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就職氷河期世代に限定した求人も可能になる「就労支援助成金」とは

2020.01.17

政府は、2019年6月21日に「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2019」を閣議決定しました。

同方針には「就職氷河期世代支援プログラム」も盛り込まれ、採用企業側の受け入れ機会の増加につながる環境整備として、各種助成金の見直し等により企業のインセンティブを強化する方針が打ち出されています。

 

本記事では、就職氷河期世代の就労支援のための助成金「特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)」について紹介します。

政府による就職氷河期世代への就労支援とは

就職氷河期世代に限定した求人も可能になる「就労支援助成金」を解説しています。
まずは、政府による就職氷河期世代への就労支援の概要について見ていきましょう。

「経済財政運営と改革の基本方針2019」に盛り込まれた「就職氷河期世代支援プログラム」では、3年間の集中支援プログラムにより、就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増やすことを目指すとしています。

 

支援の対象となる就職氷河期世代については、概ね1993~2004年に学校卒業期を迎えた世代で、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者(少なくとも50万人)、就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない長期無業者など、合わせて100万人程度が存在すると言われています。

 

具体的な施策としては、

①相談、教育訓練から就職まで切れ目のない支援
②個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援

を二本の柱とし、今後、ハローワークでの専門窓口の設置や短期間での資格取得と職場実習等を組み合わせた出口一体型プログラム、採用企業が活用できる各種助成金の見直しなどが予定されています。

就職氷河期世代の就労支援助成金の要件緩和

前述の「就職氷河期世代支援プログラム」に先行し、2019年4月に支給要件の見直しが行われたのが「特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)」【旧名称:特定求職者雇用開発助成金(長期不安定雇用者雇用開発コース)】です。

これは、就職氷河期世代の就労支援のための助成金で、所定の要件に該当する同世代の労働者を正規雇用労働者として雇い入れた事業主に対して支給されるものです。

支給要件の変更点としては、「雇入れ日の前日から起算して過去10年間に5回以上離職または転職を繰り返している」という対象労働者の要件が、2019年4月1日以降の雇入れからは「正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない」という要件に改正されています。

離職や転職を繰り返しているか否かにかかわらず、正社員経験が少ない労働者が対象となった点で、企業は以前より助成が受けやすくなったといえるでしょう。

主な支給要件としては、所定の年齢・経歴等に該当する労働者(下記の要件1を参照)を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により、正規雇用労働者(下記の要件2を参照)として新たに雇用する必要があります。

 

【要件1】対象となる労働者の要件(雇入れ日において①~④のすべてに該当)
①雇入れ日時点の満年齢が35歳以上60歳未満
②正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、加えて雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない
③ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介の時点で失業状態にある(1週間の所定労働時間が20時間以上またはそれと同等の業務に従事する自営業者等については失業の状態にあるとは認められません)
④正規雇用労働者として雇用されることを希望している

 

【要件2】正規雇用労働者の要件(①~③のすべてに該当)
①期間の定めのない労働契約を締結している
②所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の所定労働時間(週30時間以上)と同じ
③同一の事業主に雇用される通常の労働者に適用される就業規則等に規定する賃金の算定方法および支給形態、賞与、退職金、その他労働条件について長期雇用を前提とした待遇が適用されている
※短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満)は除く。正規雇用労働者については、就業規則等において定められていることが必要。

 

支給額は、雇入れ1人あたり60万円(大企業50万円)で、雇入れ6か月経過後および1年経過後にそれぞれ半額が支給されます。

取り組みの流れは、以下のとおりです。

 

①ハローワーク等に求人の申込み
要件に該当する求職者からの応募については、ハローワーク等からの紹介 の際に、当該助成金の対象者となる可能性がある旨が伝えられます。

②対象労働者の雇入れ

③雇入れ6か月経過後の支給申請(第1期)
ハローワークが支給または不支給の決定を行います。

④助成金(第1期)の受給

⑤雇入れ1年経過後の支給申請(第2期)
ハローワークが支給または不支給の決定を行います。

⑥助成金(第2期)の受給

就職氷河期世代に限定した求人が可能に

前述の助成金とも関連し、2019年8月末からは、ハローワークでの就職氷河期世代に限定した求人が可能となっています。

主な求人の条件としては、

①就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)を対象とした求人であること
②期間の定めのない労働契約を締結すること
③経験等不問の求人であること

とされています。

 

当該求人は、就職氷河期世代の募集であることが求人票に表示され、対象者には積極的な情報提供がなされることから、特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)の対象となる労働者からの応募が増えることが期待できます。

正社員経験が少ない就職氷河期世代の採用にあたっては、自社の戦力となりうるのか不安もあるところですが、当該助成金により教育機会を設け、早期に戦力化・定着化を図るという助成金の使い道も考えられます。

人材不足の企業においては、女性や高年齢者、外国人と並ぶ人材確保対策として、一考の価値があるといえるでしょう。さらに、厚生労働省では、今後、就職氷河期世代に限定した求人を民間の職業紹介事業者でも認める方向で検討することにしています。

2020年度の助成金の動向にも注目

2019年12月20日に閣議決定された令和2年度予算の政府案では、特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)の見直し・拡充に13億円(令和元年度10億円)の予算が措置されています。

具体的には、対象となる労働者の年齢要件等を見直した上で、失業中の者のみならず、非正規雇用労働者も支援対象となるよう制度を拡充するとしています。さらなる要件の緩和が見込まれ、今後の動向が注目されるところです。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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