初めての外国人採用 ─雇用契約書作成方法、労務管理・手続きの留意点─ | akeruto_ はたらく未来のカギになる

Akeruto はたらく未来のカギになる

MANAGEMENT

初めての外国人採用 ─雇用契約書作成方法、労務管理・手続きの留意点─

2020.03.27

2019年4月に出入国管理法が改正され、外国人労働者の新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されました。

2019年12月末時点の特定技能在留外国人の受入れ人数は1,621人にとどまってはいるものの、今後、申請手続きのオンライン化や受験資格の拡大により、少子高齢化に伴う人材不足の問題を解決する起爆剤となることが期待されています。

ますます身近な存在となっていく外国人材ですが、実際に雇用するにあたっては、従来とはまた違った労務管理上の視点や手続き上の留意点が出てきます。

 

本記事では、外国人を雇用する際の雇用契約書の作成方法や労務管理上の留意点、雇用保険・社会保険の手続きについて解説します。

【外国人採用】雇用契約書の作成

外国人採用時の雇用契約書作成方法や手続きの留意点について説明しています。
まずは、外国人を雇用する際の雇用契約書の作成方法について見ていきましょう。

従業員を採用したら、日本人労働者・外国人労働者を問わず、雇用契約書(労働条件通知書)の作成が必要です。

雇用契約書に記載すべき事項も、日本人労働者と外国人労働者で変わることはありませんが、外国人労働者は日本語に不慣れな場合もあるため、その点には配慮が必要となります。

普段のコミュニケーションには問題がなくても、日本語のみで書かれた雇用契約の内容までは理解できない可能性がありますので、母国語や公用語として用いられることの多い英語などを併記した雇用契約書を作成すると良いでしょう。

 

厚生労働省では、外国人労働者向けのモデル労働条件通知書を作成しています。
(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/leaflet_kijun.html)

英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、インドネシア語、ベトナム語の8か国語版が現在、公開されているため、参考にすると良いでしょう。

(雇用契約書と労働条件通知書の違いや記載事項については、詳しくはこちらの記事をご参照ください)

 

また、外国人に働いてもらうためには、その外国人が就労が認められている在留資格を持っていなければなりません。

在留資格が取得できない場合は内定を取り消す、在留資格が更新できない場合は雇用契約を終了するなどの文言についても、雇用契約書に盛り込むことを検討すべきでしょう。

 

その他の留意点としては、日本の労働慣行と外国人の母国の労働慣行では、異なる部分が多いことが想定されますので、労働時間や休日・休暇、割増賃金などについて、丁寧な説明をすることが挙げられます。

賃金も総支給額だけではなく、社会保険料等控除後の手取り額についても説明するなどの工夫が必要でしょう。

 

また、通常、雇用契約書(労働条件通知書)には、「詳細は、就業規則第●条で定める」などの記載が見られるところですが、就業規則が日本語版しかなければ、外国人労働者が理解できない可能性があります。

ボリュームは多くなりますが、労働条件の詳細についても雇用契約書内に集約しておくと良いでしょう。

【外国人採用】労務管理上の留意点

次に、外国人を雇用する際の労務管理上の留意点について見ていきましょう。

先にも述べましたが、外国人に働いてもらうには、その外国人が就労が認められている在留資格を持っていなければなりません。

採用の際には、在留資格の確認のため、在留カードの提示を受けるようにしましょう。

 

在留カードの確認にあたっては、まずは、在留カード表面の「就労制限の有無」欄を確認しましょう。「就労制限の有無」欄に「就労制限なし」の記載がある場合には、従事してもらう業務に制限はありません。

一方、「在留資格に基づく就労活動のみ可」の記載がある場合には、「在留資格」欄に記載されている在留資格が、自社で従事してもらう業務に該当するかを確認します。

「指定書により指定された就労活動のみ可」の記載がある場合には、指定書の提示を求め、確認するようにしましょう。

「就労不可」の記載がある場合には、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に許可の記載がある場合に限り、働いてもらうことが可能です。ただし、就労時間などの制限についても併せて記載されているため、確認の上、遵守するようにしましょう。

【外国人採用】雇用保険の手続き

日本人労働者・外国人労働者を問わず、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込がある場合は、原則として雇用保険の被保険者となります。

ただし、全日制の学校の学生などは除かれます。また、ワーキングホリデー制度で入国し就労する外国人は、在留目的が「休暇」であって「就労」ではないため、雇用保険の被保険者とはなりません。

 

外国人の雇用保険の資格取得手続きにあたっては、資格取得届に、日本人の場合と同様の必要記載事項のほか、次の事項を記載します。

①被保険者氏名(ローマ字)
②国籍・地域
③在留資格
④在留期間
⑤資格外活動許可の有無
⑥派遣・請負就労区分
⑦在留カード番号(2020年3月より記載が必要に。資格取得届の様式が改定されるまでは別様式での届出が必要です)

①~⑤、⑦については、在留カードに記載されていますので、前出の在留カード確認時に控えておくようにしましょう。

(入社時の雇用保険手続きについては、詳しくはこちらの記事をご参照ください)

 

雇用保険被保険者以外の外国人については、雇入れ・離職の翌月末日までに、ハローワークに「雇入れ/離職に係る外国人雇用状況届出書」を提出します。

この届書の必要記載事項も、在留カードに記載されています。

【外国人採用】社会保険の手続き

週の所定労働時間および月の所定労働日数が自社の一般社員の4分の3以上である場合は、原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となるのも、日本人労働者と変わりありません。

 

在留資格が就労に関するものである場合は、常時雇用が前提となっているため、必然的に社会保険の被保険者となりますが、資格外活動の許可などにより就労する場合は、上記の基準に照らして被保険者となるかどうか判断します。

外国人の社会保険の資格取得手続きにあたっては、資格取得届のほか、「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出も必要となります。

(入社時の社会保険手続きについては、詳しくはこちらの記事をご参照ください)

 

健康保険の被扶養者の認定についても、日本人労働者と外国人労働者で取扱いに相違はありません。

ただ、外国人労働者の受入れ拡大に伴い、2020年4月1日からは、被扶養者の認定要件に新たに国内居住要件が追加されます(外国に一時的に留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族などは例外として被扶養者となります)ので、この点は押さえておきましょう。

雇用する外国人材に寄り添った支援を

社会保険や雇用保険への加入については、外国人労働者の理解が得られにくい場面も想定されます。

厚生年金保険であれば将来の年金受給につながらないなどの懸念が原因として考えられますが、保険料の二重負担防止や年金加入期間の通算を目的に、諸外国との社会保障協定の発効も進んできていますし、帰国時の脱退一時金の制度もあります。

どういった場合に給付が受けられるかなど加入の意義について説明し、理解を求めるようにしましょう。

 

外国人労働者は、その外国人ごとに考え方や置かれた状況は様々です。

海外から日本にやってきて日本の企業で働く相手の立場に立って考えれば、分からないことが多いのは容易に想像ができます。

お互いに歩み寄れるよう、日本人採用時よりもより細やかなコミュニケーションを心がけるようにしましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

関連記事