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賞与と給与の違いをチェック!計算方法や3つのポイントを解説

2019.10.28

サラリーマンの楽しみの一つである賞与(ボーナス)。もらう前から何に使うか考えている方も多いかもしれません。

給与計算担当者にとっては、毎月の給与に加え、賞与もある月は忙しくなりがちです。ただ、賞与計算は給与計算とは異なる点も多いため、給与ソフトに任せきりにせず、ポイントを押さえて確認作業を行い、社員からの問い合わせにも答えられるとスマートですよね。

今回は、賞与計算の実務について、3つのポイントに絞って解説します。

賞与(ボーナス)とは?~賞与と給与の違い

賞与と給与の違いをチェック!計算方法や3つのポイントを解説します。
賞与(ボーナス)は、労働基準法その他の法律によって支給が義務付けられているものではありません。そのため、給与に比べてより柔軟に制度設計をすることが可能となっています。

ただ、働き方改革関連法の施行により2020年4月(中小企業2021年4月)には、いわゆる同一労働同一賃金への対応が求められ、賞与についても、パート社員・契約社員に対して正社員と均衡のとれた取り扱いをしていく必要があることには注意すべきです。

 

賞与の算定基準については、従来は、「基本給の〇か月分」という固定的な賞与が一般的でしたが、近年では、固定的部分を減らし、個人業績や企業業績を反映させた業績連動型賞与を採用する企業が多くなっています。

支給時期や回数も、企業が独自に定めることができますが、会社の制度として支給する場合には、就業規則に記載し、規定に沿って運用していくことが求められます(労働者数が10人未満で就業規則を作成していない場合も、労働契約締結時に明示する必要があります)。

賞与計算については、社会保険料と源泉所得税の計算に、毎月の給与計算と異なる点があります。また、賞与支払届の提出も忘れられません。以下、詳しく見ていきましょう。

賞与計算のポイント

個人別の賞与の支給額が決定したら、(1)社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、(2)雇用保険料、(3)源泉所得税をそれぞれ計算していきます。総支給額から(1)~(3)を控除した金額が、差引支給額(従業員の口座への振込額)となります。

(1)社会保険料の計算

まずは、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)を計算します。賞与計算と給与計算では、保険料の計算方法に異なる点があり、その違いは以下のとおりです。(なお、賞与が年4回以上支給される場合は、その賞与は社会保険料の計算上は給与として取り扱われ、標準報酬月額に反映されるため、本記事では年3回以下の賞与について解説します)

 

【賞与計算】
標準賞与額×各保険料率÷2

【給与計算】
標準報酬月額×各保険料率÷2

 

賞与計算では、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額である「標準賞与額」、給与計算では、「標準報酬月額」を用いることがポイントです。

標準報酬月額は、毎年1回、4~6月に支払った報酬の平均により決定された(定時決定)報酬月額の等級ですね(他にも資格取得や随時改定により決定されます)。

給与の場合は、若干の変動があっても毎月、同じ保険料を控除しますが、賞与の場合は、そのときの金額によって保険料が決まることになります。

 

各保険料率と、40歳から64歳までは介護保険料が発生する点、各保険料は労使で折半する点は、賞与・給与ともに同様です。

保険料率は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、都道府県ごとに保険料率が異なり、厚生年金保険料率も併せて協会けんぽのホームページ(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150)に掲載されていますのでご確認ください。

(2)雇用保険料の計算

次に、雇用保険料を計算します。保険料の計算方法は、賞与・給与ともに同様で、以下のとおりです。

 

【賞与計算】【給与計算】
総支給額×保険料率(労働者負担分)

 

保険料率は、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html)に掲載されていますのでご確認ください。

(3)源泉所得税の計算

最後に、源泉所得税を計算します。賞与計算では、源泉所得税は通常、次のように計算します。

 

① 前月の給与から社会保険料等を差し引きます。
② 上記①の金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求めます。
③ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)×上記②の税率

 

この金額が、賞与から源泉徴収する税額になります。

税率は、支給された賞与ではなく、前月の給与により決まることに注意が必要です。また、給与計算では、「給与所得の源泉徴収税額表」を用いて源泉所得税を算出するため、参照する表も違うということになります。

税率は、平成31年(2019年)分については、国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2018/01.htm)に掲載されていますのでご確認ください。

賞与支払届の提出も忘れずに

賞与を支給したら、「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届」の提出も忘れずに行いましょう。この届書に「被保険者賞与支払届総括表」を添付し、支給日から5日以内に、年金事務所(郵送の場合は年金機構事務センター)に提出します。健康保険が組合管掌の場合は、健康保険組合にも提出します。

給与との違いを理解し、正しい賞与計算を

今回は、賞与計算の実務について、社会保険料・雇用保険料・源泉所得税の計算という3つのポイントを紹介しました。

賞与は、労務の対価の後払いや生活費の補助にとどまらず、人事評価の処遇への反映としての役割、従業員の意欲向上など、企業によって様々な目的で支給されています。企業戦略上、重要なものですので、給与との違いを押さえて、スムーズに実務を進めていきましょう。

(執筆: 社会保険労務士 水間 聡子)

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