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災害時に会社と従業員を守る企業防災対策と初動対応フローを解説

2020.09.27

東日本大震災のような大規模な地震、あるいは近年多発する台風や豪雨など、自然災害の多い日本では企業による防災対策は必須です。

被害によるリスクを理解していても、災害時のマニュアル策定や避難訓練の実施まで手が回っていないという企業も多いのではないでしょうか。

 

今回は、防災対策を検討している中小企業の経営者や管理部門の担当者に向けて、災害への備えや災害発生時の対応、さらに備蓄しておく必要がある防災グッズなどを解説します。

会社が取り組むべき「企業防災」とは?

災害時に会社と従業員を守る企業防災について解説しています。
内閣府は、事前の備えによって災害被害を減らす「企業防災」を行うことを推奨しています。

企業防災とは

企業防災には、災害被害を最小化する「防災」観点からアプローチと、災害時の企業活動の維持、または早期回復を目指す「事業継続」観点からのアプローチがあります。

 

(参考:内閣府|企業防災とは何ですか?

日本の中小企業に企業防災が必要な理由

中小企業にとって、災害は事業継続を困難にする可能性のあるリスクです。

実際に、2011年の東日本大震災ではその後1年間に震災が理由で倒産した企業は650件、2016年の熊本地震では12件に上っています。

 

過去の震災時にそうであったように、サプライチェーンを担う中小企業の事業継続が困難になると、日本全体の製造・物流に大きな影響が出ます。

そこで近年は、災害時の対策を盛り込んだ事業継続計画(BCP)の策定の重要性が高まっています。

 

(参考:帝国データバンク|熊本地震後の景況感の変化と倒産動向調査

災害発生前に必要な対策や設備

災害発生時に、適切な行動をとるためには事前の対策が欠かせません。

ここでは、内閣府の防災情報のページで推奨される、企業が準備しておくべき防災対策を解説します。

PCの転倒防止

すぐに始められる防災対策がデスクトップPCの転倒防止です。

粘着マットや転倒防止のベルトを購入し、PC本体をデスクに固定しておきましょう。

PCのデータバックアップ

災害時のPCの破損や故障に備え、定期的にバックアップを取るよう、従業員に指示を出しておきます。

災害時を見据え、PCが破損しても支障がないよう、通常業務で扱うデータはクラウド上に保存できるよう切り替えるのも有効です。

避難経路を確保

出入口や廊下、階段に非難時の障害となる物を置かないよう日頃から整理しておきます。

避難の際に非常階段を使う必要があるオフィスや店舗では、階段の老朽化対策に加え、滑り止めテープを使った安全対策を行うなども有効になります。

オフィス家具の固定

大きな揺れでなくとも、地震の際にオフィス家具が転倒し、従業員が怪我をしたり備品が破損するなどの被害が生じる場合があります。

大型家具は壁側に固定し、コピー機は転倒しないよう、滑り止めの措置を行っておきましょう。

地震発生時には、ビルの高層階になるほど揺れが大きくなり、家具の転倒や落下が発生しやすいため、特に高層階のオフィスは重点的な対策が必要になります。

危険物の安全確認

火災を引き起こす恐れがある灯油、塗料などの危険物が社内にある場合は、容器が転倒することがないよう定期的な点検を行います。

消火器の準備と訓練

火災発生時に、備え付けの消火器で初期消火にあたれるよう、使い方の実習など、事前の訓練を実施しておきます。

帰宅困難者対策

自宅までの距離が20kmを超える従業員が何人いるかを事前に把握をし、帰宅困難者を社内にとどめる際の設備、宿泊場所についても検討しておきましょう。

帰宅できる状態になっても、交通機関が使えず徒歩での帰宅になることも想定されます。

災害時用のスニーカーを会社側が準備しておく、または従業員にロッカーに常備させるといった対策が帰宅指示の際には役に立ちます。

災害時の役割分担

災害に備え、以下の役割分担を事前に決定し、「誰が何をするのか」を明確化しておきます。

 

・リーダー
災害時に現場を仕切り、指揮を担当する人です。普段から、災害対策についての情報や知識を蓄えておきます。

・総務担当者
災害対策本部の立ち上げ、運営、各担当の支援や調整を行います。

・初期消火の担当者
火災発生時に消火器や毛布を使って延焼を食い止めます。

・情報連絡担当者
災害発生時の情報収集、緊急連絡などを行います。

・避難・誘導担当者
避難ルートや安全な待機場所の確保、避難時の誘導を行います。

・救出・救護担当者
負傷者の救助や応急処置、搬送を行います。

・社員救援担当者
従業員の安否確認、備蓄食料や水の配布、支援物資の取り扱い、被災した従業員の生活支援などを行います。

 

(参考:東京商工会議所 文京支部|中小企業のための災害対応の手引き

情報収集・伝達方法の確認

情報の混乱を避けるため、災害発生時は情報連絡担当者がラジオやネット等で正確な情報を取りまとめ、従業員に伝達します。

電話やインターネットが使えない場合に備え、トランシーバーや拡張器を使用した伝達方法も事前に検討しておくと良いでしょう。

安否確認方法の確認

外出先の社員との連絡方法や従業員が家族と連絡を取る方法について、事前に確認をしておきます。

災害時に使用できる通信各社の「災害用伝言ダイヤル」についても、防災訓練時に使い方の共有をしておくと災害時の安否確認がスムーズに進みます。

自宅待機の条件

出勤前の段階で台風や地震などの自然災害が発生した場合は、出社する条件を事前に決めておくことで、従業員の被災を防止できます。

「朝8時に交通機関が止まっている場合は自宅待機」「震度5以上の場合は自宅待機」など明確な条件を共有しておくことで、電話やインターネットがつながらない場合でも、従業員が自宅待機か出社かを判断できます。

防災教育と訓練の実施

防災マニュアルに基づく防災教育と定期的な訓練を実施し、災害時に必要な初期消火や救護活動、備品の配置場所の把握など適切な行動を取れるよう準備をしておきます。

災害発生時に必要な指示と初動対応

災害発生時に企業が従業員に出すべき指示と、役割分担に基づいた初動対応を「台風・水害の発生時」「地震発生時」「火災発生時」と想定される状況に分けて解説します。

 

(参考:東京商工会議所 文京支部|中小企業のための災害対応の手引き)

①台風・水害の発生時

台風や豪雨の被害は、前日までの天気予報である程度想定できるため、会社が定めた指示に従って従業員が出社判断を行います。

従業員の安全に配慮し、事前に出社の条件を決めておく、または前日に出社か自宅待機かを従業員に指示を出しておくことが望ましいでしょう。

②地震発生時

従業員の出勤前に地震が発生した場合は、事前に用意しておいた「自宅待機の条件」に基づいて従業員が出社の可否を判断する、もしくは企業から緊急メールを送って自体待機を指示します。

勤務時間に地震災害が発生した際は、以下の手順に従って初動対応を行います。

 

①地震発生時
大きな揺れが収まるまで、デスクの下に避難し屋外に出ないよう従業員に呼びかけます。避難・誘導担当者は、出口の確保を行います。

 

②揺れが収まった後
リーダーが従業員の安否確認を開始する指示を出し、怪我人がいる場合は救護・救出担当者が救護を行います。

そして、情報連絡担当者の情報をもとに、リーダーが避難するか社内に留まるかを判断します。

 

②-1社内で待機する場合
社内の安全が確認できた場合は、情報連絡担当者が地震の情報や交通機関の状況を、リーダーと共同で従業員に伝達します。

社員救援担当者は、従業員に食料と水を配布し、トイレが使えない場合はポータブルトイレ設置の準備も行います。

東京都は帰宅困難者対策条例で、従業員の一斉帰宅の抑制を企業に要請しており、首都圏の企業の場合、3日分の水や食料、毛布の備蓄が求められています。

 

安全確認が取れた後は、帰宅可能者、帰宅困難者に向けた対応を行います。

 

②-2すぐ避難が必要な場合
津波や建物の倒壊の危険があり、リーダーがすぐに避難が必要と判断した場合は、避難・誘導担当者が中心となって、従業員全員に避難指示を出します。

避難・誘導担当者は安全ルートを確保したうえで、非常階段へ従業員を誘導し、最寄りの避難場所まで先導します。

 

③火災発生時
火災発生時には、「通報」「消火」「避難」の手順で初期対応を行います。

避難・誘導担当者は煙による一酸化炭素中毒を防ぐため、従業員に対し、姿勢を低くして口と鼻にハンカチをあてるよう指示を出しながら出口まで誘導します。

会社に備蓄しておきたい防災グッズ15選

災害時には以下の15種類を目安に、防災グッズを備蓄しておきましょう。

水と食料については、全従業員が3日間過ごせる量を常時備蓄しておく必要があります。

 

①防災セット
②保存食(従業員数×3日分)
③水(従業員数×3日分)
④多機能ラジオライト
⑤非常用ライト
⑥充電器・電池
⑦寝具・毛布・マット
⑧救急箱
⑨手袋
⑩ヘルメット
⑪ポータブルトイレ
⑫ホイッスル・拡張器
⑬帰宅支援マップ
⑭衛生用品
⑮生理用品(女性)

企業防災には、事前準備と初動対応の徹底が有効

防災と事業継続の観点から、マニュアル策定や役割分担などの災害への備えと、災害発生時の適切な対応が非常に重要です。

内閣府が熊本地震の被災企業に対して行ったヒアリング調査では、「事前の備えが役に立った」という意見や、災害発生後の従業員とその家族の安否確認や、情報伝達・共有の重要性を訴える意見が寄せられています。

本記事で紹介した対策を参考に、今すぐ着手できる部分から企業防災の具体策を実施していきましょう。

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