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中小企業におけるDXの成功事例5選【従業員規模別に解説】

2020.09.23

コロナ後のニューノーマルに向けて、デジタル化の必要性が急激に高まっており、中小企業においてもデジタル技術で新たな価値を生むDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が不可欠と言われています。

今回は、DXを検討している中小企業向けに、「10~100人規模」「100~300人規模」「1,000人未満」の企業規模別にDX実現の事例とその成果を解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

中小企業におけるDXの成功事例を紹介しています。
DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン(Eric Stolterman)教授が提唱した「全ての人々の暮らしをデジタル技術で変革していく」ことを意味する概念です。

 

経済産業省が指摘した「2025年の崖」問題や、中小企業がDX推進で得られるメリット、さらに実現までの手順など、DXについて詳しくはこちらの記事をご参照ください。

DX実現の企業事例【10~100人規模】

ここから、実際にDXを実現した中小企業によるDXの事例を、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2020年7月に発表した「中小規模製造業の製造分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のための事例調査報告書」をもとに紹介します。

 

まずは、従業員数10~100人規模の企業事例です。

計器をIoT化して市場開拓:株式会社木幡計器製作所

木幡計器製作所は、大阪市にある圧力計などの計測・制御機器を製造するメーカーで、1909年創業の老舗企業です。

船舶向けの計器製造を強みとし、従業員数は約20人です。

 

●DXの動機
木幡計器製作所では、受注が将来的に下降していく傾向が見えたことがDXに取り組むきっかけとなりました。

既存事業の延長線上で新たに取り組めることはないかを模索するうち、同社の事業範囲は計器の納入までですが、納入先であるプラントやビルのメンテナンス企業で、数年前から保全業務を省力化する動きがあることに気付きます。

特にビルメンテナンス業界は人材不足の状況にあり、計器をチェックする作業員が十分に確保されていないという現状を知りました。

 

●実践
従来の機械式圧力計に無線デバイスを搭載し、計測結果をクラウドサーバーに送信するシステムを、同社も加入する積乱雲プロジェクト※で共同開発して、計器の遠隔監視を実現しました。

※日本の中小企業が持つ高い技術力をIoT時代の新しいビジネスモデルにつなげていくためのシームレスな技術開発、販売施策を発展させていくことを目的とした複数企業参加型の共同プロジェクト

 

さらに「後付け IoT センサ・無線通信ユニット」を開発し、多数の工場や大規模商業ビルの機械室などに取り付けられているアナログ式計器を新たな計器に取り換えることなく、遠隔監視できるようにしました。

また、呼吸疾患リハビリ用の呼吸筋力測定機器を製品化し、医療機器事業にも参入しています。

 

●結果
熟練技術者でなくても点検業務が効率的に行えるようになり、業界内での提供サービスの差別化を実現しました。

また呼吸筋力測定機器の開発により、医療機器事業という新たな市場にも進出を果たしています。

デジタル技術で「つながる工場」実現:株式会社ウチダ製作所

ウチダ製作所は愛知県知多市にある1980年創業の金型メーカーで、大手自動車メーカー向けにプレス加工部品の製造販売を行っています。

従業員数は約20人です。

 

●DXの動機
金型メーカーは2002年から2016年にかけて、全国で 35%が廃業(同社調べ)し、リーマンショック以降は従業員9名以下のメーカーが全体の76%を占めるなど、業界全体での零細化が進んでいました。

そのような状況下で需要を調査したところ、汎用プレス金型は供給が足りているものの、300トンクラスの高難易度プレス金型は供給が不足し、単価が上がっていることに気付きます。

しかし、高難易度プレス金型を設計から製造、仕上げまで行えるのは高価な設計製造設備を揃えられる大手・中堅金型メーカーに限られているという現状がありました。

 

●実践
このような課題に対応するため、地域のプレス加工金型メーカーやIoTデバイスメーカーと連携して企業連合をつくり、「金型共同受注サービス」を開発しました。

提携する金型メーカーの製造設備にIoTデバイスを取り付け、設備の稼働状況をクラウド上で把握することで、各メーカーの仕事量を予測。ユーザーからの注文を取り付けた際は、設備能力と仕事量に応じて最適なメーカーを選択できるようにしました。

こうしてIoTやAIなどのデジタル技術を活用した「つながる工場」を実現し、地場のメーカーだけでなく埼玉や鹿児島などの地理的に離れたメーカーからも提携協力を取り付けています。

 

●結果
大手・中堅金型メーカーの市場であった高難易度プレス金型の製作事業への参入が可能になりました。

提携する金型メーカーは、受注の機会が増え、売上も増加。提携するメーカーが増えて、つながる工場全体が保有する設備の台数や種類が増えるほど、設備の空きを獲得するチャンスも増えます。

発注側にとっても、ワンストップで多種の金型を注文でき、納期の短縮も期待できるようになりました。

DX実現の企業事例【100~300人規模】

続いて、従業員数100~300人規模の企業によるDX実現の事例を紹介します。

微細加工機のユーザー支援システムを開発:碌々産業株式会社

碌々産業は、東京都港区にある汎用マシニングセンタを製造するメーカーです。

1903年に機械工具類の輸入販売業として創業し、1996 年には5ミクロン以下の加工が可能な「微細加工機」を他社に先駆けて開発し、事業転換を行いました。

従業員数は約160人です。

 

●DXの動機
同社製品の納入先の70%は台湾の電子機器製造企業ですが、オペレーターの多くが技術を習得すると転職してしまうため、機械を利用するための技術が引き継がれず、機械のパフォーマンスレベルが下がるという課題がありました。

また、日本の納品先の多くは生産設備の減価償却期間(10年)に合わせて設備の入れ替えをしますが、販売後に10年もの期間が空くとビジネス環境が大きく変わり、顧客との関係が途絶えてしまうという懸念もありました。

 

●実践
納入先の支援を新たなビジネスモデルと捉え、ユーザーと一体となって微細加工機を遠隔監視し、予防保全や早期にトラブル解決をするAI Machine Dr.を開発しました。

あらゆる部位にセンサを設置し、温度や電力、流量、圧力、負荷、時間、指令等の36項目のデータを最小10ミリ秒間隔で取得・可視化し、製品に付属するメモリに記録するとともに専用のクラウドにアップロードします。

それを同社の専門技術者が遠隔で確認し、動作が不良となった場合の原因究明や製品の使い方の指導などを行っています。

 

●結果
AI Machine Dr.を活用することで、ユーザーの情報に基づいた保守・点検に加え、使い方の指導といったコンサルティングサービスも提供できるようになりました。

また、ユーザーの使用方法や使用環境をもとに、より使いやすい製品の設計・開発に活かすことも可能となりました。

製造業向けIoTクラウドサービスを開発:久野金属工業株式会社

久野金属工業は、1947年創業の愛知県常滑市にある金属加工メーカーです。

従業員数は約300人で、自動車をはじめとする複雑・高精度プレス加工の製品開発から量産までを一貫対応しています。

 

●DXの動機
従来からCAD/CAMで設計を行うなどITの文化はありましたが、自動化できるところは徹底的に自動化するという方針を打ち出し、ITを使わないと困る状況を意図的に作り出すなどして、工場の自動化、IT化を強く推進しました。

 

●実践
攻めのIT化として、これまで手作業ベースで収集していた生産設備や製造マシンの稼働状況を自動取得し、PC端末やスマートフォンからモニタリングできる「IoT GO」を開発しました。

プレス機の稼働状況が工場内の大型のモニターで一目で確認でき、情報共有できるようになったことで、プレス機の稼働率を向上させています。

「IoT GO」は自社使用だけでなく、製造業向けIoTクラウドサービスとして外部にも提供しています。

 

●結果
データをクラウド上に配置し、社外からも自由にアクセスできるようにしたことで、外部からも営業や運用監視に使えるようになりました。

また、若手の金型設計担当者6名をソフト担当に任命し、基盤システムの構築に成功したことで、データをクラウド上で管理できるようになり、テレワークが可能となりました。

働き方改革の推進を行うとともに、子どもが保育園や学校に通っている時間帯だけ仕事をする時短勤務者やパートの採用も可能になっています。

DX実現の企業事例【300~1,000人規模】

最後に、従業員数300~1000人の中規模企業によるDX実現の事例を紹介します。

製造ラインの稼働可視化で利益を2.4倍に:日進工業株式会社

日進工業は、1945年創業の愛知県碧南市にある自動車向けの小型・高精度樹脂部品メーカーです。

従業員数は約350人で、特にエンジニアリングプラスチック部品の成形を強みとしています。

 

●DXの動機
海外ベンダーと交流を進めて行くなかで、日本のものづくりに危機感を覚え、スマートファクトリー化の必要性を強く感じるようになったのがDX推進の動機です。

 

●実践
MCM Systemを開発し、作業者が担当するラインの実際の稼働率や短時間の停止の状況などをモニターで見える化し、リアルタイムで未稼働や停止を把握し、速やかに改善できるようにしました。

 

●結果
生産性が低いラインが洗い出され、原因を分析して対策することにより、稼働率を50%から90%まで引き上げることに成功しています。

稼働状況の見える化は適正な受注判断にもつながり、2005年から2017年の間で、成形機台数は135台から148台の10%増ながら、売上げは35億円から83億円の237%増を記録しました。

DX推進により新たな企業価値を作り出す

今回紹介した事例からは、レガシーシステムを内包し、IT人材が少ない中小企業であっても、DXを推進することで無駄の削減や新たな企業価値の創出が可能であることが分かりました。

また、デジタル化への問題意識を持ったトップが現状を把握し、改革にコミットするという共通点も見られます。

紹介した各事例の DXの動機と実践の内容を参考に、自社のDX推進へ活用してみてはいかがでしょうか。

 

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