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INTERVIEW

“最後は感性を大切にする”──青山フラワーマーケットの姉妹ブランド 「parkERs」が進めるオフィス空間デザインとは

2020.02.10

「青山フラワーマーケット」を全国展開するパーク・コーポレーション。2013年に空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」 https://www.park-ers.com/ を立ち上げ、グリーンを取り入れたオフィス空間デザインを手掛けています。花や草木などの植物には、リラックス効果やクリエイティビティ(創造性)の向上などさまざまな効果効能があるとされ、働き方改革の促進にもつながることから、国内外問わず多くの企業の注目を集めています。

なぜ、花や植物を手掛ける同社がオフィス空間デザイン分野に進出したのか、植物が持つ「力」とは、そして働き方改革にどのように関わっていこうと考えているのか、「parkERs」ブランドマネージャーの梅澤伸也氏に伺いました。

パーカーズ取材の1枚目の画像です。
パーカーズのブランドロゴです。
株式会社パーク・コーポレーション
「parkERs」ブランドマネージャー
梅澤 伸也 氏

ソニー・ミュージックエンタテインメント、楽天を経て、2013年にパーク・コーポレーションに入社。空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」の設立メンバーとして、人と植物や自然要素の共存した空間プロデュースを展開している。オフィスの緑化や組織作りなどをテーマにしたセミナーを手掛けるほかTEDxでの登壇、中央大学、近畿大学他で講師を担当。

「オフィスにも緑を取り入れたい」との声から事業化

――「青山フラワーマーケット」を展開する御社が、オフィス空間デザインを手掛けるようになったのはどういうきっかけからですか?

当社にはもともと、「青山フラワーマーケット」の店舗設計チームがありました。そのチームに「青山フラワーマーケットのショップのような、花や緑を取り入れた空間を作りたい」という店舗や企業の要望が徐々に入ってくるようになったんです。

当時、当社では自社オフィスの緑化に取り組んでいたのですが、来社されたお客様からも「うちのオフィスにも導入したい」という声を多くいただくようになり、本格的に事業部化しようと「parkERs」を立ち上げました。

 

――梅澤さんは、「parkERs」立ち上げのタイミングで入社され、ブランドマネージャーに就任されたとか。前職はIT系とのことですが、なぜこの分野に転身されたのですか?

以前、ケニアに旅行したことが原体験になっています。

アフリカのサバンナにセスナ機で降り立った時、土の香りと太陽の熱と風の音に包まれて、体中のDNAがざわざわするのを感じたんです。…うまく言えないのですが、「自分は生き物なんだ!」と強烈に感じたというか。そして、この感覚を全人類が持てたら、戦争なんて起こらないんじゃないかと思いました。この体験から、自然や植物に関する仕事に就いて世の中を豊かにしたいと考えるようになり、ご縁もあって当社に入社することになりました。

 

現在「parkERs」事業はブランドマネージャーである私と、店舗設計を手掛けていたブランドクリエイターの2トップ制で運営しています。

日本企業では、クリエイターが部下を持ったとたんに、マネジメントに時間を取られてクリエイティブ能力が下がるという課題をよく耳にします。一方で海外のクリエイティブな会社の多くは、ブランドマネージャー、ブランドクリエイター、そしてオーナーの3者で組織を回しており、「parkERs」もこれと同じ組織形態です。私はクリエイティブについては知見が少ないし、ブランドクリエイターはヒト、カネの動かし方にはあまり詳しくない。オーナーを交え、3者が互いの働きを信頼し、任せ切っているから、いいバランスが取れていると感じています。

設計・デザインのプロと植物のプロが融合して、オリジナリティを生み出す

――「parkERs」に属するメンバーも、バックグラウンドは様々だそうですね。どのようなビジネスモデルを構築されているのですか?

パーカーズ取材の2枚目の画像です。

 

設計やデザインを担当するメンバーは芸大や美大、建築学科出身者が多く、植物を担当するメンバーは農学部や生命科学科出身がメインです。両者はバックグラウンド的に、普通の生活を送っていたらあまり出会うことはなかったはず。そんなメンバーが並列で組み合わさることでオリジナリティ(独自性)を生み出せれば、この分野で突出できるのではないかと考えています。

これまで企業がオフィスに緑を取り入れる際は、「緑の鉢を借りて、枯れたら交換する」というレンタルビジネスを使うのが主軸でした。しかし我々の布陣であれば、照明や空調などのオフィス設計段階から環境づくりを手掛けられる。つまり、「植物が枯れずに育つ」環境を、一から整えることができます。植物が元気に育つ環境は、人にとってもいい環境であるはず。人も植物も育つ環境を、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーの才能を融合して作り上げ、オリジナリティを突き詰めていくというビジネスモデルになっています。

そもそも「室内緑化」で有名な会社というのは、実は世界的に見てもほとんど存在しないんです。緑を積極的に活用する建築士や設計士はいますが、オフィスの空間設計から内装、植物の設置までをすべて一貫してできるところはまずない。ならばこの分野を突き詰めることで世界一になろうと、このようなビジネスモデルに行きついたという背景もあります。

 

――クライアントニーズを受けて立ち上げた「parkERs」事業ですが、立ち上げ当初はどれぐらいの勝算を持っていましたか?

クライアントニーズもありましたが、世の中全体の流れも「自然回帰」になっていると感じていたので、勝算はありました。

ただ、当初は「オフィスに数鉢、グリーンがほしい」という要望が多かったですね。本体が花屋なので、オフィス設計までは任せられない…と思われていたのかもしれません。

そんな中、最初に訪れた波は、外資系企業の東京ブランチからのニーズでした。海外の企業では、オフィスにグリーンがあるのが当たり前。現地から来ているマネージャーは「緑のないオフィスにいい人材は集まらない」とズバリ言い切るんです。このようなニーズに支えられ、少しずつ設計から携われる案件が増えていきました。

 

ちょうどその頃、GAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)など米国の大手IT企業がバイオフィリックデザイン(Biophilic Design)に注目し、本社オフィスに緑を取り入れ始めました。人と自然が調和することで幸福度が増すというデザイン手法ですが、主にシリコンバレーを中心に起こったこのブームが日本にも届き、国内のIT系スタートアップから徐々に引き合いが来るようになりました。そして、その事例を目にした国内大手企業からのニーズが増え始め、その動きが公共工事にも広がっていった格好です。

さらにこの半年間では、組織のブランド価値を評価するインターブランド社が発表する「グローバル・ブランドランキング(Best Global Brands)」でトップ100に入るような企業からの依頼が急激に増えました。背景として考えられるのは、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資、SDGs(持続可能な開発目標)、ウェルビーイング(Well-Being=身体面・精神面・社会面、すべてにおける健康)、そして環境問題です。企業の担当者からニーズをヒアリングすると、この4つのワードが必ずと言っていいほど出てきます。

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大手企業や大学と共同で植物が持つ効果効能を研究し、エビデンスづくりに注力

――環境的に、御社に追い風が吹いているということですね。改めてお伺いしたいのですが、「緑をオフィスに取り入れる」メリットとはどういうものでしょう?

既にエビデンス(証拠)が取れている効果としては3つあります。1つはリラックス効果。2つ目はクリエイティビティの向上。緑のある環境では、創造性が発揮されやすいということがわかっています。

そして3つ目はポピュラリティ、すなわち好感度。人種や国籍、宗教問わず誰もが好意的に思うモノって実はあまり存在しないのですが、植物に対してネガティブな感情を持つ人は極めて少ない。例えば、空港でのトランジットで隣の外国人に話し掛けたいと思ったとき、国籍や食べ物を話題にするとタブーに触れる可能性があります。でも、その日の天気やそこに植わっている植物の話は誰も傷つけません。つまり、植物にはコミュニケーションの障壁を下げ、対話を促すという効果があるのです。

リラックス効果とクリエイティビティの向上については、即効性ではなく、漢方薬のように「じわじわ効いてくる」という特徴があります。
「何もないオフィスに、ある日緑をポンと1つ置く」という実験によると、初めの2週間は「何もなかったところに異物が置かれた」ことに対する抵抗反応があって、一時的にストレスの数値が上がるんですが、3週目からは下がり続けることがわかっています。これは数千人規模で調査しても、同じ結果が出ています。この「ストレスが一時的に上がって、そのあと下がる」という波形は、「好転反応で一時的に悪化し、そこから自浄作用が働いて改善していく」という漢方を摂取したときの波形と一緒なんです。

ポピュラリティについては、実は植物のいいところでもあり、ビジネス的には難しい点でもあります。誰もが植物に対して好意的な印象を持ち、「オフィスに植物を取り入れるのはいいことだ」と何となく理解しているのですが、実際に「何がいいのか」はわからない。この「何かいいな」が壁になって、これまでクライアントとの話し合いが止まってしまうケースがありました。多くの企業は、「オフィスの緑化に1千万円投資するならば、リターンがどれぐらい得られるのか」を具体的に知りたい。それに答えられる、より精緻なエビデンスを自分たちで作りだそうと頑張っているところです。

 

――どのような方法でエビデンスを追求しているのですか?

主に「環境の測定」、「植物の測定」、「人の測定」の3つを行っており、基礎研究に近いところは大手自動車会社様等と協働しています。先方に用意いただいた実験棟の中に種類の違う植物を入れて、その中で働く人がどう感じるか、バイタルデータや脳波、空中の成分などを採取して研究しています。

大手自動車会社様等は自動運転になった後の「モビリティ」の可能性を探り、人にとって快適な移動空間を追求する中で自然環境について調べたものの、決定打となる論文にたどり着けなかった。そこで我々と組み、「植物が人に与える影響」を本格的に研究することになったんです。

研究結果はまだ明らかにはできませんが、1つ確度の高い仮説として挙がっているのは「最もリラックス効果があるのは在来種の植物」というものです。外来種の植物よりも、普段、道端や公園などで見慣れている植物の方が落ち着くという結果が出ています。最近では、フラワーショップなどで海外の目新しい植物を目にする機会がありますが、ワクワクはするものの、リラックス効果はあまり期待できません。ワクワクするということはすなわち興奮状態なので、それが常態化するとイライラに変わってしまうリスクもあります。

 

そして、オフィスにおいて植物の効果が最大化されるのは、周辺視野に入っているときなんです。PCに向かっている際に、視野の奥に緑が入っていると無意識のうちに心地よさを感じることができます。しかし、PC画面上に葉が被ったとたん、ストレスに変わってしまう。つまり、主役ではなく名脇役として植物を活用して、無意識に感応している部分をコントロールし、リラックスやクリエイティブ、コミュニケーションを促すことが重要だと捉えています。これからの研究で、その方法をさらに追求していきたいと考えています。

独自のフレームワークで「真のニーズ」を掘り下げる

――ビジネス環境的に追い風が吹いているとのことですが、企業からのニーズに何か変化はありますか?

政府による「働き方改革」の推進がターニングポイントになったと感じています。それ以前は、企業から寄せられる要望はエントランスの緑化など「お客様向け」のものでしたが、働き方改革が打ち出されて以降は、オフィス内の緑化が中心となり「社員への癒し効果を求めたい」「創造性を促したい」という要望に大きく変化しました。

パーカーズ取材の4枚目の画像です。

 

――企業からそのような要望が寄せられたら、どんな手順を追って空間デザインを行っていくのですか?

当社独自のフレームワークで、企業の「真のニーズ」を探っていきます。

フレームワークは大きく5段階あり、1つ目はリサーチ(Research)。まず社員アンケートを実施して、実態をあぶりだします。その際に大事なのは、現在の課題と未来への要望。この2軸で調査を行います。

「parkERs」のオフィスを作る際も、このフレームワークに沿ってデザインしました。メンバー全員にアンケートを取ったら、前のオフィスが狭かったために「人が多い」「収納が少ない」などいろいろな課題が挙がりました。このような機会がないと、人が多い、狭い、収納が少ないとみんな普段から思っているのに、意外に本音を言わないんですね。でも密かに不満を抱えている。こういう声なき不満を解消するためにも、リサーチでしっかり言語化して共有することが大切だと思っています。

2つ目はオブザーブ(Observe)で、エスノグラフィー(Ethnography=行動観察)を用いて、企業の文化や潜在課題を言語化していきます。

3つ目はディスカッション(Discussion)で、オブザーブにより言語化した内容について話し合い、改善のためのアイデアを出し合う作業を行います。この段階で、作りたいオフィスの理想と現実が明らかになります。

そして4つ目がフューチャー・シンク(Future Think)。これが非常に大切で、もう一度自分たちの信念や哲学を振り返り、「なりたい姿」を再確認します。

最後に5つ目のオリエント(Orient)で、正しい方向に導いていく。

どのクライアントにおいてもこのフレームワークに沿って進め、課題を解決し、なりたい姿を実現するための方策を、植物を用いて描いていきます。

 

――今までにさまざまな実績を上げていらっしゃいますが、植物を取り入れて実際に効果が出た、象徴的な例を教えていただけますか?

竹中工務店東京本店のワークラウンジが印象深いですね。竹中工務店様は、昨年創立120周年を迎えた大手総合建設会社ですが、2018年に「人と人との交流を深め、最適な環境を選択できるオフィス」を目指して東京本店の大規模な改修を行い、その中でparkERsはワークラウンジのデザインを担当させていただきました。

竹中工務店ワークプレイスプロデュース本部様がまとめたアンケートやグループワークをもとに課題やニーズを抽出されたところ、ベテラン設計者と若手の交流、営業と設計、設計と施工の交流など、縦横のコミュニケーションが課題として浮き彫りになりました。一方、アンケートでは「気分転換」「飲食」「情報共有」「リラックス」などのキーワードが挙がりました。

それを受けて、プロジェクトメンバーの方々とparkERsとで課題解決の方法を考え、コンセプトを「植物が介入することで人と人との心地よい距離を新たに生み、世代や部署を超えて交流できる場所」に設定しました。ラウンジのデザインは竹中工務店設計部様と一緒に行い、parkERsは家具や水什器、植栽関連のデザインを担当しています。

ワークラウンジ完成後に竹中工務店様が調査したところ、このラウンジは他のエリアに比べてコミュニケーション量がかなり多いことがわかりました。ラウンジでは会話が活発に行われ、「皆が自然に集まって交流し、情報共有する場が実現できた」と、好評をいただいています。

自社内ではIoTで植物を管理し、ランニングコストも低減

――今後さらにニーズは増えてくると思いますが、さまざまな企業のニーズにどう応えていかれる予定ですか?

オフィスにおける植物の重要性は誰しも感覚的に理解していると思いますが、大きな会社になるほど、効果効能を示した「稟議書」が必要になります。そのためにも、エビデンスづくりにはさらに注力したいと考えています。

植物による効果効能の研究は現在進行形で進んでいますし、国際論文としても世に出して行く予定です。我々が先陣を切って精緻なエビデンスを作っていけるものと思っています。

 

一方で、オフィスに緑を取り入れれば、その分お金がかかるので、経済合理性を追求する姿勢も重要だと捉えています。当社にご依頼をいただき、話を進めていく際によくぶつかる課題が、「オフィスの移転費や改装費はあるが、植物のメンテナンス費やランニング費がない」というものです。我々は、それをテクノロジーで解決しようとしています。

我々のオフィス内でメンテナンスしにく高いところにある植物はすべて、センサーで管理されています。リアルタイムで水分量やpH値、土壌の酸性度などを測り、水分量が下がると自動で水が供給されます。メンテナンス費はそのほとんどが人件費ですが、センサー管理でその費用が圧縮されればハードルはさらに下がるはずです。3年後には、メンテナンスにかかる費用をいまの3分の1に抑えるべく、研究を続けています。

また、ここで育てている植物の「元気度」をデータ化しているほか、オフィス内に会議の内容がポジティブなものかネガティブなものかが測れるセンサーを付けたり、一部社員にストレス度がわかるセンサーを付けてもらって、「人と植物が元気でいられる最適解」を東京大学と共同で研究しています。

オフィスが「ストレスを抑え、人間らしさを取り戻す」場所に

――効果効能が定量で把握でき、ランニングコストも抑えられる…それが実現できれば、企業からの引き合いはさらに増え、そこで働く社員のモチベーションも高まりますね。
では最後に、御社が目指す「理想のオフィスの姿」をお聞かせください。

パーカーズ取材の5枚目の画像です。

画像提供:parkERs

 

「人」と「環境」とで分けてお話ししたいと思います。

まずは「人」。現代では、多くのオフィスワーカーがコンクリートに囲まれた都会で生活していて、植物どころか外気にすらあまり触れる機会がありません。そういう環境下では日々、どうしてもストレスが溜まります。ストレスのない最高の状態を0として、ストレスがマックスな状態を100とした場合、おそらく多くの人が80ぐらいの状態にあるのではないでしょうか。

我々は、オフィス空間でそのストレスを軽減したいと考えています。オフィスにいるとストレスが限りなく0に近づき、人間らしい状態に戻る…そのような状態に「調律」したいと考えています。1日のうち、起きている時間の半分近くを過ごすオフィスが快適だと、誰もが気持ちよく働くことができるし、自然とここに帰ってきたくなるでしょう。「オフィスの魅力」として打ち出して採用にも活用できるようになるかもしれません。

医学博士で、森林セラピー提唱者でもある千葉大学のグランドフェロー宮崎良文氏は、花にはストレスを軽減する作用がある一方で、「弱った人、弛緩している人」を元気にする作用もあることを報告しています。植物があることで人間としての正しいゾーンに調律していく…そういうオフィスを作りたいと考えています。

 

「環境」づくりにおいては、地球との共存共栄に挑戦したいと考え、チャレンジを続けています。

例えば、我々のオフィスでは自然エネルギーによる自家発電を試みています。オフィスで育てている植物のメンテナンスはすべて自家発電で賄い、「オフィスで発電して、それで植物も生きる」というゼロエネルギーオフィスを成り立たせたいと考えています。

そして、実はここで使われている土は、すべて廃棄物から作っています。スターバックスコーヒーからコーヒーの豆かすをいただき、特殊な菌を混ぜて作りました。通常、土は燃やすことができませんが、この土なら燃やせます。ごみで植物が元気になり、使わなくなったら地球に返せる。

 

花屋というのは、1か月前の季節を先取りするビジネスです。春ならチューリップ、夏ならひまわりを置いて、人と地球のバイオリズム(Biorhythm)を同調させる役割を担っています。現代では、家からオフィスまでほとんど外気に触れずに移動し、暑さも寒さも感じずに1日が終わってしまうということが起こりえます。それでは幸福感が半減する気がします。「人間は本能的に自然とのつながりを求める」というバイオフィリア(Biophilia)の概念で言うと、人は、自分と地球のバイオリズムが同調していると感じることで、「生きている」という実感や幸福感を得ることができる…とされています。この「気づき」を多くの人に、さまざまな方法で感じてもらいたいと考えています。

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花のネームプレート。出勤したスタッフはここから花を取り、自分の席に挿す。花は毎週変わる。

 

我々はエビデンスを追求し、科学的に「これが正解」というものを導き出しますが、科学的にはAの方がベターという結果が出ていても、最終的には自分たちで体感してみてBの方が「心地よい」と思ったらBを選ぶようにしています。必ず現物を見て、体感して、感性で決める。「最後は感性を大切にする」ということを私たちは重要視しています。

それは自社だけではなく、お客様が植物を選ぶ際も同様です。お客様が集中できる植物をご要望であれば、それに合った植物をご提案し、「より集中を促すのはこちらです」とご説明します。根拠を優先するか、あるいはデザインを優先するかでお客様が迷われたら、両方の植物をお持ちして「どちらも効果はあります」とお伝えして、お好きな方を選んでいただいています。

 

というのも、私は人間には数%の“余白”があると考えています。合理性の追求なら機械で十分です。プログラムでもできる。我々は自分たちが持つ、その余白ともっと向き合った方が良いと思っています。

現代社会は情報が多すぎて、情報によって自分が右往左往されています。でも、本当は自分の意見で自分の方向性を決めないといけない。そしてその意見は、最終的には自分の「感性」によるものと私は思っています。人に寄り添う「感性」というものをもっと大切にしても良いのではないでしょうか。もっとそこに気付き、感じて欲しいんです。

私たちはこれからも、働く一人ひとりの感性を大切にしながら、オフィスづくりに取り組んでいきたいと思います。

text: 伊藤理子
photo: 石原敦志

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