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換気がコロナ対策に利くと言われる理由。空気清浄との違いは

2021.02.12

換気がコロナ対策に利くと言われる理由。空気清浄との違いは

知っておきたい換気の基礎知識

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、私たちは「換気」を意識した生活を強いられるようになりました。

従来から、有害なウイルスや菌類の室内での繁殖を防ぐ方法として、特に冬季は「換気」は有用視されていましたが、その重要度が大きく変わってきました。

街を見渡せば、飲食店には「感染症対策として、このドアは開放しています」、オフィスには「感染症を防ぐため、定期的な換気を心がけましょう」といった掲示物が見られます。

 

しかし一方で、「換気」というワードに対して「空気を入れ替えること」という程度の認識しかない場合も多いのではないでしょうか。

「空気清浄」との違いはどこにあるのか、なぜ空気を入れ替えると感染症対策になるのか、物件ごとに効果的な対策に違いは出るのか、など一歩踏み込んで考えてみると、何気なく行っている換気について、それほど深い知識は持っていないことに気付く人も多いかもしれません。

 

本特集では、オフィスでのクラスター発生を防ぐ意味でも、企業活動にとって不可欠なものとなった換気を基礎知識から学び、具体的で効率的な対策を紐解いていきたいと思います。企業の管理部門に携わる方にとって、より安全な労働環境を実現するための一助となれば幸いです。

 

換気と空気清浄の違いとは? なぜウイルス対策に有効?

「換気」とセットで語られることの多いワードに「空気清浄」があります。どちらも、空気を綺麗にしてくれそうなイメージがありますが、その定義や効果には、大きな違いがあります。

 

換気は「空気を丸ごと入れ替えること」を意味し、空気清浄は「空気を入れ替えずに、空気中に浮遊しているウイルスや菌類、ハウスダストなどの有害物質を除去すること」を意味します。「汚れている水槽の水を新しい水に入れ替える」のか、「水を汚す原因となる物質を濾し取り、水質を良くする」のかをイメージするとわかりやすいと思います。

 

換気とは 空気を丸ごと入れ替えること
空気清浄とは 空気を入れ替えずに、空気中に浮遊しているウイルスや菌類、ハウスダストなどの有害物質を除去すること

 

換気や空気清浄がウイルス対策に有効な理由とは

人体の粘膜などがウイルスに曝露し、ウイルスが細胞内に取り込まれることでウイルスによる感染は成立します。

政府や自治体の首長が、盛んに手洗いやうがい、手に触れるもののアルコール消毒の重要性を説くのも、「ウイルスに曝露してしまっても、細胞に取り込まれ、増殖が始まる前に洗い流せば、感染が成立しにくい」という観点からです。

例えば、「手を洗わずに顔に触ったり、目をこすったりしないようにしましょう」というメッセージも、皮膚である手や指にウイルスが付着しても感染しづらいですが、粘膜である口や鼻、瞼の裏などがウイルスに曝露すると、感染の確率が高くなることがその大きな理由です。

 

ウイルスは肉眼では見えない超微粒子なので、室内のどこに存在しているかは誰にもわかりません。そのため、「すでに存在するかもしれない」「社員の誰かが持ち込んだかもしれない」「誰かの飛沫に含まれているかもしれない」と仮定した対策が重要になります。

 

定期的に換気や空気清浄をしていれば、万が一空気中にウイルスが存在していても、曝露が発生する前に屋外に追い出したり、フィルターでキャッチしたりすることが可能になります。

そのため、社員に対する感染症対策として、感染が発生しやすい条件を避けるように注意喚起することと合わせて、うがい、手洗い、アルコール消毒に加えて、換気の徹底も周知することが大切です。可能であれば、自宅でも同様の対策を取ってもらうように社員にお願いすると、社員が新型コロナウイルスに感染する可能性を大きく低下させられます。

 

換気の基準は、法律で定められている

基本的には、換気で空気を入れ替えつつ空気清浄機も稼働させることが、もっとも効果的なウイルス対策になります。しかし、高層建築も多い現代では、ビルそのものの窓が開閉できる仕組みになっておらず、任意に換気ができないケースも多くあります。

しかし、その点については心配しすぎる必要はありません。2003年の7月に改正された建築基準法では、下表の換気回数(回/h)×居室の床面積(m2)×天井高さ(m)という式によって求められる換気量(m3/h)以上の換気ができる設備の導入が義務付けられています。もともとシックハウス対策のための改正でしたが、基本的には建築基準法に則って設計された建築物ならこの基準をクリアしているからです。

 

居室の種類 換気回数
住居の居室等 0.5回/h以上
上記以外(非居住等) 0.3回/h以上

(参照:内閣府『建築基準法』)

 

つまり、窓が開かない建物は換気ができないわけではなく、もともと換気をするための設備が整っていると考えて差し支えありません。特に気になる方は、自社が入居するビルの竣工年や建築基準法を満たす設備が導入されているかを、物件の所有者や不動産会社、管理会社に問い合わせてみてもいいでしょう(この場合はあくまでも疑いを持って聞くのではなく、社内資料の作成などに必要といった名目で、ソフトに聞くことも大切です)。

もちろん、建築基準法の改正以前の古い建築物や低層建築などで、窓を自由に開けられる場合は、積極的に窓を開けて換気する方がベターです。

また、建築物に組み込まれた換気設備を導入するためには、大掛かりな工事と大きなコストが必要になりますが、家電量販店などで購入できる空気清浄機でも十分な役割を果たしてくれるものがあります。空気清浄機の購入基準については、次回の記事で詳しくまとめますが、これからは入居する物件に合わせて、上手に換気と空気清浄を取り入れることがますます大切になるでしょう。

 

今回の記事で紹介した換気と空気清浄の知識をまとめてみたいと思います。

 

・換気は「部屋の空気を丸ごと入れ替えること」で、空気清浄は「空気を入れ替えずに、空気中の有害物質を除去すること」である

・ウイルスは目に見えず、部屋の中に存在しているかどうかは目視できないため、存在していると仮定した対策が重要

・換気と空気清浄によって、ウイルスに曝露する危険性を大きく下げることができる。最も効果的なのは、換気と空気清浄の併用である

・建築基準法によって、建物では換気が義務付けられている。窓が開かない物件でも、基本的には換気の設備が整っている可能性が高い

・うがい、手洗い、アルコール消毒に加えて、物件に合わせた換気と空気清浄を徹底する。自宅でも同様

 

今回は、換気と空気清浄との違いやウイルスへの対応、また建物の換気状況などに関する基本情報をお伝えしました。次回はさらに一歩進んで、実際のオフィスでどのように換気や空気清浄を実施したらいいのか、実践的な取り組みを紹介したいと思います。

text: 海岡史郎

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