツール」(https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support_regulation.html)とは、厚生労働省が作成し、提供しているWebを活用して就業規則を作ることができるツールです(以下、「厚労省作成支援ツール」)。

就業規則作成支援ツールは、2019年4月から提供が開始されました。前出の厚労省モデル規則の解説を確認しながら、入力フォームから規程例を編集してPDFデータを作成し、印刷できます。

また、民間でもWeb上で必要事項を入力し、就業規則を作成できるサービスを提供している企業があります。厚労省作成支援ツールは、入力フォームにはなっているものの、厚労省モデル規則を参考にする場合と同様に条文を自社に合わせてカスタマイズする必要がありますが、民間のサービスには、質問に答えるだけで就業規則が自動で作成されるというものもあります。

厚労省作成支援ツールなどを活用し、就業規則を作成するメリットとしては、厚労省モデル規則等と同様に、費用が安価に抑えられる点が挙げられます。厚労省作成支援ツールであれば無料で利用できますし、民間のサービスを利用しても社労士に依頼する場合より費用が削減できる場合があります。
また、就業規則を自社で作成する場合、何から手を付ければいいか悩んでしまいがちですが、こういったツールでは示された手順どおりに作成を進めていくと就業規則が完成しますので、従来の方法よりも取り組みやすいのではないでしょうか。

反対にデメリットとしては、こちらも厚労省モデル規則等と同様に、相応の時間と手間がかかってしまう点が挙げられます。

また、厚労省作成支援ツールでは、誤って法令を下回る内容に編集してしまった場合でも、アラートが表示されるわけではありません。厚労省モデル規則などを参考にするデメリットのところで述べたように、法令等に関する知識に不安がある場合は、他にも書籍を参照したり、専門家にチェックを依頼したりするとより安心です。

就業規則の作成を、労働法への理解を深める機会に

本記事では、就業規則の主要な作成の方法として、社会保険労務士に依頼する、「モデル就業規則」などを参考にする、「就業規則作成支援ツール」などを活用するという3つの方法を紹介し、それぞれのメリットやデメリットを検討しました。

社労士に依頼する場合は、就業規則の検討過程の打合せが労働関係法令等のセミナーのような役割を果たしますし、その過程において自社の労務管理上の問題点も把握ができます。もちろん自社で作成する場合も、労働法への理解を深める貴重な機会となりますので、それぞれの方法をよく比較・検討し、就業規則の作成を始めてみてはいかがでしょうか。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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