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従業員満足度が企業に与える影響とは?調査方法、企業事例を解説

2021.05.24

労働力人口の減少の影響もあり、企業は人材維持のため、従業員の活躍を促進し、自社で働くことの満足度を高める環境づくりが求められています。環境づくりに取り組むには、まず自社の「従業員満足度」を把握し、対策を講じなければなりません。

今回は、従業員満足度の概要から、従業員満足度の向上によって得られる効果や企業事例、従業員満足度調査を行う方法を具体的に解説します。

従業員満足度とは

従業員満足度(Employee Satisfaction、ES)とは、福利厚生やマネジメント体制、職場環境、働きがい、処遇など会社にまつわる従業員の満足度を測る指標を指します。

厚生労働省の調査によると、「従業員と顧客の満足度の両方を重視する企業」は「顧客満足度のみを重視する企業」と比べて、業績が向上し、人材確保もできている、という傾向があり、従業員満足度を向上させる取り組みに注目が集まっています。

参考:厚生労働省|今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書

なぜ従業員満足度を向上させる必要があるのか?

従業員満足度の向上が必要な理由について解説します。

生産性が向上する

従業員満足度の向上による効果として、まずは生産性の向上が挙げられます。

従業員は会社や組織、働く場所の充実感があると、意欲を持って前向きに仕事に取り組むことが可能になります。例えば「自主的に効率化の提案をする」「他の従業員にも刺激を与える」といったポジティブな効果を社内にもたらします。結果、従業員満足度が高く、主体的に働く従業員が多い企業は、受け身の従業員が多い企業よりも生産性が向上すると考えられています。

人材が定着する

満足度が高い従業員は、「自分が企業に必要とされる人材である」と感じ、自社の愛着や帰属意識が高い状態にあります。反対に満足度が低い従業員が多い職場では、従業員が会社や組織に対して不平・不満を抱えているケースが多いため、異動や退職を考えやすく、人材が流出しやすい状態にあります。そのため、人材定着の施策として従業員満足度を向上させる取り組みが有効です。

顧客満足度の向上につながる

従業員の満足度が高い状態にあると、生産性向上や定着率などの社内にポジティブな効果をもたらすだけではありません。企業と目標や理念が一致し、当事者意識を持って働く従業員は、自社の商品やサービスに誇りを持ち、取引先や顧客に対しての分析や改善提案を積極的に行うようになります。社外のステークホルダーにもプラスの影響を与えやすくなるのです。

満足度が高い社員が多い企業ほど、自社のより良い商品やサービスを生み出すモチベーションが高まり、売上アップにも繋がりやすいと言えるでしょう。

この他にも、「部署内外のコミュニケーションが活発になる」「事業に対する改善や提案、意見などが活発になる」なども期待できます。また、従業員満足度が高い企業では、従業員が積極的に「自社の魅力」について発信することが増えており、企業イメージの向上や新卒・中途の採用率アップなどの効果も期待できるでしょう。

従業員満足度を測定するための指標

では、従業員の満足度を測るためには、どのような項目軸で考えていけばいいのでしょうか。ここでは参考となる指標を紹介します。

仕事満足度
「仕事内容満足度」「人材育成満足度」「仕事継続満足度」からなる指標

仕事内容満足度…自分の役職や等級から見て妥当な仕事内容
人材育成満足度…仕事を通じて身に着けられる新しい知識や能力、3年ごとの成長感
仕事継続満足度…勤続の意向や企業に対する愛着、仕事上の将来イメージがあるか

職場満足度…職場でのノウハウ共有や称え合う雰囲気、職場の人間関係

上司満足度…上司との関係、上司への尊敬、信頼、熱心な指導と援助があるか

会社風土満足度
「会社風土満足度」「会社インフラ満足度」「会社風紀満足度」からなる指標

会社風土満足度…チャレンジする雰囲気、市場変化への迅速な対応、従業員を大切にしているか
会社インフラ満足度…情報インフラの充実、必要な設備の整備、リスク管理の徹底
会社風紀満足度…ハラスメント行為の有無、規律やマナーの順守

処遇満足度
「人事評価満足度」「給与等満足度」「個人目標満足度」「労働時間満足度」からなる指標

人事評価満足度…人事評価の公平性、人事評価基準の明確性と統一性
給与等満足度…業務内容や質に照らした年収の妥当性、成果や努力に対する処遇への反映の度合い
個人目標満足度…目標設定のための十分な話し合い、目標の進捗情報を話し合う機会
労働時間満足度…休日、休暇の取りやすさ、労働時間の適切さ

福利厚生満足度…勤務形態の自由度、退職金や年金の制度、慶弔についての配慮があるか

経営満足度…企業のビジョンや経営方針の共感、企業の方向性

総合満足度…企業、職場、仕事に対する総合的な満足

参考:日本労働研究雑誌|ES調査とそれに基づく組織改革

従業員満足度調査の方法

従業員満足度調査は、アンケートによる調査と対面による調査の大きく2種類があり、併用することで精度の高い計測が可能です。

アンケートによる定量調査

全体や部署別の従業員満足の調査を行う際は、アンケート調査が一般的です。アンケート結果を比較・分析することで、部門や年齢、職種ごとに傾向を割り出すことも可能です。客観的な評価を算出したいときに有効です。

インタビューによる調査

対面インタビューの場を設け、従業員に直接ヒアリングすることで、より深堀りした従業員の実感が引き出せます。従業員全員に対して行うのは工数やコストがかかるため、アンケート調査を踏まえて、管理職や部署を代表するメンバー、気になる回答者など対象者を絞って行い、全体の結果と合わせて参照するとよいでしょう。

実施フロー

1. 目的の明確化…なぜ従業員満足度調査を行うのか、調査結果を経営戦略にどう位置付けるか明確化する

2. 洗い出し…調査の目的を達成するために、「調査項目の体系」などを参考にしながら、自社が知りたい項目を洗い出す

3. 調査票の作成…「調査項目の体系」などを参考にしながら、実態を適切に把握できるような設問を自社の状況なども勘案しながら作成する。また、役職や社歴によるギャップを定量的に把握できるような設計にすることも検討する

4. 従業員への配布…回答期間は従業員の業務状況などにも配慮し、余裕を持って2週間程度を見積もっておく。回答の集まり具合などもみながら、必要に応じて再通知なども実施する

5. 回答・回収…回答者からの質問や疑問点などにも適切に対応できるよう、予め対応者を社内で決めておいたり、想定される質問を用意しておくことも検討する

6. 集計・分析・課題抽出…全体の傾向、組織別、役職別などの傾向分析を行う

7. 対策検討・実行…全体的に満足度が低い項目や、特に課題が多い属性が判明した場合、重点的に満足度が向上のための対策を行う

従業員満足度が高いと評価された企業の事例

ここからは、従業員満足度が高いと社内外で評価されている企業の取り組みについて解説します。

株式会社セールスフォース・ドットコム

営業支援、顧客管理ツール「Salesforce」を提供するセールスフォース・ドットコムは、Great Place to Work Instituteの「働きがいのある会社ランキング」調査において、2021年度の2位に、Vorkersが発表した「働きがいのある会社ランキング2019」で2位に選出されており、従業員満足度の高さに定評があります。

セールスフォース・ドットコムでは創業者のマーク・ベニオフ氏が提唱したVision (ビジョン)、Values (価値)、Methods (メソッド)、Obstacles (障害)、Measures (基準)を、全従業員が自ら設定し、達成するという経営メソッドを取り入れています。組織の目標を従業員一人ひとりが理解し、自分が企業の目標達成に関わっているという実感を得られる体制の構築が、働きやすさの実感や満足度に大きく影響していると考えられます。

参考:セールスフォース・ドットコム|「働き方改革」のその先へ 「働きがい」のある会社の創り方
参考:GPTWジャパン|2021年版日本における「働きがいのある会社」

株式会社ディー・エヌ・エー

ディー・エヌ・エー(DeNA)では2017年から直属の上司の承認なしに人事異動ができる「シェイクハンズ制度」が導入され、従業員が熱意をもって人事異動を希望することが可能になりました。導入後は、従業員の自主性や能力のある人材を獲得しようと部署内外の発信が盛んになったり、マネジメント体制の見直しが行われたりとポジティブな効果が表れました。

シェイクハンズ制度の運用によって「新しい現場で活躍したい」というチャレンジを希望する従業員の離職防止の効果も期待できます。

参考:握手が成立すれば、自分の希望する部署に異動。DeNA シェイクハンズ制度が創るネクストキャリア

サイボウズ株式会社

業務改善プラットフォーム「kintone」を開発、販売するサイボウズは、2021年版日本における「働きがいのある会社ランキング」中規模部門2位にランクインしています。

早期から「働き方改革」を自社内で促進し、柔軟な働き方を取り入れることで従業員満足度と定着率アップを実現しました。

具体的には、代表取締役の青野慶久氏が率先して育児休暇を取る、従業員の要望を汲み取って当時としては早い2010年からテレワークを開始、副業の容認などの取り組みを順次実施しています。柔軟な働き方を積極的に取り入れることで2005年には約28%だった離職率を、2012年以降で3-5%にまで低下させることができました。2018年からは「100人100通りの働き方を選択できるように」を目標に、テレワークに関しては「午前中はいつも在宅勤務をする」「水曜日は毎週在宅勤務をする」といった本人の希望を尊重する「働き方宣言制度」を実施しています。そのような取り組みで2012年から社員数が倍以上になった2020年時点でも離職率3-5%をキープしています。

参考:サイボウズ|サイボウズの「テレワーク」に関する情報を公開します
参考:サイボウズ|ワークスタイル
参考:GPTWジャパン|2021年版日本における「働きがいのある会社」

まとめ

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響拡大によって、「働き方・働く環境を見直す」労働者が増えている現在、「従業員満足度」は労働力を確保したい企業にとってますます重要な指標となっていくでしょう。

従業員満足度調査の目的や中長期的な制度改善も見据えた上で調査を行い、まずは自社のウィークポイントを把握しましょう。その上で、従業員満足度調査の結果を最大限活用し、離職防止や生産性向上に向けて具体的な施策の設計、実施に繋げてみてください。

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