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給与計算時の社会保険料の計算方法①(雇用保険編)

2019.10.25

毎月の給与から控除される社会保険料。
雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などがありますが、合計するとなかなかの金額となるため、給与計算担当者は特に気を使う部分ではないでしょうか。
雇用保険料と、健康保険料・厚生年金保険料では、保険料計算の基礎となる金額や、控除・納付の時期が異なるため、混乱しやすい部分でもあります。
そんな給与計算時の社会保険料の計算方法について、2回にわたり解説していきます。第1回の今回は、雇用保険料について取り上げます。
(第2回は、健康保険料・厚生年金保険料についてです)

社会保険料とは

給与計算時の雇用保険の計算方法をご紹介します。
社会保険料の計算方法を紹介する前に、まずは、そもそも社会保険料とは何か、社会保険料にはどのような種類があるのかを押さえておきましょう。
社会保険料は、日本の社会保障制度のひとつである社会保険の給付を受けるために事前に拠出しておく保険料のことで、会社員に関係するものとしては、以下の種類があります(カッコ内は各社会保険の目的です)。

・健康保険料(病気・ケガに備える)
・介護保険料(加齢に伴い介護が必要になったときに備える)
・厚生年金保険料(年をとったときや障害を負ったときなどに年金を支給する)
・雇用保険料(失業するリスクに備える)
・労災保険料(仕事上の病気・ケガに備える)

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は、会社と従業員が折半して負担します。雇用保険料は、失業等給付に係る部分は会社と従業員が折半し、雇用関係助成金などの財源となる雇用保険二事業に係る部分は会社のみが負担します。労災保険料は、労働者の業務上の負傷や疾病に対する使用者の労働基準法上の補償義務をカバーするためのものなので、会社が全額を負担します。

また、一般的に、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を総称して社会保険料、雇用保険料と労災保険料を総称して労働保険料と呼ぶことがあります。

雇用保険料を控除する従業員

それでは、今回の本題である給与計算時の雇用保険料の計算方法について見ていきましょう。
まずは、雇用保険料を控除する従業員ですが、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込があるとして、被保険者の資格を取得した従業員です。毎年4月1日現在で満64歳以上の被保険者は、その年度の保険料が従業員・会社負担ともに免除となりますが、この措置は令和2年3月31日までのもので、令和2年度からは年齢にかかわらず保険料の納付が必要となるのでご注意ください。

雇用保険料には、健康保険料・厚生年金保険料のように、産前産後休業中や育児休業中の保険料の免除の制度はありませんが、休業期間中に賃金の発生がなければ、雇用保険料も発生しないということになります。

雇用保険料の計算方法

次に、雇用保険料の計算方法を解説します。保険料の計算方法は、以下の計算式によります。

総支給額×保険料率(労働者負担分)

総支給額には、基本給、通勤手当等の各種手当、残業代など、名称を問わず労働の対償として支払うすべてのものを含めますが、結婚祝金等の恩恵的なものや、出張旅費等の実費弁済的なものなどは除かれます。
保険料率は、一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業の3つに区分され、年度ごとに定められます。
それぞれの保険料率は、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html)に掲載されていますのでご確認ください。

保険料の端数処理については、会社が給与から従業員負担分を控除する場合、両者間で特約がなければ、従業員負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。これは、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」には、債務の弁済額に50銭未満の端数があるときには切り捨て、50銭以上1円未満のときには1円に切り上げとあるため、給与を支払う段階で端数処理をすると、結果として保険料の端数処理は50銭以下切り捨て、50銭超切り上げになるということです。

雇用保険料の控除・納付時期(労働保険の年度更新)

雇用保険料は、総支給額に保険料率(労働者負担分)をかけて求めますので、給与支払いの都度、控除していくことになります。
一方、雇用保険料の納付は、労災保険料と合わせて、年1回、6月1日から7月10日までの間に行います。この手続きを労働保険の年度更新といい、新年度の概算保険料の申告・納付や、前年度の概算保険料と確定保険料の差額の精算を行います。
概算保険料については、雇用保険料と労災保険料を合わせて40万円以上となる場合、3回に分けて納付することができます。納付書による金融機関窓口での納付の他、口座振替による納付、電子納付も可能です。

社会保険料の種類を押さえ、体系的な実務を

今回は、給与計算時の社会保険料の計算方法について、雇用保険料を中心に取り上げました。(次回は、健康保険料・厚生年金保険料を取り上げます)

また、社会保険料には多くの種類があることも紹介しましたが、公的な社会保険は、いざというときの備えのベースとなるものです。個人としてはもちろん、会社としても、社内制度や任意保険を検討するときに参考となる知識ですので、しっかりと押さえ、体系的な実務を行っていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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