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オフィス環境を改善!バイオフィリアの概念を具現化した空間デザインとは

2020.03.25

職場環境への満足度や社員の生産性向上を目指し、オフィスの環境改善に取り組む企業が増えています。

そんな中、バイオフィリア(Biophilia)の概念を反映させてオフィスに植物などの自然の要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン(Biophilic Design)」という空間デザイン手法が注目を集めています。

 

この記事では、バイオフィリアの考え方とバイオフィリックデザインをオフィスに取り入れるメリット、そして注意点をご紹介します。

バイオフィリアとバイオフィリックデザインとは

バイオフィリックデザインを説明しています。
バイオフィリアとは、アメリカの社会生物学者エドワード・O・ウィルソン(Edward O. Wilson )が提唱した、人間には本能的に他の生物とのつながりを求める傾向があるという説を、バイオ(生命・自然)+フィリア(愛好)を組み合わせた造語で表現した言葉です。

一方のバイオフィリックデザインは、デザインの原理・原則の中に、バイオフィリアの考え方を取り入れ、空間デザインにおいて自然とのつながりをより強くするデザイン手法を指します。

バイオフィリックデザインが注目される背景

バイオフィリックデザインが注目される背景の1つに、従業員の健康を重要な経営資源として捉える「健康経営」や「ウェルビーイング(Well-being = 身体面・精神面・社会面、すべてにおける健康)」に取り組む企業が増えてきていることが挙げられます。

日本で少子高齢化に伴う労働力不足が進む中、企業では生産性の向上や、社員に長期に渡って定着してもらうための健全な職場づくりが求められています。

 

また、世界のビジネスを牽引するGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)など米国の大手IT企業が、バイオフィリックデザインに着目して本社オフィスに積極的に緑を取り入れていることも少なからずこのトレンドに影響していると考えられます。

オフィスにバイオフィリックデザインを導入するメリットとは

では、バイオフィリックデザインをオフィス空間に取り入れるメリットをご紹介していきます。

バイオフィリックデザインの導入メリット:①社員の幸福度の向上

アメリカのコンサルティング会社ロバートソン・クーパー(Robertson Cooper)は、同社が発表したレポート「ヒューマン・スペース:世界中の職場におけるバイオフィリックデザインの効果」の中で、世界16か国、約7,600人のビジネスパーソンを対象とした調査を行い、職場で自然と接する機会がない人に比べ、自然に接する機会がある人は幸福度(※)が15%高かったという結果を発表しています。

(※幸福度:「幸せである(happy)」、「元気がある(inspired)」、「やる気がある(enthusiastic)」、の3つの尺度に対する調査参加者の回答の組み合わせによって測定したもの)

 

また医学博士で、森林セラピー提唱者でもある千葉大学のグランドフェロー宮崎良文氏は、2005年から2008年にかけて日本全国38か所の森林で人体のコルチゾール濃度、交感神経活動、収縮期血圧、心拍数などを測定する実験を行い、いずれも低下の傾向を示したことで「森林セラピーによってストレス状態が緩和される」ことを発表しています。

 

このように、職場空間に自然を取り入れることは、ストレスによる社員のメンタルヘルス不調を予防し、結果として社員の幸福度の高い職場作りにつながる可能性があります。

バイオフィリックデザインの導入メリット:②社員の生産性の向上

社員の生産性に関しても、社員の幸福度と同様、職場で自然と接する機会がある人の方が、そうではない人に比べて6%生産性が高いという結果が、前述のロバートソン・クーパー社のレポートによって示されています。

 

また、集中力が必要な「分類作業」と創造性を必要とする「連想語創出作業」の生産性を、植物の有無で比較した実験によると、

「分類作業では、植物の有無による影響が見られなかったのに対して、連想作業の男性被験者では、植物を前面に設置した場合、植物を設置しなかった場合に比べ、作業成績が高かった。(・・・中略・・・)連想語を創出する作業では、実験室内の植物にも注意を向けることができたと判断され、その結果、作業が促進された可能性があると考察されている。植物が単純作業の生産性には影響せず、創造的な作業の生産性を向上させた事例は、計算、アナグラム、連想作業の間での比較実験でも報告された」
(日本緑化工学会誌/39 巻 (2013) 4 号 P552-560「室内の植物が人間の心身に及ぼす影響に関わる研究の現状と今後の課題」長谷川 祥子、下村 孝)

と、作業の合間に植物を目にすることによって創造性の向上につながった事例が報告されています。

バイオフィリックデザインの導入メリット:③社員間コミュニケーションの促進

青山フラワーマーケットを展開する株式会社パーク・コーポレーションは、植物を取り入れたオフィスの空間デザインも手掛けており、植物にはコミュニケーションの障壁を下げ、対話を促す効果があると説明しています。

実際に同社がワークラウンジのデザインを手掛けた企業からは、ラウンジで会話が活発に行われ「皆が自然に集まって交流し、情報共有する場が実現できた」という声も挙がっています。

オフィスへのバイオフィリックデザイン導入の注意点

メリットがある一方で、バイオフィリックデザインをオフィス空間に取り入れる際には注意も必要です。

導線に支障がないか確認する

バイオフィリックデザインをオフィスに取り入れる手段として、観葉植物の設置がありますが、枝の広がりなどを考慮したスペースが必要になります。

また、導線上に植物を設置すると社員のストレスになる場合もあるため、導入前に設置場所の確認をする必要があります。

定期的なメンテナンスが必要である

オフィスに設置した植物を良い状態に保つためには、定期的なメンテナンスが必要になります。

植物への水やりや枯葉の掃除など、日々のメンテナンスはもちろんのこと、植物が病気にかかってしまった場合などの対処も必要になってきます。

その場合は、植物の設置からメンテナンスも含めて、専門業者に依頼することも検討してみましょう。

バイオフィリアで社員の働き方を変えていく

本記事では、バイオフィリアの考え方やバイオフィリックデザインをオフィスに取り入れるメリット、そして注意点をご紹介しました。

健康経営やウェルビーイングを重視する動きが広まりつつある今、バイオフィリックデザインの導入はステークホルダーへのイメージアップや採用の際に候補者に良い印象を与えるなどの効果も期待できます。

社員のストレスを少なくする快適な職場作りは、今後より一層企業に求められてくるでしょう。

この機会にオフィスへのバイオフィリックデザインの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【参考インタビュー】
パーカーズ取材の1枚目の画像です。
“最後は感性を大切にする”──青山フラワーマーケットの姉妹ブランド 「parkERs」が進めるオフィス空間デザインとは

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