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【3つのポイントで見る】フレックスタイム制と裁量労働制の違いとは

2019.12.20

昨今、導入する企業が増えているフレックスタイム制と裁量労働制。
どちらも、働き方改革を背景に、柔軟な働き方を実現するための制度として注目されています。

ところが、その違いを正確に答えられる人は意外と多くありません。
今回は、制度の導入を検討する方ならしっかりと押さえておきたいフレックスタイム制と裁量労働制の違いについて解説します。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い

フレックスタイム制と裁量労働制の違い3つを解説

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは労使協定に基づいて、労働者が日々の始業と終業の時刻を原則として自由に決めることができる制度です。ただし、総労働時間は社員の裁量に任されておらず、規定の労働時間を守る必要があります。

裁量労働制とは

裁量労働制とは、実際の労働時間によらず、あらかじめ労使で定めた労働時間分働いたとみなして(みなし労働時間)賃金が支払われる制度です。みなし労働時間より長く働いても短く働いても賃金は変わらないので、自ずと業務の成果が重視されるようになります。

「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2つがありますが、詳しくはこちらの記事で解説しています。

また裁量労働制のメリット、デメリットについてはこちらの記事で解説していますので、ご参照ください。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い:3つのポイント

フレックスタイム制と裁量労働制、どちらも、社員の柔軟な働き方を実現し、生産性の向上を目的とする点は共通です。ところが、それぞれ根本的な違いが存在します。以下ではその違いを3つのポイントで解説します。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い①:導入手続きが違う

1つ目に、導入手続きの違いがあります。

フレックスタイム制を導入する場合は、就業規則に始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を記載し、労使協定を締結することで導入することができます(清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の届け出も必要)。

一方、裁量労働制は、導入手続きがより煩雑になります。

裁量労働制は、「専門業務型裁量労働制」の場合は労使協定を締結した上に、労働基準監督署に届け出を行うことが必要となります。

また「企画業務型裁量労働制」の場合には、労使委員会の5分の4以上の賛成による決議、同決議の労働基準監督署への届け出、対象労働者の同意が必要となります。 まずは、社員側が半数を占める労使委員会を組成し、厚生労働省の規定のルールに則って継続的に委員会を運営していかなければなりません。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い②:対象の職種の範囲が違う

フレックスタイム制と裁量労働制では、対象の職種の範囲も異なります。

フレックスタイム制であれば、対象職種の制限はありません。全社員に対して平等に適用することができます。

ところが、裁量労働制の場合は、特定の職種のみに適用されます。
クリエイターや士業のような、厚生労働省の定める専門職や、会社全体の経営戦略や事業企画などを担当する社員で、いずれもその業務を裁量をもって行っている場合のみが対象となります。

裁量労働制の対象となる詳しい職種の範囲については、こちらの記事でも紹介していますので、ご参照ください。

フレックスタイム制と裁量労働制の違い③:報酬の支払い方が違う

給与の支払い方も、フレックスタイム制と裁量労働制では異なります。

フレックスタイム制の場合は、あくまで労働時間に応じて給与が支払われます。残業代についても、清算期間を通じて、法定労働時間の総枠(※)を超えて行われたものについては支払われなければなりません。

(※例えば、1か月単位のフレックスタイム制で31日まである月の場合、週の法定労働時間40時間 ×(31日÷7日)=177.1時間)

一方、裁量労働制の場合は、実際の労働時間ではなく、みなし労働時間により給与が支払われます。(みなし労働時間が法定労働時間を超える場合は、残業代の支払いが必要となります)

みなし労働時間より長く働いても短く働いても給与は変わらないため、想定された成果に対して、あらかじめ決められた固定の報酬が支払われる成果主義の色合いが強くなります。

フレックスタイム制と裁量労働制のメリット・デメリット

ここまで、フレックスタイム制と裁量労働制の共通点と相違点を解説してきました。

では、社員の生産性や働き方の柔軟性を向上させるためには、どちらを導入するべきなのでしょうか?

ここからは導入を検討する上で重要となる、それぞれのメリットとデメリットについてお伝えします。

フレックスタイム制のメリット:社員のそれぞれのペースで出退勤が可能

フレックスタイム制のメリットは、社員がそれぞれの生活に合わせたペースで仕事ができる点です。

例えば、子育てが必要な主婦は、夕方に子供の送り迎えをしないといけないため、朝は早く出勤し、夕方前に退勤をする生活スタイルを希望するでしょう。

また、エンジニアやデザイナーなどは夜型の社員も多く、出勤ラッシュを避けて昼から出勤し、夜遅くまで仕事をしたほうが生産性が高いという場合もあるかもしれません。

このように、社員それぞれの生活リズムに合わせて、個々の生産性を最大限発揮できる時間帯に業務時間を設定できる点がフレックスタイム制のメリットでしょう。

裁量労働制のように職種の制限もなく、導入も難しくはないため、まずはフレックスタイム制から導入するという企業も少なくありません。

フレックスタイム制のデメリット:社員の時間管理が難しくなる点

フレックスタイム制のデメリットは社員の労働時間の管理が難しくなる点です。

人によっては、いつ出勤しても良いということで自己管理ができず、時間にルーズになってしまう社員がでてきてしまう可能性があります。裁量労働制のように、一定の成果を出しているかどうかの管理は必要になるでしょう。

また、社員の出勤時間がバラバラになることで、コミュニケーションが取りづらくなるというデメリットもあります。こちらについても、コアタイム(任意で設定可能な必ず勤務しなければならない時間帯)を調整することで自社の状況に応じて業務時間を最適化をする必要があるでしょう。

裁量労働制のメリット:労働時間ではなく成果で評価される点

裁量労働制のメリットは、ズバリ成果で評価される点です。
想定の成果さえ出せるのであれば、極論出勤する義務もなければ、想定の労働時間を満たす義務もありません。

そのため、アウトプットの規定や品質基準が明確な場合は、会社にとっても社員にとっても裁量労働制の方が柔軟性が高い可能性があります。

一方、フレックスタイム制の場合は、出退勤の時間に柔軟性があるだけで、出勤の義務はありますし、規定の労働時間を満たす必要もあります。

その点においては、裁量労働制の方が、労働者側の裁量権が大きく、労働の柔軟性が高いと言えるでしょう。

成果主義の社風であればフレックスタイム制よりも裁量労働制の方が相性が良いかもしれません。

裁量労働制のデメリット:長時間労働が常態化する危険性がある

裁量労働制は、一定の成果を出さなければならないため、その成果を達成するために長時間労働が常態化してしまう可能性がある、というデメリットもあります。

実際に、いくつかの企業では長時間労働が常態化した結果、社員が健康を害してしまったケースも存在します。

社員への裁量権が大きいからこそ、労使委員会の設置義務があったり、労働監督署への届け出が必要だったりと、会社全体で社員の働き方を管理する環境整備が必要となるのです。

あなたの会社ではフレックスタイム制と裁量労働制のどちらが合っていますか?

さて、今回は、フレックスタイム制と裁量労働制の違いについて解説しました。

社員それぞれが出退勤の時間を柔軟に決めることができるフレックスタイム制か、より社員に裁量権があり、柔軟な働き方を認める裁量労働制か、この記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(監修: 社会保険労務士 水間 聡子)

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