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【電子申請義務化】対象となる企業・手続き、その対応方法を紹介

2020.02.05

政府が掲げる行政手続コスト(行政手続きに要する企業の作業時間)削減への取り組みの一環として、2020年4月から、資本金1億円超の企業については、社会保険や労働保険の手続きを電子申請で行うことが義務化されます。

電子申請については、義務化の対象となる企業はもちろんですが、それ以外の企業についても、業務の効率化の視点で積極的に検討していきたいものです。

本記事では、人事労務担当者向けに電子申請義務化の対象となる企業や手続き、その対応方法について紹介します。

電子申請義務化の対象となる企業・手続き

電子申請義務化の対象となる企業・手続き、その対応方法を紹介します。
初めに、電子申請義務化の対象となる企業や手続きについて、確認しておきましょう。

まずは、対象となる企業についてですが、以下のいずれかに該当する特定の法人(以下、「特定法人」といいます)の事業所とされています。

 

○資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
○相互会社(保険業法)
○投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
○特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

 

これらの特定法人は、2020年4月以降に開始する事業年度から、社会保険や労働保険の手続きを電子申請で行う必要があります。

資本金1億円超の法人については、メディアなどで分かりやすく「大企業」と表現されることも多いのですが、働き方改革関連法の施行時期にかかわる大企業・中小企業の区分(資本金と従業員数の両方で判断)などとは異なるため注意が必要です。
従業員数にかかわらず資本金が1億円を超えるのであれば、電子申請義務化の対象となるので注意しましょう。

 

次に、対象となる手続きについては、以下のとおりとされています。

健康保険・厚生年金保険
○被保険者報酬月額算定基礎届
○被保険者報酬月額変更届
○被保険者賞与支払届

労働保険
継続事業(一括有期事業を含む)を行う事業主が提出する以下の申告書
○年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書)
○増加概算保険料申告書

雇用保険
○被保険者資格取得届
○被保険者資格喪失届
○被保険者転勤届
○高年齢者雇用継続給付支給申請
○育児休業給付支給申請

 

電子申請義務化の対象となる手続きは、現時点では一部の手続きに限られます。

例えば、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格取得届」や「被扶養者(異動)届」などは、上記に含まれていません。ただ、これらを含め、ほとんどの手続きを電子申請で行うことが可能ですので、義務化にかかわらず利用していくと良いでしょう。

次からは、電子申請義務化への具体的な対応方法について、3つの選択肢を紹介します。

【電子申請義務化への対応方法①】e-Govを利用する

1つ目の選択肢は、e-Govを利用して電子申請を行う方法です。

e-Govとは、政府が提供している「電子政府の総合窓口」のことで、e-GovのWebサイトから社会保険や労働保険の手続きの電子申請を行うことができます。

e-Govを利用して電子申請を行うにあたっては、まずは、e-GovのWebサイトの利用準備のページ(https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup/)を参照し、事前準備を進めていきましょう。このページでは、使用しているパソコンの動作環境や必要な設定などを確認することができます。

 

また、電子申請を行うには、電子証明書の用意も必要となります。電子証明書とは、紙の手続きにおける法人代表印の役割を果たすもので、申請データに電子署名を付与するために使用します。電子証明書は、「認証局」と呼ばれる電子証明書発行機関に依頼して発行してもらいます(認証局一覧https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/manu_certificate.html)。なお、発行には手数料等がかかります。

 

実際の申請にあたっては、e-GovのWebサイトの利用者マニュアルのページ(https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/manual/index.html)を参照し、手続きを進めていきましょう。

e-Govを利用して電子申請を行う方法は、コストが抑えられるのが1つのメリットです。電子証明書の発行手数料のみで、e-Gov自体は無料で利用できるためです。

 

ただ、e-Govはインターフェース(操作画面)が複雑で、操作に慣れるのに時間がかかってしまうことが指摘されています。また、申請データを作成するためには、入力画面に手作業で入力する必要があるため、自社の人事マスタへの入力に加え、申請のための入力と、二重作業になってしまうのも難点といえます。

これらのデメリットが気になる場合は、2つ目、3つ目の選択肢を検討していくと良いでしょう。

【電子申請義務化への対応方法②】e-GovとAPI連携できるソフトウェアの導入

2つ目の選択肢は、e-GovとAPI連携できるソフトウェアを導入する方法です。代表的なソフトウェアとしては、オフィスステーションやSmartHRなどが挙げられます。

これらのソフトウェアは、分かりやすいインターフェースで、人事マスタの機能も持っています。この人事マスタから必要な情報を自動でピックアップして申請データを作成し、e-Govに申請を行います。①のe-Govを利用する場合と同様に、電子証明書の用意は必要です。

e-GovとAPI連携できるソフトウェアを導入する方法は、ソフトウェアの利用料はかかりますが、操作が分かりやすく、業務を効率化できるのがメリットであるといえます。

【電子申請義務化への対応方法③】社会保険労務士へのアウトソーシング

3つ目の選択肢は、電子申請に対応している社会保険労務士(社労士)に、社会保険や労働保険の手続きをアウトソーシング(外注)する方法です。

この方法は、社労士への委託料はかかりますが、社労士の電子証明書を使用して電子申請を行うため、電子証明書の用意も不要となります。

現在は、多くの社労士事務所が電子申請に対応しているため、顧問の社労士が電子申請に対応しているか確認したり、対応できる社労士を探して委託先として検討すると良いでしょう。

GビズIDやe-Govのリニューアルにも注目

その他、2020年4月からは、無料で取得可能なID・パスワードで電子証明書がなくても電子申請が可能になる「GビズID」のサービスが登場します。詳細はまだ分からない部分も多く、当初、対象となる手続きも電子申請が義務化される手続きをすべてカバーしているわけではないのですが、今後の動向が注目されるところです。

また、2020年9月末には、e-Govのリニューアルが予定されています。より分かりやすくインターフェースを刷新し、対象OSにMacを追加(現在はWindowsのみ)、GビズIDでのログインも可能になるとされています。

電子申請義務化への対応は待ったなしですが、作業時間削減という本来の目的を踏まえ、自社とって最適な方法を検討してみてはいかがでしょうか。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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