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コロナ対策のための「換気」の効果を最大限に発揮する方法

2021.02.16

コロナ対策のための「換気」の効果を最大限に発揮する方法

オフィスでの効果的な換気方法

前回の記事では、換気と空気清浄の基礎知識や建築様式による換気方法の違い、すぐに実践できる社員への注意喚起の内容に触れました。

今回は、社内での新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、ぜひ取り入れていただきたい知識を中心に、オフィスで換気や空気清浄を行う際のより効果的な実践方法や、役立つ設備/機器を紹介します。

 

換気の仕方で効率は大きく変わる

換気は「空気を丸ごと入れ替えること」、空気清浄は「空気を入れ替えずに、空気中に浮遊しているウイルスや菌類、ハウスダストなどの有害物質を除去すること」を意味することを前回の記事で解説しました。

人体の粘膜などがウイルスに曝露し、ウイルスが細胞内に取り込まれることでウイルスによる感染は成立します。いずれも、すでにウイルスが室内に存在するものと仮定した対策になるため、「空気が澱んできたから」や「しばらく換気をしていなかったから」など随意に実行するよりも、頻度と運用方法を定めて確実に実行することが重要です。

 

まず、換気には「吸気」と「排気」が必要になります。読んで字のごとく、吸気は空気を吸うこと、排気は空気を排出することを意味します。部屋やオフィスに置き換えて考えてみましょう。例えば、正方形の間取りで窓は北側と東側にひとつずつ、ドアは南側にひとつ配置されているとします。さらに、デスクは北側に集中しており、社員たちは休憩時以外のほとんどを北側の窓の近くで過ごすとします。

部屋やオフィスに置き換える

この場合、従業員が多く過ごす北側の窓を開けて換気をするケースが多いと思います。窓をひとつだけ開けても換気ができないわけではありませんが、その範囲は外からの気流が影響する範囲(このケースなら、北側の窓付近)に限られてしまいます。

北側の窓付近

この間取りにおいて、有効な換気の方法は2つあります。ひとつは、「北側と東側の窓を両方開けること」で、もうひとつは「北側/または東側の窓に加えて、南側のドアを開放すること」です。

北側/または東側の窓に加えて、南側のドアを開放すること

換気でドアを開けるのは少々不自然に思うかもしれませんが、それには理由があります。

換気は、対角線上に空気の通り道を作った場合に、最も効率が高まるからです。「正方形の間取りで、窓は北側と東側にひとつずつ、ドアは南側にひとつ」という間取りなら、北側の窓と南側のドアを開放することで、対角線上に空気が流れるため、最も効率的な換気が可能になります。

対角線上に空気が流れる

ただ実際には、物件の制約などで思うように窓やドアを開放できないことも多いと思いますし、障害物や建築物の造りによっても空気が流れやすいポイントは変わってきます。効率の良い順に、「対角線上に開放>対角線でない2箇所を開放>一箇所を開放」となるので、オフィスの間取りに合わせて最も効率よく空気が流れる窓やドアの開け方を心がけるといいでしょう。

 

換気扇やサーキュレーターを併用して、効率アップ

もしも、自由に開けられるドアが一箇所しかなく、窓の開放で吸気と排気を確保することが難しいといった場合は「換気扇」を活用する方法もおすすめです。

換気扇は、部屋の空気を強制的に排出し、部屋の中に陰圧を作ります。換気扇から最も遠いところにある窓を開放すれば、自ずと窓から吸気し、換気扇から排気するという空気の流れができあがり、対角線上に窓を開けているのと近い効果が得られます。

換気扇やサーキュレーターを併用して、効率アップ

また、特に暖房を使用している冬季の換気時には、サーキュレーターや扇風機を取り入れることがおすすめです。理由は、空気の性質にあります。空気は、温度が高いと天井付近に溜まり、温度が低いと床付近に溜まるという性質を持っています。ところが、多くの窓は、天井よりも低く、床よりも高い位置に配置されています。暖房を使用してている部屋では、せっかく空気の流れを作っても天井や床に溜まった空気がなかなか出ていかないといったことが起こり得るのです。

空気は、温度が高いと天井付近に溜まり、温度が低いと床付近に溜まる

サーキュレーターを床から天井に向かって使用すると、部屋の中の空気を均等にかき混ぜる対流が発生します。この状態で対角線上に空気の通り道を作ることで、汚れた空気が効率よく室内から追い出されます。素早く換気をすることで暖気中の室内の気温の低下も最小限に抑えられ、省エネにも一役買ってくれるはずです。

サーキュレーターを床から天井に向かって使用

 

空気清浄機を導入するなら「HEPAフィルター」搭載機にしよう

現代では窓が自由に開けられない物件も増えているため、換気をしたくてもできないといったケースもあるでしょう。2003年以降に竣工した物件は建築基準法で定められている以上の換気設備を導入しているため、基本的には窓が開けられなくても換気はされているものと考えて差し支えありません。

しかし、窓が開けられない物件なら、安全性をより高める意味でも、視覚的に感染症対策が実施されていることを示す意味でも、空気清浄機の導入が有効になるでしょう。一方で、感染症対策として空気清浄機を導入する場合、どのような空気清浄機でも大きな効果が見込めるわけではありません。

ウイルスの大きさは、種類によっても異なりますが、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスのサイズは100nm(ナノメートル)ほどとされています。「nm」は、「mm(ミリメートル)」の1,000,000分の1(100万分の1)ですから、人の目では目視できません。当然、フィルターの網目がこのサイズよりも大きければ、ウイルスはフィルターを通り抜け、ふたたび空気中に漂ってしまうことになるのです。

こうした超微細な粒子をとらえられるフィルターとして「HEPAフィルター」という高機能フィルターが商品化されています。HEPAフィルターは、集塵能力と吸引能力がJISで定められており、「0.3 µmの粒子を99.97%以上集塵できる」「初期圧力損失が245Pa以下である」という2つの条件を満たす高機能フィルターを指します。

ここで、「0.3 µmより小さいウイルスは集塵できないのでは?」という疑問が浮かびますが、半分正解で半分誤りです。ウイルスはウイルス単体として空気中に存在するだけでなく、人の咳や呼吸によって口や鼻から出る「飛沫」に含まれた状態で浮遊しているケースが多いためです。したがって、ウイルスを100%キャッチできるわけではないものの、飛沫をキャッチすることで、空気中に漂うウイルス量を大幅に減らせるのです。

社内に空気清浄機を設置する際は、HEPAフィルターを搭載している機種かどうかを、必ず確認するようにしましょう。

 

最後に、今回の記事で紹介した効率の良い換気と空気清浄機の知識をまとめます。
 

換気には「吸気」と「排気」が不可欠

・対角線上に窓を開けると、換気の効率が高まる

・一箇所しか窓が開けられないなら、換気扇で強制的な排気を作ってもいい

・サーキュレーターや扇風機を使って対流を作ることで、換気効率が高まる

・空気清浄機を導入する際は、「HEPAフィルター」を搭載しているものを選ぶ

 

前回、今回と2回に分けて、コロナ対策としてのオフィスの換気について紹介してきました。特に冬季には、外気温が下がったり、暖房効率のために換気を実施することが難しくなりがちです。ご紹介した内容を参考に、一年を通じて効果的なオフィス換気に取り組むことで、新型コロナウイルス感染症などへの対策に役立ててみてください。

text: 海岡史郎

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