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INTERVIEW

東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」とは?

2019.11.20

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)では先日、「東京メトログループ健康宣言」を制定、社員とその家族の健康づくりを積極的に推進すると発表しました。

以前から働き方改革に注力し、社員の働きやすさ向上やワークライフバランスの実現に取り組んでいましたが、同時に“健康経営”を推し進めることで社員一人ひとりが最大限活躍できる環境づくりを行う計画です。

同社が健康宣言に至った背景と、目指す未来について、人事部の新井皓貴さんと廣本孝仁さんに伺いました。

東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の1枚目の画像です。
東京地下鉄のロゴです。
東京地下鉄株式会社
(左)人事部 人事課主任 新井皓貴 氏
(右)人事部 労務課主任 廣本孝仁 氏

社員の健康が、安全・安心で快適なサービスにつながる

――貴社では以前から、働き方改革に取り組んでおられますね。

廣本さん(以下、敬称略)
鉄道事業者の中では比較的早い段階から、社員が働きやすいと感じられる環境の整備に力を入れてきました。毎週ノー残業デーを設定して定時退社を促したり、フリーアドレスを導入してフレキシブルな働き方やコミュニケーションの活性化を図ったりしているほか、時差始終業やテレワークも導入しています。

当社の主要事業は鉄道事業ですが、不動産事業などの付帯事業も年々拡大しているため、多様な働き方にいち早く対応してきたという経緯があります。


――その中、今回新たに「健康宣言」を設定した背景を教えてください。


新井さん(以下、敬称略)

東京メトログループは、鉄道網で首都東京の都市機能を支えている会社。安全・安心で、快適なより良いサービスを提供し、人々のイキイキとした毎日に貢献することを使命としています。

その使命を果たすには、当社で働く社員一人ひとりが健康でイキイキと働いていることが大切。さらには、その家族も健康であり、「家庭に憂いがない状態」を維持するのも大事であると考え、「社員と家族のこころとからだの健康づくりに積極的に取り組む」という姿勢を明文化し、宣言しました。

社員の「健康課題」を解消する5つの取り組みに注力

――「健康宣言」による具体的な取り組み内容を教えてください。

新井

これまでも、社員の健康支援を継続的に行ってきましたが、さらなる社員の健康増進にかかる取り組みとして、次の5つを掲げています。
東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の2枚目の画像です。

 

1つ目は、「食事」。栄養バランスに配慮した宅配型社食制度の導入、社内の健康支援センターの産業医・管理栄養士が監修する「健康ごはん」の提供を行います。

2つ目は、「運動」。運動習慣を身に着けるきっかけづくりや肥満解消、腰痛予防などといった社員自身が一歩踏み込んだ健康づくりを実現できるよう、社員参加型の歩数イベントやウォーキング教室などを開催します。

3つ目は、「睡眠」。主に鉄道事業の現場業務に従事する社員が使用する宿泊施設を見直し、良質な寝具の導入や、希望者への睡眠改善プログラムの提供などを通じて、睡眠の質向上に取り組みます。

4つ目は、「ストレス」。ストレスチェックを通年実施するほか、高ストレス者に対して即時に対応できるよう、年間を通じて臨床心理士による相談窓口を開設し、いつでもストレスをセルフケアできる体制を整えます。

5つ目は、「喫煙」。喫煙者を健康リスク者と捉え、健康支援センターの医療スタッフが積極的に禁煙を支援します。また、受動喫煙を防止するための施設整備を推進します。

このほか、女性やシニアの活躍推進を目的とした健康づくりセミナーや、社員を支える家族の健康づくりを目的としたイベントの開催なども計画。また、働き方改革の各種施策の推進により、長時間労働のさらなる抑制にも取り組みます。


――かなり具体的で実践的な取り組み内容ですね。これらの項目を設定した背景をお聞かせいただけますか?

東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の3枚目の画像です。

 

新井
当社には、駅係員や乗務員などといった運輸営業、車両の設計やメンテナンス、土木工事担当など、鉄道事業の現場で働く社員がおよそ6,600名在籍しており、全社員の65%超を占めています。これらの社員は勤務時間が不規則で、泊まり勤務もあり、そしてお客様と接する機会も多く、ストレスを抱えやすいタフな環境下にあります。

そのためか、社員の肥満率、生活習慣病罹患率、喫煙率は、他社に比べて若干高い傾向にあります。以前に比べれば低下しているものの、これらは当社が抱える「健康課題」。全社を挙げて社員の健康をサポートし、課題解決に導きたいと考えています。

これらの取り組み内容は、現場で働く社員や統括部署と連携を取りながら設定しました。宅配型社食などは、一部の駅などで試験導入を行い、社員の声を聞きつつ改善しながら進めてきたため、おおむね好評を得ています。そして今後も、社員の健康向上に効果的だと思われる取り組みがあれば随時検討し、柔軟に取り入れていく方針です。

会社がプラットフォームを作り、社員はこれまで以上に自身の健康に気を配ることで「ヘルスリテラシーの向上」を目指す。皆が一体となって健康経営に取り組むことが、ひいては安心・安全・快適という会社としての使命の追及につながると考えています。

「働きやすさ」と「働きがい」追求で、社員が最大限活躍できる環境を目指したい

――これらの働き方改革と健康経営を進めた先にある、貴社が理想とする「未来像」を教えてください。
東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の4枚目の画像です。

 

廣本
今年4月から進めている中期経営計画「東京メトロプラン2021」において、「WORK × LIFE SMILE ACTION」をテーマに掲げていますが、このテーマのキーワードが「働きがい」。社員一人ひとりが「働きがい」を感じながら最大限活躍できている状態が、当社が理想とする姿です。

これまで働き方改革により「働きやすさ」を追求してきましたが、それに「働きがい」が加われば、社員がよりモチベーション高く、イキイキ働けるようになり、お客様のイキイキとした毎日にもさらに貢献できるようになるはず。そのためにも「働きやすさ」「働きがい」の両方を感じられる環境づくりに注力し続けたいと考えています。


――「働きやすさ」は、会社主導による制度や環境整備によりある程度実現可能だと思いますが、「働きがい」は主観によるところも大きく、難易度が高そうに感じられます。


廣本

おっしゃる通り、人それぞれ働きがいを感じるポイントは異なります。ただ、「社内のコミュニケーションが活発に行われている組織ほど、働く個人が“働きがい”を感じやすくなるのではないか」という仮説を持っています。
東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の5枚目の画像です。

 

働き方改革を進めた結果、働く場所や時間の柔軟性が向上し、「社外への遠心力」が強まっていますが、一方で「社内への求心力」を高める努力をしないと、社員が一体感を得られずバラバラになってしまい、組織力も低下してしまう恐れがあります。

社内の求心力を高め、コミュニケーションが活発な組織にするには、社員一人ひとりの個性や強み・弱み、目指すキャリア、価値観などを理解し、それぞれに最適なマネジメントを行うことが大切。「会社が一人ひとりを理解し、期待している」という事実が伝われば、働きがいの実感にもつながるはずだからです。そのためにもわれわれ人事が主導し、画一的でないマネジメントとコミュニケーション活性化を図っていきたいと考えています。
東京メトロが働き方改革とともに進める「健康経営」取材の6枚目の画像です。

text: 伊藤理子
photo: 石原敦志

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