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ESG経営の取り組み事例 ─リスク管理を強化し、企業価値を高める─

2020.02.17

ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)とは、一般的にステークホルダー(利害関係者)に対する企業の社会的責任と考えられています。近年では国連の責任投資原則(Principles for Responsible Investment、PRI)や環境問題、社会問題などの増加を背景に、特に機関投資家の間でESGを投資の評価基準とするESG投資が活発化しています。

世界の投資家から長期的な成長が見込める企業として信頼を得るために、そして企業価値や経営の質を高めるために、実際の企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

本記事では、ESG経営のメリットや企業によるESGへの取り組みの事例を紹介します。

(「ESG」については、こちらの記事も合わせてご参照ください)

企業経営におけるESGの戦略的活用法

ESG経営の取り組み事例をご紹介します。
企業の経営戦略の1つとしてESGを有効活用することは、顕在化した社会問題に関連したリスク管理の強化や、ビジネス機会の獲得につながります。

2006年に国連で「責任投資原則」が発表されてから、機関投資家がESGを意識した投資をするようになっており、社会問題に対して柔軟かつ迅速な対応ができれば、ステークホルダーの共感や賛同を得られる可能性が高まります。企業が長期的に成長していくには、このように時代とともに変化していくステークホルダーの関心を察知し、適合していくことが大切になります。

また企業統治への取り組みを強化して情報公開の透明性を上げることで、投資家に安心をもたらし、結果として企業価値の向上にも寄与するでしょう。

ESGへの取り組みで企業が得られるメリット

企業がESGに取り組むメリットとして最も大きなものは、投資家から投資を得られる可能性が高まるということです。PRIの制定を皮切りに、世界規模でESGに注目した投資が増えており、今後もその傾向は続くと考えられます。

他にも、ESGに取り組むことで「投資家が注視するリスクに対応することによるリスク管理の強化」「企業姿勢に共感した新たな顧客や取引先の獲得」「社会的課題の解決に向けた新規事業を創出し、将来的に利益を得る」といったメリットが挙げられます。

国内企業におけるESGの取り組み事例

では、実際に国内企業がどのようにESGに取り組んでいるか、通信・化学・電気機器メーカーの3社の事例から見ていきましょう。

企業におけるESG取り組み事例①:株式会社NTTドコモ

自社ブランドで通信サービスを提供する移動体通信事業者の最大手であり、今や生活に密着するスマートフォンを始めとした端末、通信を取り扱う企業として、ステークホルダーからの信頼は欠かせません。

 

【環境】製品・開発品・建物に独自の環境ガイドラインを制定、CSR調達など

【社会】災害対策3原則(システムとしての信頼性向上、重要通信の確保、通信サービスの早期復旧)、子どもの安全を守るための「あんしん」サービスなど

【企業統治】NTTドコモグループ倫理方針(10かヶ条)、コンプライアンス相談窓口の設置など

 

NTTドコモは通信事業者として、特に「情報セキュリティ対策」と「ネットワークの安定性・信頼性の確保」を重視しており、情報セキュリティ⼈材の育成、年1回以上の教育研修や訓練、災害対策の強化、あるいは⼤ゾーン基地局のLTE対応などの取り組みを行っています。

またサプライヤーと連携し、武装勢力の資金源となる「紛争鉱物」の使用を避け、安全で環境負荷の少ない原材料、部品、製品を積極的に調達するなど、CSR調達にも取り組んでいます。

企業におけるESG取り組み事例②:住友化学株式会社

住友グループのうち、総合化学メーカーとして石油化学、情報化学、健康・農業関連事業などを展開するのが住友化学です。

 

【環境】廃棄物の発生量削減、リサイクルなどの推進、温室効果ガス排出量をGHGプロトコルに準拠して算定など

【社会】医薬品事業(住友製薬)における広告やマーケティングの責任、医療アクセス向上、医療機関や患者団体との適切な関係性など

【企業統治】独自の組織図や税の透明性(租税回避のためのタックスヘイブンは使わない)など

 

エネルギー多消費型である化学メーカーとして、環境面でGHGの排出量削減への取り組みは注目されます。将来的に検討されているカーボンプライス(CO2の排出量に応じて価格付けを行う)導入時の負担を試算し、中長期的なリスクの可視化とリスクへの対応を詳細に設定しています。

企業におけるESG取り組み事例③:キヤノン株式会社

カメラをはじめとする映像機器、プリンタなどの事務機器、デジタルマルチメディア機器などを製造する大手電気機器メーカーです。「共生」を企業理念に掲げ、「新たな価値創造、社会課題の解決」、「地球環境の保護・保全」、「人と社会への配慮」の3つのマテリアリティを主軸とした取り組みを推進しています。

 

【環境】CO2排出削減、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、生態系保全活動など

【社会】安心・安全に貢献するネットワークカメラや映像解析ソフトウエアの製品化、画像診断、ヘルスケアIT、体外診断などのメディカル事業の拡大など

【企業統治】経営戦略会議・リスクマネジメント委員会・開示情報委員会の設置、取締役・監査役に対する研修の実施など

 

高度な技術力を基盤にした自社製品やサービスで新たな価値創造を目指しているのが特徴で、高度医療を支える医療診断機器、安全で効率的な社会インフラを支えるネットワークカメラ、先進技術で暮らしとITを支える産業機器などの事業に注力しています。

国内企業の事例に学び、企業経営にESGを活かす取り組みを

ESGを企業経営に取り入れることは、顕在化した社会問題に対するリスク管理を強化できるほか、新規の顧客や取引先の獲得、新規事業の創出、そして企業価値の向上などのメリットがあります。

国内企業の事例を見てもESGへの取り組みは各社様々ですが、どの企業も本業に関連した内容に注力してるのが特徴です。
ESG経営を行う場合は、自社の特色を活かし、本業にプラス効果が出るような取り組みを検討しましょう。

 

【参考インタビュー】
“最後は感性を大切にする”──青山フラワーマーケットの姉妹ブランド 「parkERs」が進めるオフィス空間デザインとは

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